米中貿易摩擦激化!日経平均は下落開始か
貿易摩擦激化懸念からリスク回避の動きに |
先週の225先物は前週末比370円の下落となった。トランプ米大統領が18日、2,000億ドル相当の中国製品を対象に10%程度の追加制裁関税を課すことを表明したことで、世界的な貿易摩擦への警戒感が高まり、225先物は節目の22,500円を大きく下回った。その後は為替の円安や米長期金利上昇などもあって買い戻されたが、週末にかけては、米政権による鉄鋼・アルミニウムへの関税発動に対抗し、インドやトルコが報復関税を発動する見込みにあると伝わるなど、米国を中心とした貿易摩擦が拡大するとの警戒感が強まったこともリスク回避の動きにつながり、再び22,500円を下回って週を終えた。
6月15日時点の裁定残高は、ネットベースで1兆5,584億円の買い越し(前週は1兆3,811億円の買い越し)と増加した。一方、株数ベースでは、7億9,983万株の買い越しと6月8日時点(7億3,934万株の買い越し)比で増加している。
225先物の手口では、ドイツが週を通じてコンスタントに買いをこなし買い方筆頭となったほか、メリル、シティGの海外勢が買い方上位になったほか、SMBC日興やSBIといった国内勢も買い方上位になった。一方、先週は買い方上位に連ねたAアムロCが売り方筆頭に転じたほか、JPモルガン、BNPパリバ、バークレイなどの海外勢が売り方上位になった。また、TOPIX先物では、週初に大きく買い越した大和が買い方筆頭であった一方で、週を通じてコンスタントに売りをこなしたGSやバークレイのほか、メリルなどの海外勢が売り方上位になった。
- ※各取引所より発表される売り買い上位20社のデータをもとに、売り買いの差し引き週間累計の上位順に表示してあるため、日々ベースで上位となっている証券会社でも表示されていないケースがあります。また日々発表される手口は20位以下が未発表であるため、差し引きが実際とは異なる(大きく傾いて表示される)場合があります。日々の手口は限月間スプレッドを含み、イブニング、立会外及びSGXは含んでいませんが、推定建玉はイブニング、立会外の分も加味しています。尚、推定建玉は週初一回のみ各取引所より発表される建玉残に日々の売り買い差し引き枚数を加減算した推計値となっています。
- ※各取引所より発表される売り買い上位20社のデータをもとに、売り買いの差し引き週間累計の上位順に表示してあるため、日々ベースで上位となっている証券会社でも表示されていないケースがあります。また日々発表される手口は20位以下が未発表であるため、差し引きが実際とは異なる(大きく傾いて表示される)場合があります。日々の手口は限月間スプレッドを含み、イブニング、立会外及びSGXは含んでいませんが、推定建玉はイブニング、立会外の分も加味しています。尚、推定建玉は週初一回のみ各取引所より発表される建玉残に日々の売り買い差し引き枚数を加減算した推計値となっています。
日経VIは上昇に転じる |
日経ボラティリティ・インデックス(VI)は、17.55pt。前週末比2.55pt(上昇率17.00%)高と上昇した。米中貿易摩擦への懸念に加え、中国以外の主要貿易相手国との貿易紛争激化に対する警戒感もあり、リスク回避姿勢が強まった。米国が中国に対して、第一弾の制裁関税を発動する7月6日が迫る中、米中当局による水面下の協議により、制裁関税の発動が回避されるのかどうかを見極めるまでは、日経VIも上昇基調をたどる可能性が高そうだ。また、市場からは、CSの動向が今後のカギを握るとの指摘も聞かれる。CSは今年に入りヘッジファンド営業を強化する方針を打ち出し、4月以降、225先物の買い越し基調を維持していたが、先週はわずかながらだが売り越しに転じた。CSの225先物買い建玉は1万枚を超えていたため、上半期末のポジション調整の動きが継続するかも注視しておきたい。
NT倍率(先物)は週半ばにかけて大きく上昇し、一時13倍台に迫る場面も見られた。米中貿易戦争に対する懸念から、内需関連に物色が向かった。ただ、アジア株の反発や円安方向への推移によるハイテク株への見直しの動きに加え、内需関連の利益確定売りなどが重なり、NT倍率は大きく上昇した。
米中貿易摩擦激化!日経平均は下落開始か |
今週は、米国の通商政策に対する警戒感から軟調な展開が想定される。トランプ米大統領は22日、欧州連合(EU)との貿易関係について、「長い間、EUによって米国の偉大な企業や労働者に関税や貿易障壁が課されてきた」と投稿した上で、関税や障壁がすぐに取り除かれなければ「EUから米国に入ってくる全ての自動車に20%の関税を課す」と警告するなど、保護主義政策への警戒感が引き続き相場の重しとなりそうだ。
ただ、トランプ米大統領の過去の行動などを考慮すると、高い牽制球を投げ、譲歩を相手側から引き出した上で、対立を回避する動きが出てくる可能性もあり、米国の通商政策の行方を見定める必要がある。
直近では一連の貿易摩擦を背景にグロース銘柄、ディフェンシブ銘柄が優位に。日経平均は昨年11月7日(2万2937円)と6月13日(2万2966円)でほぼ同水準。しかし、日経平均構成銘柄の指数に与えるインパクトの変化を見ると、指数はほぼ同水準ながら7カ月強の期間で中身が大きく変化してきたトレンドが鮮明に。
マイナス寄与上位ではファナック(6954)193円、ソフトバンク(9984)186円、京セラ(6971)117円、日東電工(6988)111円、東京エレク(8035)77円、武田(4502)76円と6銘柄で日経平均を760円押し下げ。反対にプラス寄与上位ではユニクロ(9983)389円、ファミマ(8028)205円、資生堂(4911)158円、テルモ(4543)133円、ヤマハ(7951)69円、TDK(6762)67円と6銘柄で1,021円、日経平均を押し上げ。
今後を見通すと、7月半ば以降に本格化する主要企業の第1四半期決算発表などを確認するまで方向感は出づらいとの見方もあるが、7月初旬から米国企業の決算が始まるに連れ、少しずつ景気敏感銘柄も見直されてくると期待。日本も為替前提が100円、105円と保守的な企業が多数あるため、為替が110円前後で推移すれば、想定以上の決算になるのではないか。
テクニカルでは75日線(下記チャート緑線):2万2,125円、200日線(ピンク線):2万2,023円が2万2,000円台前半に位置していることで下も堅そう。今週の想定レンジは22,000-23,000円とする。
経済スケジュール(6月25日〜7月1日)
- 提供:フィスコ社
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