前営業日トピックス
東京市場では、序盤から底固い動きとなり、ドル/円は海外市場の高値を上抜けたこともあり、一段の上昇となった。さらに、日経平均株価が2万円台乗せとなったこともドル円・クロス円の下支え要因となったものの、マイナス圏まで下落すると、ドル円・クロス円も軟調な動きとなった。日経平均株価は、取引終盤に再び2万円台を回復したが、ドル円・クロス円は上値の重い動きが続いた。欧州時間には、米商務省が中国の通信機器大手への半導体輸出規制を強化するとし、中国側も報復を示唆したことでリスク回避の動きが強まり、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。
米国市場では、欧州市場の流れを引き継ぎ、上値の重い展開で始まった。序盤に発表された米小売売上高が過去最大のマイナスとなったことを受けて、ドルは主要通貨に対して下落した。ドル/円は一時106.85まで下落したものの、その後5月のミシガン大学消費者信頼感指数が予想に反して改善したことや、米国の半数以上の州で経済活動の再開が始まったことも好感され、ドルは堅調な動きとなった。さらに、米国債利回りの上昇も加わり、ドル/円は107.37まで上昇する動きとなった。
米株式市場では、ダウ平均株価が序盤から軟調な動きとなり、一時前日比271ドル安まで下落した。その後は底固い動きとなり、60ドル高で終了した。一方、ハイテク株中心のナスダックは、70ポイント高で終了した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)前日の海外市場の堅調な流れを引き継ぎ、序盤から底固い動きとなった。前日のトランプ米大統領の“強いドル”発言が改めて材料視され、ドルはじり高の展開となった。その後、日経平均が寄り付きから2万円台を回復したこともあり、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。ドル/円は前日の海外市場の高値107.36を上抜けて107.43まで上昇した。
(2)上昇一服も、五・十日の実需ドル買いが観測されたこともあり、仲値公示にかけて底固い動きが見られたが、仲値通過後のドル円・クロス円は軟調な動きとなった。一方、中国の主要な経済指標の結果が概ね予想の範囲内の結果だったこともあり、反応は限定的だった。その後、米上院が中国政府のウイグル族などの少数民族弾圧に関して、ウイグル人権法案を全会一致で可決したことで、米中対立が激化するとの懸念を背景に日経平均株価が一時マイナス圏まで下落する場面もあり、ドル円・クロス円は上値の重い動きとなった。日経平均株価は午後に再び2万円台まで値を戻したものの、米国債利回りが低下したこともあり、ドル/円は107.03まで下落した。
(3)米商務省が中国の通信機器大手ファーウェイへの半導体輸出規制を強化するとし、これに対して中国側も報復を示唆したことでリスク回避の動きが強まった。米国市場では、序盤に発表された米小売売上高が統計を開始した1992年以来の大幅なマイナスとなったことが影響し、ドルは主要通貨に対して下落した。ドル/円は一時106.85まで下落したものの、アジア時間に付けたこの日の安値の106.78手前で底固い動きとなった。
(4)米国の半数以上の州で経済活動の再開が始まっていることや、5月のミシガン大学消費者信頼感指数が予想に反して改善するなど、5月の経済指標に改善が見られたことで景気回復への期待が高まったことからドルは堅調な動きとなった。さらに、米10年債利回りが0.587%から0.647%まで上昇したことも加わり、ドル/円は107.37まで上昇した。一方、ポンドは、EUからの離脱交渉が難航しているとの双方の関係者の発言が嫌気され、主要通貨に対して軟調な動きとなった。ポンドは対ドルで3/26以来、対円で3/24以来の安値を付けた。
本日のトピックス
米国の半数以上の州で経済活動が再開されたことや、5月の経済指標が予想に反して改善したことで、経済指標の悪化は4月がピークだったとの見方も広がっている。一方、楽観的な見方に警戒感を指摘する向きもあり、今後5月の経済指標の結果が注目されるのではないか。
本日の米国市場では、NAHB住宅市場指数の発表が予定されており、経済指標としてはそれほど重要視されていないものの、4月に悪化のピークを付けたかどうかを判断するという点では注目度が高まっていると考えられることから、結果に注目したい。一方、米中の対立激化も材料視されていることから、引き続き要人の発言や関連する報道には注目したい。
5/18の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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23:00 | 米国 |
5月NAHB住宅市場指数
NAHB住宅市場指数は、全米住宅建築業者協会(NAHB)が加盟業者を対象にした一戸建て住宅の販売状況調査を基にした指数。50が判断の基準となり、50を下回ると住宅建設業者の多くが現況を「悪い」とみていることを示すことから、住宅市場の先行指標となる。
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35 | 30 |
前回は市場予想を大幅に下回り、2012年6月以来の低水準となった。現在の販売、先行き見通し、見込み客足指数いずれも大幅な低下となったことが影響し、建設業者がかなり悪いと見ていることが明らかとなった。今回は前回から若干の改善が予想されているが、判断基準の50を上回るにはかなり時間を要すると見ている可能性もある。 |
本日のトレードポイント
※出所:FX総合分析チャート
ドル/円は、目先の下落トレンドラインを上抜けて一段の上昇となりましたが、一目均衡表の雲上限ラインや基準線近辺で上値が抑えられています。一方、下値は雲下限ラインや転換線がサポートとなっており、ここからどちら側を抜けるのか注目されています。
上値のポイントとされる基準線は、本日107.245ですが、19日-21日は107.038、22日には107.037に低下、雲上限は本日107.306ですが週末22日にかけて108.104まで上昇となります。一方、下値のポイントとなる雲下限ラインは当面106.72で横ばいとなります。