先週の225先物は前週末の終値比で110円高(上昇率0.38%)の29,040円と続伸した。セントルイス連銀のブラード総裁が「2022年内に利上げの可能性はある」と発言したことで、タカ派サプライズのFOMCを消化しきれていない市場に一層の警戒感が広がり、前週末の米株式市場でダウが500ドル超と急落。これを受けた週明けの東京市場でもリスク回避の動きが先行し、ヘッジファンドなど短期筋が先物主導で売り込んできた。
週初の225先物は一時1,200円超下げ27,720円まで下押す場面も。しかし、ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁のハト派発言で安心感が台頭すると、急落は過剰反応との見方から週明けの米株が大幅反発。リフレトレードの後退で売り込まれていた景気敏感株にも押し目買い入ったことでムードは一転。この流れを映して東京市場でも翌22日には1日にして売り方の買い戻しが一気に入り、前日の下げをほぼ取り戻す格好に。21日、22日の225先物の日中売買高は前週までの3〜4倍ほどに膨れ上がった。
6月18日時点の裁定残高は、ネットベースで5,623億円の買い越し(前週は2,983億円の買い越し)と増加した。株数ベースでは、1億8,893万株の買い越しで、6月11日時点(9,539万株の買い越し)から増加している。
日経平均と裁定残(6月18日時点)
週初は両先物にて海外勢が大幅売り越し
週初の急落時には海外勢の売り越しが目立ち、225先物ではBofA証券、シティG、CS、ドイツが、TOPIX先物ではGS、UBS、JPモルガンなどが目立った。
買い戻しが入った翌22日には225先物でJPモルガン、ドイツが、TOPIX先物ではモルガンS、BofA証券が目立った。なお、21日には日銀のETF買いが入った。
日経225先物手口(期近) 週間累計上位15社(売り買い差し引き)
- ※各取引所より発表される売り買い上位20社のデータをもとに、売り買いの差し引き週間累計の上位順に表示してあるため、日々ベースで上位となっている証券会社でも表示されていないケースがあります。また日々発表される手口は20位以下が未発表であるため、差し引きが実際とは異なる(大きく傾いて表示される)場合があります。日々の手口は限月間スプレッドを含み、イブニング、立会外及びSGXは含んでいませんが、推定建玉はイブニング、立会外の分も加味しています。尚、推定建玉は週初一回のみ各取引所より発表される建玉残に日々の売り買い差し引き枚数を加減算した推計値となっています。
TOPIX先物手口(期近) 週間累計上位15社(売り買い差し引き)
- ※各取引所より発表される売り買い上位20社のデータをもとに、売り買いの差し引き週間累計の上位順に表示してあるため、日々ベースで上位となっている証券会社でも表示されていないケースがあります。また日々発表される手口は20位以下が未発表であるため、差し引きが実際とは異なる(大きく傾いて表示される)場合があります。日々の手口は限月間スプレッドを含み、イブニング、立会外及びSGXは含んでいませんが、推定建玉はイブニング、立会外の分も加味しています。尚、推定建玉は週初一回のみ各取引所より発表される建玉残に日々の売り買い差し引き枚数を加減算した推計値となっています。
日経平均ボラティリティー・インデックス(VI)は前週末の終値比0.54pt安(下落率2.93%)の17.86ptと低下した。ブラード総裁のタカ派発言で相場が急落した前週末の米株市場では、米VIX指数も約1カ月ぶりに警戒水準の20ptを超えた。
これを受けた週明けの東京市場でも相場が急落するなか警戒感が強まり、日経VIは25.89ptまで跳ね上がった。
しかし、ウィリアムズ総裁のハト派発言から安心感が広がると、米VIX指数はすぐにまた20pt割れに。東京市場でも買い戻しが進み急落前の水準に戻したことで安心感が生まれた。
日経VIも22日から週末にかけて低下基調となり、17.86ptと再び警戒水準20ptを大きく割り込んだ。
ボラティリティ
NT倍率(先物)は低下、連銀総裁発言で乱高下、週初の売り仕掛けが重しに
NT倍率(先物)は低下した。セントルイス連銀総裁が2022年内の利上げの可能性を示唆したことで警戒感が強まり、前の週末の米株市場の大幅下落を背景に週初の東京市場は全面安。ヘッジファンドなど短期筋が先物主導で売りを仕掛けたことで225先物の下げ幅は一時1,200円を超える場面も。
