日米協調介入
週明け、片山財務相が「31日に日米が協調して円買い介入を実施」と述べたほか、ベッセント財務長官からも「更なる円の協調介入をためらわず」と発言。
日米双方が円安是正への姿勢を鮮明にする中、市場では追加介入への警戒感が一段と高まる中、本日も午前9時半前後から円買い介入と思われるまとまった円買いが観測され155円24銭まで下落する場面が見られました。
先週30-31日、2日間の介入規模は推定で概ね12〜13兆円規模、今年4月〜5月にかけて実施された介入規模(11.73兆円)を上回ったとされる上、市場では本日分も含め累計20兆円規模に達した可能性も指摘されています。
出所:SBIリクイディティ・マーケット
8/3は、157円88銭を高値に155円23銭まで円高が進行しましたが、5月6日の155円04銭を手前に下げ止まっています。
介入の限界
為替介入は短期的な相場変動を抑える効果はあるものの、円安の流れそのものを反転させることは難しく、円買い・ドル売り介入には構造的な限界があります。
介入原資となる外貨は、 5月末時点で約 1.3兆ドルありますが、即座に介入に使用できる外貨預金は 1,622億ドル(@160≒約26兆円)と限定的です。さらに、原資となりうる外貨証券も、市場への悪影響を考慮すると機動的に売却するのは容易ではないのが現実です。仮に大規模介入が繰り返された場合、たとえ外貨準備残高が十分に大きくても、外貨準備の減り方が注目され、為替介入の効果とその限界が意識されるようになると見込まれます。
4〜5月の介入では一時155円台まで円高が進んだものの、その後はFRBによる利上げ観測再燃や米長期金利の上昇を背景にドル円は1カ月半で介入前の水準を回復。
あらためて介入効果を持続させるには、米金利の低下や日銀の追加利上げ観測など、ファンダメンタルズの変化が不可欠です。
米7月雇用統計
為替市場にとって最大の焦点は7日発表の米7月雇用統計です。市場では10月までに1回、来年3月までに2回の利上げが織り込まれており、雇用統計や12日発表のCPI次第で、この見通しが大きく変化する可能性があります。
出所:SBIリクイディティ・マーケット
前回6月の非農業部門就業数は5.7万人増と5月から大幅に増加幅が鈍化しましたが、失業率も概ね安定した推移を続けるなど、米労働市場が大 きく崩れてる状況にはありません。加えて、インフレ率は依然としてFRBの目標を上回っており、インフレ高進への警戒感は燻った状況が続いています。こうした環境では利下げ期待は強まりにくく、年内の利上げ観測も根強いままとなっています。
日銀の利上げ期待の行方
先週末、予想通り政策金利を据え置いた日銀金融政策決定会合後、植田総裁の会見では追加利上げの可能性を示したものの、急速な利上げには慎重姿勢を維持しており、日米金利差の急速な縮小は見込みにくいと考えられます。
短期的には警戒感を含めた追加介入がドル円の上値を抑えると見込まれるものの、円高が定着するためには、米雇用統計や消費者物価指数の下振れを通じてFRBによる利上げ観測が後退することが必要となります。
一方、日銀は物価上振れリスクを意識しつつも急速な利上げには慎重な姿勢を維持しており、金融政策の方向性に大きな変化は見込みにくい状況です。
日米協調介入だけで円安基調を転換させることは難しく、今後は米経済指標とジャクソンホール会議でのFRBのメッセージが、ドル円の方向を左右することになりそうです。