1万8千円後半まで上昇した、その歴史的意味 |
図表1:日経平均株価の長期推移
- ※BloombergデータをもとにSBI証券が作成。
日経平均株価が1万8千円台後半まで上昇してきました。そのことの意味を長期的な株価推移の中で、改めて考えたいと思います。図表1は、日経平均株価の1999年以来の推移であり、今の株価水準について考える材料になります。
日経平均株価は2015年2月に入り、2007年7月の高値18,300円を抜いてきました。この株価水準はリーマン・ショック前の高値水準であり、企業業績における最高益を織り込んだ水準です。くしくも、ドルの円に対する数年来の高値も2007年6月の123円台でしたので、それを織り込んだものとも考えられます。今期、企業業績は120円近辺のドル・円相場を背景に、最高益更新の可能性が大きくなっています。その意味では、日経平均株価は企業業績を反映した妥当な株価水準と考えることができます。
ちなみに、2007年高値を超えると、次のチャート上の大きな節目は、2000年4月の20,833円(IT相場の高値)となります。2007年2月高値からは13%上方の水準です。この水準を回復することは可能でしょうか。上場企業の業績が今後1年間で、現在の最高益水準から13%程度上積みになれば、企業収益との比較上は可能と考えることができます。
今後は、(1)原油安のマイナスの側面が先に織り込まれ、今後はプラス面が表れやすいこと、(2)米政策金利の引き上げが意識される中で、円安・ドル高の余地が残ること、(3)消費税増税の悪影響の部分が剥落してくること、(4)法人税減税の効果が見込まれること、等を背景に「上場企業が2015年度に10数%増益」となるシナリオは、十分想定されると思います。
日経平均株価を長期的視野で考えた場合、現在の株価水準は「高値」ではなく、「通過点」になる可能性が大きいと「ココがポイント」では、考えています。
「ドル建て日経平均」でみた節目は? |
図表2:ドル建て日経平均の推移
- ※BloombergデータをもとにSBI証券が作成。
通常我々が目にしている「円建て」で日経平均株価をみると、2013年以降はかなりの急角度で上昇してきた形になっています。しかし、「ドル建て」で見ると、別の姿が見えてきます。即ち、2013年途中からは「一進一退」に見える動きとなっています。これは、株高と円安が同時に進行していた結果、日経平均(円)が上昇しても、ドル換算した金額が目減りしてしまったからです。
その意味で、ドル建て日経平均は150ドル近辺に大きな節目があった形となっています。そして2013年末に一時155ドルまで上昇していましたので、それ以降はこの「155ドル」が重要な節目になっていたと考えられます。
「ドル建て日経平均株価」の考え方が重要なのは、海外投資家について考える時です。海外投資家にとり、日経平均(ドル)は、上値の重い展開でしたが、ここにきて「上放れ」の様相を呈してきました(図表2)。折しも、米国は将来の利上げを指向していること、欧州は市場で「期待」されていた量的緩和を実現した後で、株式市場としては、面白味が一巡した形になっています。その中で、日本株が再度注目されつつあるだけに、日経平均「155ドル」超えはむしろ、弾みになる可能性もありそうです。
なお、ドルベースの日経平均では、次の大きな節目が198ドルになっています。これを1ドル120円で換算すると23,730円と計算されます。
過熱感を伴いながらの上昇になる可能性も |
図表3:日経平均コール・オプション(2015年3月限・権利行使価格18,000円)のプレミアム推移
- ※日経平均オプション取引データをもとにSBI証券が作成。最新データは2015年2月26日ですが、その終値は反映されていません。
長期的視野の中で考えた時、日経平均株価には上値余地がありそうなことをご紹介してきました。そして、海外投資家からの注目が高まる可能性についても触れてきました。日経平均株価は久方ぶりにスケールの大きな上昇相場になりつつあります。
それを考えると、いくつか点灯した「過熱シグナル」が相場の反転・下落に、すぐには、つながらない可能性もあります。RSIや騰落レシオが高水準で横ばいながら、ジリジリと上昇するケースも想定されます。従って、3月のSQが接近してきたことを手掛かりに、時間的価値の減価を狙った「コールの売り」は、リスクが膨らむ可能性があり、注意が必要とみられます。短期的な調整にベットしたいときは、むしろ、シンプルに、プットの買いを、投資タイミングを計りながら、展開した方が良いとみられます。
メインシナリオとしては、引き続き「コールの買い」を中心に考えてもよいかもしれません。ただ、ボラティリティが高まる可能性があり、押し目買いスタンスで臨む方が良いかと思います。
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