日経平均株価は2/12(金)に14,952円61銭を付け、1年4ヵ月ぶりの安値を記録しましたが、とりあえずはその水準が底となっているようです。そして、その後の推移をみる限り、株価は一時に比べるとかなり落ち着きを取り戻してきたと言えそうです。
2/15(月)以降の予想PERの動きをみると、おおよそ14倍前後での推移となっています。現在、日経平均の予想EPSは1,155円(2/24)ですから、PER14倍をかけると16,170円です。実際の日経平均株価はおおよそ1万6千円前後を推移しています。日経平均株価は急落および急騰を経て、ある意味で当面の「均衡点」(PER14倍・16,000円)を見出したのかもしれません。
営業時間中、毎日のように数百円も上下するような相場からみると平穏とも言えます。しかし、このような保ち合い局面こそ、次の急騰あるいは急落へ向けたエネルギーを蓄えている可能性があります。今回も「嵐の前の静けさ」なのかもしれません。日経平均はどちらに動くでしょうか。
日経平均を「引き上げる力」と「押し下げる力」が拮抗?それが崩れる可能性は? |
日経平均株価は2/12(金)に14,952円61銭と、1年4ヵ月ぶりの安値を記録しましたが、その後は反発・反落を経て落ち着きを取り戻しつつあります。「日経平均株価16,000円前後、予想PER14倍前後」が足元の均衡点になっているようにも思われます。しかし、こうした「均衡」は実際には、日経平均を「引き上げる力」と「押し下げる力」が拮抗した結果もたらされていると考えられます。したがって、「均衡」が崩れれば株価は大きく上下することになりそうです。
株価を「引き上げる」材料となりそうなのが「NY株」と「原油」です。前者については、機関投資家の多くが参考にするS&P500でみた場合、1,950ポイントを超えてくると「Wボトムからの上放れ」とみなされるかもしれません。原油安やドル高がいったんは織り込まれつつあり、「売られ過ぎの反動」に過ぎないのかもしれません。しかし、原油価格自体が実は底入れしているかもしれず、「米国株高」、「原油高」という形で、さらに強い日本株への追い風になる可能性があります。新興国経済が減速しているとはいえ、そのエネルギー需要自体は増加しており、供給の増加が鈍化すれば、価格は十分底入れする可能性があるためです。
中期的には「マイナス金利」の効果も浸透してきそうです。銀行がいきなり株式投資を増やす可能性は小さいですが、地銀等によるREIT買い需要は拡大しそうです。また、上場企業にとっては設備投資やM&A、自社株買いを増やす動機付けになりそうです。2/15(月)にはソフトバンク(9984)が5,000億円規模の自社株買いを発表しましたが、今後、このようなニュースが増えてくれば、株式市場の反応も変わってくる可能性があります。
反面、株価を「押し下げる」材料としてはドル・円相場が指摘されます。2/11(木)に1ドル110円97銭を付けた後、2/16(火)には114円87銭まで戻りましたが、2/23(火)には再び1ドル111円台の円高・ドル安水準となっています。2月から3月にかけ、企業が新年度の予算を組む段階で円高が進んでいるため、新年度の見通しが一層シビアになる可能性もありそうです。本来ならば、米国が利上げをし、日本がマイナス金利を導入した後で「円高・ドル安」となるのは非常に不思議な印象を与えます。しかし、昨年末以降、日本の長期金利が0.3%下がる間に、米国では0.5%も下がっており、金利差が縮小したことが円高につながりました。米景気・企業業績に冴えない材料が続くと、米長期金利が一層低下する可能性があり、その分、円高・ドル安が続く可能性はありますので、注意が必要です。
ただ、ドル・円相場はやはり、2/11(木)が円高・ドル安の転換点だったかもしれません。米10年国債利回りは2/11に一時1.662%まで低下しましたが、さらに低下した場合、昨年1/30(金)のボトム水準である1.646%が意識されることになりますが、冷静に考えた場合、現在の政策金利が0.25〜0.50%なのに対し、昨年1月時点では0.0〜0.25%でした。昨年よりも今年の方が政策金利が上がっているのに長期金利は下落という形になったとすれば「歪み」が生じてきたと考えるのが普通かと思います。
上記したように、「NY株」や「原油」に底離れの様相が強まってくれば、リスク回避の円買いは後退し、為替も円安・ドル高方向へ反転する可能性が膨らみます。相場の流れが変わる時は、米国株、原油相場、為替の流れも変わるとみられ、それがさらに株価の振幅を増幅させる可能性もあると考えられます。
図1:日経平均株価(日足)・一目均衡表 現状で「好転」の要素を見出すことはできないが・・・
- ※当社チャートツールをもとにSBI証券が作成。データは2016/2/24現在。
【ココがPOINT!】素直に「コールの買い」でチャンスはないか? |
日経平均株価は昨年末には19,000円に乗せていましたが、足元では16,000円前後と下落しています。こうした「現物株」の動きを反映して、コール・オプションも大きく下落しています。図2は日経平均株価コール・オプション(2016年3月限・権利行使価格16,500円)のプレミアム価格推移ですが、2/2(火)には一時1,530円の高値がありましたが、足元ではほぼ10分の1くらいの水準に下落しています。
仮に上記の読み通りに、日経平均株価が反発した場合、どの程度まで上昇が見込めるでしょうか。ここで重要なのは大局観です。次に想定される反発局面は、もしかすると下落相場の中での反発局面にとどまる可能性があります。また、足元の下落相場は12/1(火)の20,012円から2/12(金)の安値14,952円へ5,060円下げた相場に対する反発とみられます。したがって「半値戻し」なら、14,952円を起点にプラス2,530円程度、「3分の1戻し」ならプラス1,680円程度上昇した水準が想定されます。戻りのメドとして弱めの場合16,632円、強めの場合17,482円と計算されることになります。
ちなみに、2/24(水)の日経平均予想EPSは1,155円でした。また、アベノミクス相場で日経平均の予想PERは概ね15倍±10%枠内で推移しています。仮にPER15倍程度までの戻りがあると仮定するならば、
1,155×15=17,325円
と計算されます。仮に日経平均が反発した場合、この水準は週足の13週移動や52週移動平均が上値抵抗ラインになってきそうです。どうやら日経平均株価17,000円前半くらいまでのリバウンドは期待してよいかもしれません。
だとすれば、権利行使価格16,500円のコールで、そのプレミアムが200円を割っている(2/23)のような現状は投資採算に合いそうです。
もちろん、利益を得るには想定した相場観を的中させる必要があります。オプション取引では、単純に強いとか弱いとかにとどまらず、上値や下値のメドなど、相場観をしっかりと組み立てておく必要があります。一見面倒くさそうですが、相場をよく吟味するクセを付けると、現物株の取引にも役に立ちそうです。
図2:日経平均コール・オプション(2016/3月限・権利行使価格16,500円)のプレミアム価格の推移
- 日経平均オプション・データをもとにSBI証券が作成。データは2016/2/24現在。