これを受けて現物株市場でも値がさ株中心に急落する展開に。ただ、その後のNY連銀総裁やパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長のハト派発言を受けて即座に下落分を取り戻す展開に。結局、225先物は波乱前の水準に持ち直したものの、週初の売りが重しとなり、週間ベースでは低下となった。
今週の225先物はもみ合いか。前週は前半の2日間で先物売買高が3〜4倍に膨れ上がり、海外勢の活発な動きが見られた。しかし、その後、FOMCのイベント前にもみ合っていた29,000円近辺まで戻してからは再び225先物の日中売買高は1万枚程度と低調に戻っている。
今週は中国で製造業PMI、米国でISM製造業景気指数などが控えているほか、日本では日銀短観がある。また、週末には米雇用統計もある。これまで、FRBの金融政策の動向を巡って相場が乱高下してきただけに、米雇用統計は改めて注目されやすく、週末まで様子見ムードが強くなりそうだ。
一方、5月に発表された4月米CPIショック以降、市場は大分耐性をつけてきている様子で、225先物についても29,000円水準が定着してきている。そのため、再び前週のような乱高下が起こるとも想定しにくい。重要な指標が多いとはいえ、これらが先物市場で材料視される可能性も低いだろう。
今週からは小売企業の決算が始まり、その先には主力企業4-6月決算が控えている。目線は現物株市場に向かっていく可能性が高く、先物市場は閑散相場が続きそうだ。今週の225先物予想レンジは28,500-29,500円とする。
経済スケジュール(6月28日〜7月2日)
日付 |
曜日 |
国内 海外 |
時間 |
内容 |
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6月28日 | 月 | 国内 | 08:50 | 日銀金融政策決定会合における主な意見(6月17、18日分) |
10:10 | 国債買い入れオペ(残存3-5年、残存5-10年、残存25年超)(日本銀行) | |||
コンフィデンスが東証マザーズに新規上場(公開価格:1760円) | ||||
海外 | 21:30 | ブ・ローン残高(5月) | ||
21:30 | ブ・融資残高(5月) | |||
21:30 | ブ・個人ローン・デフォルト率(5月) | |||
米・ニューヨーク連銀総裁が国際決済銀行(BIS)主催のパネル討論会に参加 | ||||
米・バイデン大統領がイスラエル大統領と会談 | ||||
欧・欧州復興開発銀行(EBRD)年次総会(7月2日まで) | ||||
スペイン・Mobile World Congress 2021(MWC21、7月1日まで) | ||||
6月29日 | 火 | 国内 | 08:30 | 有効求人倍率(5月) |
08:30 | 失業率(5月) | |||
08:50 | 小売売上高(5月) | |||
08:50 | 百貨店・スーパー売上高(5月) | |||
10:00 | 任天堂、ANAHD、三菱重、武田薬、富士フHDなどが株主総会 | |||
17:00 | 長期国債買い入れの月間予定(7月、日本銀行) | |||
年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の宮園理事長が気候関連の投資家イベントで講演 | ||||
BlueMemeが東証マザーズに新規上場(公開価格:2820円) | ||||
Waqooが東証マザーズに新規上場(公開価格:1920円) | ||||
オムニ・プラス・システム・リミテッドが東証マザーズ(外国株)に新規上場(公開価格:960円) | ||||
海外 | 18:00 | 欧・ユーロ圏景況感指数(6月) | ||
18:00 | 欧・ユーロ圏消費者信頼感指数(6月) | |||
20:00 | ブ・FGVインフレ率(IGP-M)(6月) | |||
21:00 | ブ・PPI製造業(5月) | |||
21:00 | 独・消費者物価指数(6月) | |||
22:00 | 米・S&P/コアロジックCS20都市住宅価格指数(4月) | |||
22:00 | 米・FHFA住宅価格指数(4月) | |||
23:00 | 米・消費者信頼感指数(6月) | |||
米・リッチモンド連銀総裁が討論会参加 | ||||
伊・G20外相会合 | ||||
ベルギー・ブリュッセル・エコノミック・フォーラムに独・メルケル首相やラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁らが参加 | ||||
