10月上旬にかけ、相場の乱高下に注意
円安加速、「アリババ上場」無事通過で下値波乱は回避したが |
ご存知の通り、日経平均株価は8月終値15,424円59銭に対し、9月19日には高値16,364円08銭を付けるなど、上昇基調になりました。ドル・円相場において、8月末104円18銭に対し、9月19日には109円台半ばを付けるなど、円安が加速したことが強い追い風になりました。心配されていたスコットランド独立に関する住民投票(18日)が独立回避で決着したこと、米国で過去最大規模の新規上場となったアリババの上場(19日)が無事終わったこと等もプラス要因になりました。
日経平均株価は、終値ベースでついに、1月8日の年初来高値に加え、昨年末に付けた「アベノミクス相場」の高値である16,291円31銭をも上回りました。節目を抜けたことで、株価は上昇基調を続ける公算が膨らみ、「年末に17,000円を目指す」という声にも、現実味が帯びてくることになりそうです。
ただ、株式相場が年末まで、大きな波乱もなく、上昇を続けるとは限らないでしょう。足元の上昇が加速したことで、むしろボラティリティが上昇し、今後は波乱の場面も出てくる可能性がありそうです。今回の「サキモノのココがポイント!」では、9月後半から10月前半にかけ、日経平均の動きで注意すべき3つのポイントについて、ご説明したいと思います。
図1:日経平均(日足)の推移と10月上旬にかけての相場ポイント
- ※日経平均データを用いてSBI証券が作成。チャートのデータは2014年9月19日終値現在。
少ない資金で大きな利益を狙いたくありませんか?そんな方はこちらを確認!
予想PER16倍に接近 |
図2:日経平均株価(日足)と予想PER14倍・15倍・16倍相当ライン
- ※日経平均公表データをもとにSBI証券が作成。
図2は、日経平均と、その予想PER14倍・15倍・16倍相当ラインを示したものです。グラフ中[1]の期間(2013年後半〜2014年1月頃)は概ね、日経平均株価が予想PER15〜16倍相当の範囲内で推移してきたことを示しています。しかし、グラフ中[2]の期間(2014年2月頃〜8月頃)は、予想PERで14〜15倍のレンジになりました。予想PERのレンジが低下した理由は、(1)外為相場が膠着状態になったこと、(2)消費税率引き上げ(2014年4月)の影響が見極めにくかったこと、等と考えられます。
グラフ中[3]に相当する9月以降、日経平均の予想PERのレンジは再び15〜16倍の水準まで回復してきました。これは、予想レンジの低下をもたらしてきた2つの要因に変化が生じてきたためと考えられます。ひとつは円安の進展で、もうひとつは、消費税増税後の内需の落ち込みが少しずつ緩和してきたためと考えられます。
9月19日現在、日経平均の予想EPS(一株利益)は1,037円で、その予想PER16倍相当水準は16,590円です。当面の株式相場では、だいたいその当たりが転換点になる可能性があります。予想PER16倍を超えて、上昇するには、一層の支援材料が必要になるとみられます。ただ、10月下旬以降の決算発表(2014年4〜9月期)で、企業業績の上方修正が増え、予想EPSが上昇すれば、予想PER16倍相当ラインも「上方修正」されますので、相場の上値メドも上昇することになりましょう。
テクニカル指標の過熱 |
図3:日経平均株価(日足)とRSI(14日)
- ※BloombergデータをもとにSBI証券が作成。RSI(14日)は、次の算式で求められる。
RSI=(14日間の上昇幅)/[(14日間の上昇幅の絶対値)+(14日間の下落幅の絶対値)]×100
図3は、日経平均とRSI(14日)の推移を示したものです。一般的に、RSIが70%を超えると「過熱圏」と考えられていますが、9月19日現在で、この指標が89.5%に達していますので、日経平均は「過熱状態」と考えられます。
また、東証一部の騰落レシオは9月19日現在、119%となっています。この指標は一般的に120%を超えると「過熱圏」と考えられますので、この指標でみる限りは、「過熱に近い」と考えられます。さらに、日経平均株価の25日移動平均からのかい離率は、やはり9月19日現在で、4.2%となっています。最近は5%程度でも相場の反転を示唆することもありますので、こちらも、日経平均が過熱状態に近いことを表しています。
テクニカル指標でみる限り、日経平均は短期的に「上昇ピッチが速すぎるので要注意」と考えるのが妥当です。
テクニカル指標の過熱 |
図4は、アベノミクス相場が始まった2012年11月以降について、ドル・円相場と日経平均の動きを重ね合わせて示したものです。一般的に、ドル・円相場が円安・ドル高になるにつれ、日経平均は上昇し、逆に円高・ドル安の時は日経平均が下落する傾向にありますが、この図もそうした傾向を示しています。冒頭にご説明した通り、9月の日経平均の上昇の理由も、その多くは円安・ドル高で説明できると思います。
ただ、足元の円安・ドル高はやや「行き過ぎ」と言えるかもしれません。最近の外為市場では「先行き、米政策金利は上昇の方向」であることを理由にドルが買われていますが、逆に株式市場では「FRBは政策金利の引き上げを急がないであろう」との読みで、株式を買っています。外為市場と株式市場の説明は矛盾しており、どちらかの説明が誤りである可能性があり、注意を要すべき状態です。
ドル・円相場は105円〜110円の間は大きな節目がなく、もともと変動しやすい水準となっています。さらに、1ドル110円になると、2013年1月に安倍政権のブレーンである浜田内閣官房参与が問題視した水準にもあり、警戒色も強まってきそうです。従って、現状では、ドル・円相場が110円に接近すると当面の目標達成感が台頭し、円安・ドル高に一巡感が台頭しやすいと考えられます。
図4:ドル・円相場と日経平均(週足)
- ※日経平均データおよび三菱東京UFJ銀行対顧客相場(週足)データをもとにSBI証券が作成。
先物・オプションの関連コンテンツ
オプションのココがPOINT!
日経平均株価16,000円超え、来週は一服?更なる大変動?