先週の225先物は前週末比510円高の21,200円と大幅に反発した。名実ともに9月相場入りしたが、初日の取引である2日は東証1部の売買代金、出来高がともに今年最低を記録するなど、閑散相場が続き方向感の乏しい動きとなった。
その後、香港政府が逃亡犯条例の撤回を発表したことに加え、英議会は欧州連合(EU)離脱延期法案を賛成多数で可決したことで、市場の重しになっていた政治リスクに対する過度の懸念が後退。更には、米中交渉再開期待が高まるなど好材料が相次いだことから、225先物にも買い戻しの動きが強まり、8月2日以来約1カ月ぶりに終値ベースで21,000円台を回復した。
8月30日時点の裁定残高は、ネットベースで1兆4,498億円の売り越し(前週は1兆4,251億円の売り越し)と増加した。株数ベースでは、7億1,988万株の売り越しと8月23日時点(7億117万株の売り越し)比で増加している。
日経平均と裁定残(8月30日時点)
海外ファンドの買いが目立つ週に
225先物の手口では、週初と週末に大きく売り越した野村が売り方トップになったほか、週を通じてコンスタントに売りをこなしたみずほ証券がこれに続いた。一方、買い手口では、週末にかけて大きく買い越したCSが買い方筆頭になったほか、ドイツ、メリル、JPモルガンの海外勢がコンスタントに買いをこなした。市場では、8月初旬に約1万枚規模で売り越していたCSによる買い戻しが急速に進んだとの見方もあった。TOPIX先物の手口では、ソジェン、モルガンS、BNPパリバの海外勢がコンスタントに売りをこなし売り方上位に並んだ。一方で、買い手口では、3日と6日に大きく買い越したHSBCが買い方トップになったほか、週末に大きく買い越したGSなど海外勢が上位に名を連ねた。
日経225先物手口(期近) 週間累計上位15社(売り買い差し引き)
- ※各取引所より発表される売り買い上位20社のデータをもとに、売り買いの差し引き週間累計の上位順に表示してあるため、日々ベースで上位となっている証券会社でも表示されていないケースがあります。また日々発表される手口は20位以下が未発表であるため、差し引きが実際とは異なる(大きく傾いて表示される)場合があります。日々の手口は限月間スプレッドを含み、イブニング、立会外及びSGXは含んでいませんが、推定建玉はイブニング、立会外の分も加味しています。尚、推定建玉は週初一回のみ各取引所より発表される建玉残に日々の売り買い差し引き枚数を加減算した推計値となっています。
TOPIX先物手口(期近) 週間累計上位15社(売り買い差し引き)
- ※各取引所より発表される売り買い上位20社のデータをもとに、売り買いの差し引き週間累計の上位順に表示してあるため、日々ベースで上位となっている証券会社でも表示されていないケースがあります。また日々発表される手口は20位以下が未発表であるため、差し引きが実際とは異なる(大きく傾いて表示される)場合があります。日々の手口は限月間スプレッドを含み、イブニング、立会外及びSGXは含んでいませんが、推定建玉はイブニング、立会外の分も加味しています。尚、推定建玉は週初一回のみ各取引所より発表される建玉残に日々の売り買い差し引き枚数を加減算した推計値となっています。
日経平均ボラティリティー・インデックス(VI)は前週末比1.69pt安(下落率9.33%)の16.41ptと大幅に反落。香港や英国の政治的リスクの後退を背景にVIは下落基調を辿った。また、米中通商協議が10月に再開されると中国当局が正式に発表すると、米中通商協議に対する進展期待が高まり、VIは一段と低下基調を強め、週末には一時15.97ptまで下落する場面もあった。日経平均は5日に21,000円の大台に乗せたことも安心感に繋がったようだ。
ボラティリティ
NT倍率(先物)は上昇、13.7倍台後半
前週の日経平均は、週半ばまで上値の重い展開が続き、これに伴いNT倍率も13.7倍を再び割り込む場面があった。レーバー・デーの祝日に伴う米休場で売買低調となるなか、米中貿易協議の先行きに対する懸念が日経平均の重しとなった。ただ、米中の閣僚級協議が10月に開かれる見通しとなると、協議進展への期待から日経平均は急伸。NT倍率は13.7倍台後半まで上昇した。
今週の225先物は、三連休などを控えるなか、上値の重い展開となりそうだ。外部環境の落ち着きを背景に225先物はリバウンド色を強めているものの、主な背景としては、海外短期筋による8月初旬の大幅売り越し分の買い戻しの動きが主体となっており、次の節目である21,500円処を大きく上抜けるには一段のエネルギーが必要となってこよう。
来週17、18日開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)を中心に日米欧の金融緩和期待もより強まるとみられ、下支え要因として意識されるなか、週末の特別清算指数(SQ)算出日、来週の三連休を前に持ち高調整の動きなども想定されやすいだろう。
こうしたなか、11日には内閣改造、12日は欧州中央銀行(ECB)理事会があるほか、日米中で経済指標の発表も多く、これらに一喜一憂する展開となるだろう。予想レンジは21,000-21,500円とする。
経済スケジュール(9月9日〜9月13日)
日付 |
曜日 |
国内 海外 |
時間 |
内容 |
---|---|---|---|---|
9月9日 |
月 |
国内 |
08:50 |
