今週のドル円は、8日のFOMC議事要旨よりも、9日に公表される日銀「さくらレポート」がより重要な材料となりそうです。政府が追加利上げに慎重姿勢を示す中、日銀が年内利上げに前向きな姿勢を維持できるか、市場の関心が集まります。
FOMC議事要旨について
ウォーシュFRB議長は先週のECBフォーラムで、金融政策は今後のデータ次第との姿勢を改めて示しました。
8日に公表される6月FOMC議事要旨でも、7月会合は現状維持を前提に、追加利上げ・利下げのいずれについても慎重な姿勢が確認される可能性が高いと見込まれます。
6月日銀金融政策決定会合、政府と日銀の温度差
日銀は6月24日に利上げを決めた6/15-16の政策委員会の主な意見が公表され、内閣府からの出席者は、
「今回の利上げにつき、説明責任を果たすとともに、過度な景気変動が生じた場合、主体的かつ適切な対応が重要。今後の成長型経済への変化が重要。マクロの需給動向と物価の関係の慎重な確認が必要である。」
との見解を示しました。
さらに、「骨太の方針 2026」では、政府との緊密な連携を求める文言や“日銀法”が盛り込まれ、従来より日銀の政策運営への政府の関与が強まったとの受け止めが広がっています。市場では、ここ数年見られなかった追加利上げを牽制するメッセージとの見方もあります。
出所:SBIリクイディティ・マーケット
日銀金融政策委員会
現在の政策委員会、正副総裁を除く審議員6名はタカ派4名、中立1名、ハト派1名という構成です。6月末にはタカ派の中川委員の後任としてハト派寄りとされる佐藤氏が就任しました。市場では、この人事も政府による追加利上げ牽制の一環との見方が出ています。
米経済
先週2日に発表された米6月雇用統計の下振れを受け、金融市場が織り込む今月の利上げ確率は、統計発表前の30%程度から、20%未満へと低下しました。ただし、市場は依然として年内1回程度の利上げを織り込んでいます。今後は来週14日の米6月CPIが、FRBの金融政策を左右する最大の材料となると思われます。
ドル円、本邦通貨当局の防衛ラインは162円、163円か?
今週のドル円は、FRBのタカ派姿勢以上に、日銀が政府の追加利上げ牽制姿勢にどこまで距離を置けるかが最大の焦点となります。
先週2日に一部メディアが円買い介入について「4月30日のような強い警告は発出されない可能性がある」と報道。こうした報道を受けて162円台前半から160円台後半へ円買いが優勢となったことについて三村財務官は「為替についてコメントは控える」と発言。
その後、161円60銭台へ反発後、米6月雇用統計で就業者数が大幅に下振れ、4-5月分も下方修正されたことで一時160円64銭まで円高が進行、さらに3日には160円49銭まで円高が進行しましたが、再び161円台後半へ反発しています。
日銀が年内追加利上げへの姿勢を維持できれば、円安に一定の歯止めとなる可能性があります。一方、政府の意向を踏まえ慎重姿勢が鮮明となれば、市場は円売りを再び強める可能性があります。加えて、中長期的には、日本経済の成長力や財政運営に対する市場の信認を回復できるかどうかが円相場を左右する重要なテーマとなるでしょう。ドル円は160円台での推移が定着しつつあるだけに、市場は当局の円安許容ラインが162円なのか163円なのか、その水準を探る展開が続くとみられます。
今週の「さくらレポート」は、政府との連携を重視する姿勢が強まる中でも、日銀が独立した金融政策運営を維持できるのかを占う試金石となりそうです。
