日本の格付け
現在、日本の格付けは主要3社(Moody`s/S&P/Fitch)で以下の水準となっており、Moody`sは2014年12月のA1、S&PとFitchはそれぞれ2015年のA+およびAへ引き下げられて以降、いずれも10年以上変更がありません。
出所:SBIリクイディティ・マーケット
今年1月、Fitchは日本の「A」格付けを維持した理由として、豊かな経済規模、一定のガバナンス水準、強固な公的機関を挙げる一方、中期的な成長率の低さや高い公的債務を抑制要因として位置づけました。
さらに、日銀の金融政策と広範な国内投資家基盤が、徐々に金融引き締めが進む局面にもかかわらず、低水準の債券利回りを維持し、政府の資金調達能力を支えている点を評価。また、継続的な経常黒字や多額の対外純資産および円の準備通貨としての地位が格付の安定要因になっていると指摘しています。
積極財政政策
高市政権が掲げる「責任ある積極財政」の下で財政悪化懸念が強まり、円安が進行。ドル円は11月20日に一時157円89銭まで上昇しました。その後、FRBの12月利下げ観測の高まりによる米長期金利低下、さらには日銀の利上げ観測を背景に円安は一服。しかし、日本の財政悪化への警戒感は依然根強く、ドル円は155円台半ばから後半からのドル買戻しが散見される状況です。
こうした中、政府は先週末28日に総額18兆3,034億円規模の2025年度補正予算案を閣議決定しました。補正予算の規模としては昨年度を上回り、新型コロナ禍以降で最大です。また、財務省が27日に実施した国債市場特別参加者(プライマリー・ディーラー)会合および国債投資家懇談会では、国債の追加発行について償還期間の短い国債を中心に増額する方針が示されました。ただ、追加発行の増加は財政悪化懸念を高め、ドル円の下値支援につながる一因となっています。
PB(プライマリーバランス)、単年度から数年単位へ変更
高市首相は11月7日の国会答弁で、従来の「単年度PB黒字化目標」を見直し、数年単位でPBの改善状況を評価する方向を検討すると表明しました。単年度目標はG7各国の中でも異例であり、これを改めることで実質的な財政運営に対する柔軟性が高まり、PBの黒字化に近づけたい意向が確認されます。
日本のPBは1992年度以降、一貫して赤字が続いており、こうした見直しは財政健全化に向けた一歩につながるか注目されます。
また、首相は「責任ある積極財政」を掲げ、戦略的な財政出動による経済の底上げと成長力強化こそが、財政健全化を実現する道筋であると強調。財政健全化の指標としては、従来よりも債務残高のGDP比率を引き下げることを重視する姿勢を示しています。
植田日銀総裁
午前10時過ぎから名古屋市で開催された金融経済懇談会で植田総裁は、今月18-19日の日銀金融政策決定会合について「内外経済・物価情勢や金融資本市場の動向を、様々なデータや情報をもとに点検・議論し、利上げの是非について適切に判断したい」と述べました。利上げを視野に入れた発言と受け止められ、ドル円は11月26日の安値155円65銭を割り込み、一時155円49銭へ下落しました。
円売りの調整は進むか?
12月9-10日のFOMCでは利下げが確実視される中、本日から5日にかけて発表される米経済指標(11月IMS製造業/非製造業景気指数、11月ADP民間就業者数、11月企業人員削減数、12月ミシガン大消費者信頼感/期待インフレ率)が予想を下回れば、来年1月の追加利下げ観測が強まる可能性があります。一方で、前述の植田総裁の発言を踏まえると、日銀は今月の会合で利上げ、もしくは据え置きでも1月の利上げを強く示唆する可能性があり、日本側からの円買い材料も意識され易い状況になります。
加えて、高市首相が掲げる「責任ある積極財政」を背景にした円売りとの見方が修正される局面となれば、155円割れ、さらに11月14日の安値(153円62銭)を目指す展開につながるか注目されます。