GDPデフレーター(4-6月) |
08:50 |
貸出動向 銀行計(8月) |
|||
08:50 |
貿易収支(7月) |
|||
08:50 |
銀行貸出動向(含信金)(8月) |
|||
08:50 |
GDP民間企業設備(4-6月) |
|||
08:50 |
GDP民間消費支出(4-6月) |
|||
08:50 |
BOP経常収支調整(7月) |
|||
08:50 |
国際収支(経常収支)(7月) |
|||
08:50 |
GDP改定値(4-6月) |
|||
14:00 |
景気ウォッチャー調査 現状判断(8月) |
|||
14:00 |
景気ウォッチャー調査 先行き判断(8月) |
|||
海外 |
14:45 |
スイス・失業率(8月) |
||
15:00 |
独・貿易収支(7月) |
|||
15:00 |
独・経常収支(7月) |
|||
17:30 |
英・鉱工業生産指数(7月) |
|||
17:30 |
英・商品貿易収支(7月) |
|||
20:00 |
ブ・FGV消費者物価指数(IPC-S)(9月7日まで1カ月間) |
|||
20:25 |
ブ・週次景気動向調査 |
|||
21:00 |
ブ・小売売上高(7月) |
|||
22:00 |
露・GDP(4-6月) |
|||
28:00 |
米・消費者信用残高(7月) |
|||
中・資金調達総額(8月、15日までに) |
||||
中・新規元建て融資(8月、15日までに) |
||||
中・マネーサプライ(8月、15日までに) |
||||
UAE・世界エネルギー会議(WEC)(12日まで) |
||||
北朝鮮・建国記念日 |
||||
英・離脱延期法案成立の可能性。早ければ議会閉会も |
||||
9月10日 |
火 |
国内 |
08:50 |
マネーストック(8月) |
15:00 |
工作機械受注(8月) |
|||
海外 |
10:30 |
中・消費者物価指数(8月) |
||
10:30 |
中・生産者物価指数(8月) |
|||
17:30 |
英・失業率(8月) |
|||
17:30 |
英・ILO失業率(3カ月)(7月) |
|||
20:00 |
ブ・FGVインフレ率(IGP-M、1次プレビュー)(9月) |
|||
23:00 |
米・JOLT求人件数(7月) |
|||
米・アップルがイベント開催 |
||||
中・アリババの馬雲会長が引退 |
||||
9月11日 |
水 |
国内 |
08:50 |
景況判断BSI大企業全産業(7-9月) |
08:50 |
景況判断BSI大企業製造業(7-9月) |
|||
内閣改造・自民党役員人事 |
||||
海外 |
17:00 |
ブ・FIPE消費者物価指数(週次)(9月7日まで1カ月間) |
||
20:00 |
米・MBA住宅ローン申請指数(先週) |
|||
21:00 |
ブ・IBGEサービス部門売上高(7月) |
|||
21:30 |
米・生産者物価コア指数(8月) |
|||
23:00 |
米・卸売在庫(7月) |
|||
香港・「一帯一路」香港サミット2019(12日まで) |
||||
石油輸出国機構(OPEC)月報 |
||||
決算発表 エルメス・インターナショナル |
||||
9月12日 |
木 |
国内 |
08:50 |
対外・対内証券投資(先週) |
08:50 |
国内企業物価指数(8月) |
|||
08:50 |
コア機械受注(7月) |
|||
10:00 |
営業毎旬報告(9月10日現在、日本銀行) |
|||
11:00 |
東京オフィス空室率(8月) |
|||
13:30 |
第3次産業活動指数(7月) |
|||
国債買い入れオペ(残存10-25年、残存25年超、残存5-10年)(日本銀行) |
||||
海外 |
15:00 |
独・CPI(8月) |
||
16:00 |
マレーシア・中央銀行が政策金利発表 |
|||
18:00 |
欧・ユーロ圏鉱工業生産(7月) |
|||
20:00 |
トルコ・中央銀行が政策金利発表 |
|||
20:45 |
欧・欧州中央銀行(ECB)が政策金利発表、ドラギ総裁が記者会見 |
|||
21:00 |
印・CPI(8月) |
|||
21:00 |
印・鉱工業生産(7月) |
|||
21:30 |
米・消費者物価コア指数(8月) |
|||
21:30 |
米・新規失業保険申請件数(先週) |
|||
27:00 |
米・財政収支(8月) |
|||
印・貿易収支(8月、15日までに) |
||||
OPECプラス会合(WECの一環) |
||||
米・2020年大統領選挙に向けた民主党候補者討論会 |
||||
国際エネルギー機関(IEA)月報 |
||||
決算発表 ブロードコム |
||||
9月13日 |
金 |
国内 |
13:30 |
鉱工業生産(7月) |
13:30 |
設備稼働率(7月) |
|||
海外 |
18:00 |
欧・貿易収支(7月) |
||
21:30 |
米・輸入物価指数(8月) |
|||
21:30 |
米・小売売上高(8月) |
|||
23:00 |
米・ミシガン大学消費者信頼感指数速報(9月) |
|||
23:00 |
米・企業在庫(7月) |
|||
欧・ユーロ圏財務相会合 |
||||
中・株式市場は祝日のため休場(中秋節) |
- 提供:フィスコ社