<今週のココがPOINT!>日経平均が「節目の株価」を上放れてきた意味を考えたい
日経平均は中期的に16,600円まで上昇も |
2014年2月以降、日経平均株価は概ね、予想PER14倍〜15倍のラインで推移してきました。言い換えれば、予想PER15倍のラインに到達すると、跳ね返され、下落に転じる展開が続きました。しかし、ここにきて、日経平均が予想PER15倍のラインを突破して更に上昇する可能性が膨らんできました。
仮に、日経平均が予想PER15倍〜16倍のレンジで推移するようになれば、日経平均が16,000円台に乗せるのみならず、中期的には16,600円程度まで上昇する可能性もありそうです。今回の「オプションのココがPOINT!」では、なぜ、そのような可能性が膨らんできたのか、そこで取るべき戦略は何か、考えていきたいと思います。
日経平均「15,600円超え」の意味 |
図1:日経平均(日足)と予想PER14倍、15倍、16倍ライン
- ※日経平均データを用いてSBI証券が作成。チャートのデータは2014年9月4日終値現在。
2014年2月以降、日経平均株価は概ね、予想PER14倍〜15倍のラインで推移してきました。言い換えれば、予想PER15倍のラインに到達すると、跳ね返され、下落に転じる展開が続きました。図1にある通り、日経平均は3月、8月と、予想PER15倍ラインに到達しましたが、それ以降は下げてしまっています。
現在、日経平均の予想EPS(一株利益)は1,040円前後を推移しています。このEPSに対し、PER15倍まで日経平均を買った場合、
1,040円(予想EPS)×15倍(予想PER)=日経平均15,600円
という計算になります。7月末から8月にかけ、日経平均はたびたび15,600円を超える水準まで上昇しましたが、そこで跳ね返されてきたことになります。「節目の株価」とは、15,600円だった訳です。ちなみに、日経平均の高値を予想PER15倍程度に相当する15,600円前後までに抑えつけてきた要因は何でしょうか。
(1)2012年11月以降、株価上昇をけん引した「円安」に一巡感が台頭し、外為相場の動きが鈍くなったこと
(2)消費税増税後の日本経済が予想以上に厳しかったこと
等があげられると思います。
こうした中、9月3日に、日経平均株価は一時15,829円まで上昇し、「節目の株価」を超えるようになってきました。このことは、これら2つの要因に変化の兆しが出てきたことを意味していると考えられます。それが本当だとすれば、日経平均が推移する予想PERのレンジが15倍〜16倍程度に上昇する可能性もあります。
1,040円(予想EPS)×16倍(予想PER)=日経平均16,640円
ですので、日経平均は中期的に16,640円を目指す展開になるかもしれません。
日経平均株価が「節目の株価15,600円」を超えて推移する可能性が増大 |
図2:「円安・ドル高」方向へ上放れの兆しをみせるドル・円相場
- ※三菱東京UFJ銀行対顧客相場データをもとにSBI証券が作成。
前述しましたように、外為相場が膠着状態に陥っていたことが、日経平均の頭を抑えつけてきた要因のひとつと考えられます。しかし、今後は円安・ドル高方向に放れる可能性が強まっており、日経平均もその追い風を受けそうです。
最大の理由は、米国経済の状態が非常に良いと考えられることです。最も重要な雇用面については、非農業部門雇用者数の増加数(前月比・季節調整済み)が7月までの半年間、月24万人ペースで増加。リーマン・ショック後に10%まで上昇した失業率も6%程度まで低下してきました。寒波で一時的に悪化していた住宅市場も改善を示す指標の発表が続き、企業のマインドを示す各地域連銀の指数も上振れが目立ってきました。10月28〜29日実施予定のFOMC(米連邦公開市場委員会)で、量的緩和がついに終わるはこびとなっていますので、市場の話題は「政策金利の引き上げはいつか」という点に移ってゆくと予想されます。
一方、日本では2015年10月に予定されている消費税率の再引き上げを成功裏に実施するためにも、日銀の緩和的金融政策は長期化する可能性が大きいと予想されます。こうした日米の金融政策の方向感の差が市場に浸透することで、ドル・円相場は105円超えから110円を目指す展開に転じる可能性がありそうです。
なお、日本では2014年4〜6月期のGDPが▲6.8%と、予想外の落ち込みになったこともあり、消費増税後の日本経済は厳しい状態であるとの認識が強まっているように思われます。西日本が30年に1度の大雨に見舞われ、冷夏となったことも、今後、経済指標に悪影響を与える可能性がありそうです。ただ、7月の現金給与総額が17年半ぶりの伸びとなり、一部百貨店で、8月の売上高がプラスに転じるなど、既に最悪期は脱した感が強まっています。銀行の不良債権問題が悪化傾向を辿っていた1997年同様の厳しい状態は、もともと想定しにくく、日本経済の着実な回復は続くとみられます。
円安が進み、個人消費など内需に落ち着きがみられ始めれば、10月下旬以降の2014年7〜9月期決算発表で、企業業績予想の上方修正が増える可能性もありそうです。そして、そのことが更なる株価の上昇につながる可能性も想定されます。
ここから取るべき戦略は? |
図3:日経平均オプション・9月限・コール・プレミアムの価格推移(日足)
- ※日経平均オプション・データをもとにSBI証券が作成。
以上ご説明してきたように、日経平均株価が「節目の株価15,600」円を上放れ、1万6千円台での推移にも現実味が台頭してきました。そこで、改めて注目したいのがオプション取引です。予想通り、株式相場が「強気」の様相を強めてゆくのであれば、コール・オプションの「買い」が注目されることになります。
ちなみに、直近限月である9月物オプションは、9月11日(木)に最終取引日、12日(金)にSQ算出日を迎えます。取引できる日数が少なくなっているため、基本的には10月限での取引を検討し始めるタイミングだと思います。9月4日現在、日経平均コール・オプション10月限・権利行使価格16,000円のプレミアム価格は130円(日中終値)となっています。このオプションで利益を出すには、理論上、日経平均が16,130円超になってくれば良い計算です。昨年12月30日に付けた日経平均の戻り高値が16,320円ですので、十分可能性のある株価だと思われます。
図3は日経平均コール・オプション(9月限)権利行使価格16,000円のプレミアム価格推移を示しています。この限月は取引できる期間がほとんどなくなっており、上昇しにくくなっています。9月4日の日中終値は29円と低水準になっています。ただ、日経平均が節目の株価を上抜けてきたため、9月限のこのコールにも「儲け」の芽は残されているように思われます。逆に、このコール・オプションを売ることで「着実に利益を確保しよう」との投資行動には「大けがのリスク」が内包していると考えた方が良さそうです。
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