160円台を試す!?ドル円、日本の財政リスクと介入警戒
出所:SBIリクイディティ・マーケット
ドル円は先週28日に159円65銭まで上昇し、160円台回復をうかがう展開となっています。その背景には米国の高金利政策だけでなく、日本の財政運営に対する市場の警戒感もあります。
高市政権は昨年末に約18兆円規模の補正予算を成立させたほか、過去最大となる122兆円規模の2026年度当初予算を編成。さらに5月25日には3兆円超の追加補正予算を編成する方針を示し、電気・ガス料金補助やガソリン補助金の継続などを打ち出しました。
一方、中東情勢の長期化により原油価格は依然として高水準で推移しており、こうした支援策をどこまで継続できるか不透明感が強まっています。
防衛費増額と債券市場への影響
5月25日、自民党安全保障調査会は防衛力強化に向けた提言案を了承し、防衛費増額への議論が本格化しています。食品消費税ゼロ%構想も維持されており、市場では歳出拡大への警戒感が高まっています。
実際に国内債券市場では超長期金利の上昇基調が続いています。財務省は発行年限の短期化や変動利付債の発行を通じて需給調整を進めていますが、市場では財政規律への懸念が完全には払拭されていません。
これまで円安の主因は日米金利差とされてきましたが、足元では日本の財政持続性そのものが円買い抑制の一因として意識され始めている点に注意が必要です。
中東情勢と米雇用統計が当面の焦点
もっとも、短期的なドル円の方向性を左右するのは依然として中東情勢と米金融政策です。
トランプ政権とイランの停戦協議を巡っては、核開発問題やホルムズ海峡の扱いを巡り双方の隔たりが残っており、最終合意までにはなお時間を要する可能性があります。こうした中、今週はISM製造業・非製造業景気指数に加え、5月雇用統計が発表されます。労働市場の底堅さが確認されれば、16-17日のFOMCで政策金利据え置きの長期化や年内追加利上げ観測が強まり、ドル買い要因となる可能性があります。また3日には植田日銀総裁の講演が予定されており、利上げ観測の後退を修正する発言があるか注目されます。
出所:SBIリクイディティ・マーケット
160円台と介入警戒
こうした中、日本の財政悪化懸念と米金利高止まりが続く場合、ドル円は160円台を試す可能性があります。
もっとも、160円台は昨年以降、本邦通貨当局による円買い介入が強く意識されてきた水準です。先週末発表された資料では4月28日から5月27日までの1ヵ月間に過去最大規模の11兆7,349億円の円買い介入が実施されたことが明らかになりました。 市場では円安圧力と介入警戒がせめぎ合う展開となりそうで、今週のドル円相場は重要な分岐点を迎えることになりそうです。
出所:SBIリクイディティ・マーケット
