東京株式市場では、円安ドル高進行が一服していることから大型株の上値は重くなっている。一方、マザーズ、JASDAQは連騰するなど中小型株は強い。日経平均の上値が重い一方、下値不安も乏しいことから、日経平均ボラティリティ・インデックスは14p台まで低下。もっとも日経VIの低下の要因は、商いが少ない限月(計算対象が期近3月、期先4月から、期近4月、期先5月に変更)となったことなどが影響しているようだ。
日経平均の終値ベースでの今年のレンジは僅か806円。取引時間ベースでようやく1,000円という膠着相場となっている(3月2日19,668.01円、1月18日18,650.33円)。先物やオプション、指数ETFなど指数を売買する投資家は、12月以降、トレードチャンスに欠ける展開が続いており、積極的な売買は手控えている。とりわけ、指数、為替の膠着感は足元かなり強まっており、動意に欠ける展開が継続。市場では、降って湧いたような感のある「3月利上げ」をまだ消化しきれていないようだが、様子見材料はこれだけではないようだ。
ただ、長期の膠着相場の後には大きな変動が待っていることが多く、「初動」が今後の動きを占う試金石になるため、3月中旬に向けてどういったイベントがあるのか詳しく確認しておきたい。そして、3/15のFOMCで予想通り「利上げ」し、年数回の利上げについて言及が無ければセル・ザ・ファクトで円高となる事が想定されているため、FOMCの結果とその後のマーケットの動きには細心の注意が必要。
また、3月中旬に向けてはその他の重要イベントも目白押しになっているため、併せて確認しておきたい。
まずは米国の3月利上げがあるのか?利上げ有無はどこに注目しておけばよいか? |
まずは「3月利上げ」だが、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)が算出しているFed Watch(FF金利先物のFOMC予想確率)では、3月利上げの確率は86%に達している。1ヶ月前、こちらのマンスリーレポートで取り上げた際(2月15日)が13.3%だったことを考慮すると「3月利上げ」の流れは短期間で一気に高まった格好といえよう。
先週、ニューヨーク連銀のダドリー総裁、サンフランシスコ連銀のウィリアムズ総裁、「ハト派」と位置づけられるブレイナードFRB理事などが相次いで、3月利上げの可能性に言及。経済指標でも、個人消費支出デフレーターやISM製造業景気指数の高い伸びが確認されており、週末に実施されたイエレンFRB議長は、「経済成長が予想通りに改善すれば3月利上げが適切」と発言したことから、14-15日に開催される米連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げはほぼ確実視されている。
「3月利上げ」のはしごを外す可能性があるのは、今週末(日本時間3月10日(金)22時30分発表)の2月の米雇用統計ぐらいだろう。市場では、非農業部門雇用者数は18.5万人(1月は22.7万人)、失業率は4.7%(同4.8%)、平均時給は2.8%(同2.5%)が、コンセンサスとなっている。雇用統計は上下の振れが大きく、発表内容に対する思惑が先行しやすい。
為替市場では、ドル・円やユーロ・ドルが上下に振れる傾向がある。今回は発表後に米FOMCが開催されることで、より注目も集まろう。ただ、「3月利上げ」を市場はほぼ織り込んでいることから、非農業部門雇用者数、失業率、平均時給の重要3項目がすべて大幅な予想下振れといった状況にならなければ、「3月利上げ」のはしご外しとはならないと想定する。FRB高官が利上げに積極的な「タカ派」に続々と転じたインパクトは大きい。
図1:直近1年のドル円(日足チャート)
- ※当社WEBサイトを通じて、SBI証券が作成
その他の重要イベントは? |
様子見材料として意識されているのは「米利上げ」だけではない。2月9日に、トランプ大統領は、減税について「2、3週間以内に驚く内容を発表する」と言及した。市場では、13日前後に予算教書演説が実施されるのではないかとの見方だ。この発言以降、NYダウは約5%、1000ドル上昇するなど、市場の期待感はかなり高く前のめりとなっている。ハードルが高まった状況下、減税策がこれまで伝わっている内容に留まるのであれば、期待感が剥落し売り優勢となるだろう。
また、欧州市場に目を向けてみると、フランス大統領選挙にスポットライトが当たるなか、オランダで下院選挙が15日に行われる。足元では、反欧州連合(EU)を掲げる自由党が、議会第一党となる可能性が高まっている。仮に自由党勝利となれば、その一ヶ月後、4月23日に選挙を控えるフランス大統領選挙に大きな影響を与えることとなるだろう。フランス大統領選挙は、5月7日に決戦投票が実施されることから、第1回の結果がそのまま反映することはないといわれているが、極右政党のルペン氏を支持する声は多い。オランダ下院選挙が、フランス大統領選挙の流れを大きく変える可能性もあることから要注意だ。
このように、米FOMCでの「利上げ」、トランプ大統領の予算教書、オランダ下院選挙といった材料が15日前後に集中していることが、足元の閑散相場の背景にある。東京市場では、週末に3月のメジャーSQ値が算出される。2月のマンスリーレポートでも取り上げたゴールドマン・サックスのTOPIX先物買いのポジションが話題となっているが、市場観測ではロールオーバーは順調との見方。国内で目立った売買材料に欠ける状況が続いており、外部環境に振らされる展開はしばらく続くとみる。欧米発の好材料が出なければ、東京時間でじりじりと上昇するような展開は難しいだろう。月末にかけては配当取りなどの動きが出そうだが、まずは3月中旬の欧米市場のイベントを見極めることが必要と考える。
各イベントに対応するためには、夜間に取引が可能な先物・オプションの日経225先物やTOPIX先物を利用すれば、指標発表直後の値動きを捉えて取引出来るため、ご検討いただきたい。
図2:直近1年の日経225先物(日足チャート)
- ※当社WEBサイトを通じて、SBI証券が作成
図3:直近1年のTOPIX先物(日足チャート)
- ※当社WEBサイトを通じて、SBI証券が作成
- ※各取引所より発表される売り買い上位20社のデータをもとに、売り買いの差し引き週間累計の上位順に表示してあるため、日々ベースで上位となっている証券会社でも表示されていないケースがあります。また日々発表される手口は20位以下が未発表であるため、差し引きが実際とは異なる(大きく傾いて表示される)場合があります。日々の手口は限月間スプレッドを含み、イブニング、立会外及びSGXは含んでいませんが、推定建玉はイブニング、立会外の分も加味しています。尚、推定建玉は週初一回のみ各取引所より発表される建玉残に日々の売り買い差し引き枚数を加減算した推計値となっています。
- ※各取引所より発表される売り買い上位20社のデータをもとに、売り買いの差し引き週間累計の上位順に表示してあるため、日々ベースで上位となっている証券会社でも表示されていないケースがあります。また日々発表される手口は20位以下が未発表であるため、差し引きが実際とは異なる(大きく傾いて表示される)場合があります。日々の手口は限月間スプレッドを含み、イブニング、立会外及びSGXは含んでいませんが、推定建玉はイブニング、立会外の分も加味しています。尚、推定建玉は週初一回のみ各取引所より発表される建玉残に日々の売り買い差し引き枚数を加減算した推計値となっています。
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