前営業日トピックス
東京市場では、ワクチン開発を巡り前日の海外市場で大きな動きとなったこともあり、一服感からドル円・クロス円は序盤から小動きとなった。日経平均株価は、序盤に前日比150円超上昇したものの、その後にマイナス圏まで下落したこともあり、ドル円・クロス円も方向感に欠ける動きが続いた。欧州時間には、欧州主要株価指数や米株価先物が下落したことから、ドル円・クロス円は上値の重い動きとなった。
米国市場では、序盤に発表された米10月の小売売上高が市場予想を下回る結果となったことを受けて、米長期金利が低下となり、ドルは主要通貨に対して下落した。さらに、主要株価指数が下落したことからクロス円も軟調な動きとなった。その後、終盤にかけて米主要株価指数が下げ幅を縮小する動きとなったことから、クロス円は底固い動きとなった。ただ、ドルは米長期金利の低下が続いたこともあり、対円で上値の重い動きが続いた。
米株式市場では、最近の上昇を受けた利益確定の動きに加え、10月の米小売売上高の伸び幅が予想以上に縮小したことを受けて、ダウ平均株価が前日比430ドル安まで下落するなど、主要株価指数は序盤から軟調な動きとなった。さらに、米国で新型コロナウイルス感染者の急増を受けて、景気回復が鈍化するとの懸念も圧迫要因となった。ダウ平均株価は167.09ドル安(-0.56%)、一方、ナスダックは24.79ポイント安(-0.21%)で終了した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)東京市場では、前日の海外市場の流れを引き継ぎ、ドルは主要通貨に対して序盤から上値の重い動きとなった。さらに、日経平均株価が150円超上昇したものの、その後マイナス圏まで下落したこともあり、クロス円もやや上値の重い動きとなった。さらに、仲値公示にかけて実需からドル買い・円売りが観測されたものの、値動きは限定的だった。
(2)米バイオ医薬大手のモデルナワクチンの臨床試験で高い有効性示す結果を発表し、先週のファイザーに次いでマーケットに好感されたが、実用までは時間がかかるとの見方や、今後の経過を見極めたいとの思惑もあり、やや方向感に欠ける動きとなった。
(3)欧州時間には欧州主要株価指数や米株価先物が下落したこと受けて、ドル円・クロス円は上値の重い動きとなった。さらに、米10年債利回りが低下したことから、ドル/円は軟調な動きとなった。一方、難航している英国とEUの通商協議で、早ければ来週の合意成立を目指すとしたとの報道を受けて、ポンドは欧州時間に主要通貨に対して堅調な動きとなった。
(4)米国市場では、序盤に発表された米10月の小売売上高が市場予想を下回り、前月から伸び幅が低下したことを受けて米長期金利が低下し、ドルは主要通貨に対して下落となり、ドル/円は一時104.07まで下落した。さらに、ダウ平均株価は序盤に前日比430ドル安まで下落するなど、主要株価指数が下落したことからクロス円も軟調な動きとなった。終盤にかけて米主要株価指数が下げ幅を縮小する動きとなったことから、クロス円は底固い動きとなった。ただ、ラガルドECB総裁が、「新型コロナ第2波は2021年の経済に影響を与える」との見方を示し、「ECBは政策の再調整をしている」と指摘したことから、ユーロはドルや円に対して上値の重い動きとなった。一方、ドルは米長期金利の低下が続いたこともあり、対円で上値の重い動きが続いた。
また、明日の政策金利発表での利上げ期待が高まっていることから、トルコ・リラは欧州時間から堅調な動きが続いていたが、米国時間にトルコの新しい財務相が「トルコ中銀は完全に独立している」と発言したことで利上げ期待がさらに高まり、ドルや円に対して一段の上昇となり、アジア時間の下げを帳消しにした。
本日のトピックス
堅調な動きが続いていた米主要株価指数が反落したことから、本日の日経平均株価も序盤から200円超下落する場面もあり、株価の下落を受けてドル円・クロス円も上値の重い動きとなっている。ドル/円では、11/9の大幅上昇も約半分が帳消しになっており、目先104円台を維持できるのか注目されている。さらに、海外市場の株価が調整終了で再び上昇に転じるのか、さらに下落となるのかどうかにも注目されている。
米国市場では、10月の米住宅着工件数・許可件数の発表が予定されているものの、昨日発表されたNAHB住宅市場指数でも明らかであるが、米国の住宅市場の好調さはすでに織り込み済みであることから、予想通り増加となる場合でも反応は限定的だろう。ただ、予想に反して大幅減少となる場合や、予想以上の大幅増加となる場合には、結果を受けた反応もあるだろう。さらに、本日も複数の米金融当局者の発言が予想されていることから、発言の内容にも注目したい。
11/18の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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22:30 | 米国 |
10月住宅着工件数
住宅着工件数は、建設が着工された民間住宅の着工件数を集計した経済指標で、家電製品などの個人消費との相関性も高いことから、景気動向を見る上で重要な指標である。また、天候の影響を受けやすいという面もある。
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146.0万件 | 141.5万件 |
前回は市場予想を下回ったものの、前月から増加となった。集合住宅が減少したものの、一戸建て住宅が13年ぶりの高水準となったことが影響した。一方、着工件数の先行指標となる建設許可件数は2007年以来の高水準となり、住宅市場の好調さが続くことが示された。今回は、さらに増加が予想されており、許可件数も予想通りなら2007年3月以来の高水準となることから、好調が維持されるのか注目。 |