「OPEC(石油輸出国機構)プラス」の共同技術委員会(JTC)開催 | ||||
6月30日 | 水 | 国内 | 08:50 | 鉱工業生産指数(5月) |
13:00 | 自動車生産台数(4月) | |||
14:00 | 消費者態度指数(6月) | |||
14:00 | 住宅着工件数(5月) | |||
プラスアルファ・コンサルティングが東証マザーズに新規上場(公開価格:2300円) | ||||
日本銀行政策委員会審議委員に中川順子氏が就任(29日付で任期満了に伴い退任した政井貴子氏の後任) | ||||
海外 | 10:00 | 中・非製造業PMI(6月) | ||
10:00 | 中・製造業PMI(6月) | |||
10:00 | 中・総合PMI(6月) | |||
15:00 | 英・GDP改定値(1-3月) | |||
16:55 | 独・失業率(失業保険申請率)(6月) | |||
18:00 | 欧・ユーロ圏消費者物価コア指数(6月) | |||
19:30 | 印・財政赤字(5月) | |||
21:00 | 印・インフラ産業8業種(5月) | |||
21:00 | 南ア・貿易収支(5月) | |||
21:00 | ブ・全国失業率(5月) | |||
21:15 | 米・ADP全米雇用報告(6月) | |||
21:30 | ブ・基礎的財政収支(5月) | |||
21:30 | ブ・純債務対GDP比(5月) | |||
22:45 | 米・MNIシカゴ購買部協会景気指数(6月) | |||
23:00 | 米・中古住宅販売成約指数(5月) | |||
印・経常収支(1-3月) | ||||
経済開発協力機構(OECD)・G20のBEPS(税源浸食と利益移転)関連会合(7月1日まで) | ||||
米・下院金融委員会小委員会が暗号資産に関する公聴会開催 | ||||
「OPECプラス」の共同閣僚監視委員会(JMMC)開催 | ||||
7月1日 | 木 | 国内 | 08:50 | 対外・対内証券投資(先週) |
08:50 | 日銀短観(大企業製造業DI)(4-6月) | |||
09:30 | 製造業PMI(6月) | |||
14:00 | 自動車販売台数(6月) | |||
海外 | 10:30 | 豪・貿易収支(5月) | ||
10:45 | 中・財新製造業PMI(6月) | |||
14:00 | 印・製造業PMI(6月) | |||
17:00 | 欧・ユーロ圏製造業PMI(6月) | |||
18:00 | 欧・ユーロ圏失業率(5月) | |||
20:00 | ブ・FGV消費者物価指数(IPC-S)(6月) | |||
21:30 | 米・新規失業保険申請件数(先週) | |||
22:00 | ブ・製造業PMI(6月) | |||
23:00 | 米・建設支出(5月) | |||
23:00 | 米・ISM製造業景況指数(6月) | |||
27:00 | ブ・貿易収支(6月) | |||
米・自動車販売(6月、2日までに) | ||||
OPEC総会 | ||||
「OPECプラス」閣僚級会合 | ||||
英・ベイリーイングランド銀行(英中央銀行)総裁が基調講演 | ||||
英・ベイリー英中央銀行総裁が講演 | ||||
香港・株式市場は祝日のため休場(香港返還記念日) | ||||
7月2日 | 金 | 国内 | 08:50 | マネタリーベース(6月) |
10:00 | 営業毎旬報告(6月30日現在、日本銀行) | |||
運用状況公表、宮園理事長が会見(GPIF)(20年度第4四半期と通期) | ||||
海外 | 17:00 | ブ・FIPE消費者物価指数(6月) | ||
18:00 | 欧・ユーロ圏生産者物価指数(5月) | |||
21:00 | ブ・鉱工業生産(5月) | |||
21:30 | 加・貿易収支(5月) | |||
21:30 | 米・貿易収支(5月) | |||
21:30 | 米・非農業部門雇用者数(6月) | |||
21:30 | 米・失業率(6月) | |||
21:30 | 米・平均時給(6月) | |||
23:00 | 米・製造業受注(5月) | |||
25:00 | 露・GDP(1-3月) | |||
第9回太平洋・島サミット(PALM9) | ||||
欧・ECB総裁が講演 |
- 提供:フィスコ社