26-27日にG20が上海で開催 |
為替市場では、円買いが進んでいるほか、原油価格は引続き不安定な状況にある。さまざまな不透明要因が重なったことで、225先物は2月12日に14,800円まで下落。為替市場では、ドル・円が11日に110円99銭まで円高ドル安が進行した。世界景気減速懸念が高まりつつあるなか、今週末の26-27日に中国・上海で20ヶ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議が開催される。2月上旬辺りから、市場では足元の荒い相場状況に対してG20でなんらかの方向性が示されるのではないかとの期待感が浮上。足元の株式市場ではこうした期待感が下支えとして意識されているようだ。
G20のポイントは5つ。
麻生財務相は19日に「G20では中国経済や原油安、米国の金利政策について議論」とコメントしている。今週に入って政府要人の目立ったコメントは控えられているが、今回のG20でポイントとなりそうな項目は下記の内容となろう。
・中国経済減速懸念
・原油価格の安定化
・米国の金利引上げに関して
・東アジアの安定化
・英国EU離脱懸念
上から4つは年始からの下落局面で度々問題視され下落要因と見られていた項目だが、最後の「英国EU離脱懸念」は先週末に具体化した新たな不透明要因である。
英国EU離脱懸念問題は6月まで続く |
英国のEU離脱の是非について、キャメロン首相は当初から、英国が一定の権限をEUから取り戻したうえで国民投票を行い、EUに残留する狙いがあったとみられている。EU残留に向けた改革案で欧州連合と合意した直後に国民投票の実施日(6月23日)が発表されており、キャメロン首相は英国のEU残留に自信を持っているとの声が聞かれている。
一方、キャメロン首相の盟友とも言われているロンドン市長など有力政治家が離脱支持を表明したため英国のEU離脱に現実味が増した格好に。英国がEUから離脱した場合、国際金融センターであるロンドンの地位低下は避けられないことやEU向けの輸出減少によって経済が停滞するリスクが増大することになるとみられている。現時点で金融市場は英国のEU離脱の可能性を十分織り込んでいないため、投票日までは予断を許さない状態が続くと見られている。
図1:直近1年のポンド/円(日足チャート)
- ※当社WEBサイトを通じて、SBI証券が作成
G20後も不透明要因は山積み
G20では、こうした不透明要因に対する各国の協調体制が確立するとの声が聞かれるが、3月に日米欧が金融政策決定会合を開催することから、市場の雰囲気を一変させる協調体制の確立は難しいとの見方もある。3月10日のECBでは、追加の金融緩和が実施される公算が大きい一方、15-16日の米FOMCは金利引上げ見送りが市場コンセンサスとなるなど欧米の金融政策の方向性はある程度見えている。ただ、14-15日の日銀金融政策決定会合に関しては、追加の金融緩和実施を見極めるのは非常に難しい。いまだに東京市場はマイナス金利導入を消化しきれていないことを考慮すると何らかの策を打つのではないかという声がある一方、マイナス金利導入の効果を確認するためにある程度時間を置くとの指摘もある。つまり欧米市場と比べると東京市場はより不透明感が強い市場と言えよう。
日経VIが低下するまでは明確な反発は難しい |
上記のように3月も不透明要因を抱えていることから日本株はさえない推移が続くと見る。
225先物は2月高値17,900円−2月安値14,800円の下落幅に対する50%戻し水準の16,350円が上値抵抗ラインとなっている。原油価格反発や円高推移一服などを材料にこの水準を上抜く場面は見られそうだが、右肩下がりの25日移動平均線が位置する16,500円レベルを明確に上抜き17,000円台を回復するのは難しいと見る。
それは日経VIが35pレベルと高い水準で推移しているからだ。日経VIが25p台まで低下するまでは、ボラタイルな相場展開を警戒する投資家は売買を手控えよう。こうした要因から、G20を通過しても、3月の日米欧の金融政策決定会合の重要イベントをクリアするまでは明確な反発は入らないと想定する。しばらくは2月12日につけた安値14,800円から25日移動平均線レベルの16,500円での推移か。
図2:直近1年の日経平均VI(日足チャート)
- ※当社WEBサイトを通じて、SBI証券が作成
図3:直近1年の日経平均株価(日足チャート)
- ※当社WEBサイトを通じて、SBI証券が作成
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