米FOXニュースのインタビューに応じたイスラエルのネタニヤフ首相は15日の攻撃でイラン革命防衛隊(IRGC)の情報部門トップとその副官を殺害したことを明らかにしたほか、最高指導者ハメネイ師も標的であるとしました。
今回のイスラエルによるイランへの攻撃は4月から綿密な計画が練られ、当初の攻撃でイランの防空システムを破壊したことで空爆が計画通りに進んだとされる一方、地下数百メートルにあるとされる核兵器開発施設への攻撃には米軍の協力が不可避としています。しかし、トランプ大統領は「イスラエルによるイラン政治指導者らへの攻撃は論外」との見解を明らかにして上でロシア・プーチン大統領と電話会談を行い、両国ともにイスラエルによるイランへの攻撃を非難。プーチン大統領はイスラエルのネタニヤフ首相やイランのペゼシュキアン大統領とそれぞれ電話会談を行ったとし、緊張緩和に向けて仲介役を担う用意があると表明しています。
こうした状況下、米国がイランに核武装させないことを目的に4月12日から米国とイランによる核開発に関する協議が続けられてきましたが、6月15日に予定されていた6回目の協議はイスラエルによる攻撃もあったため急遽中止されました。こうした状況についてトランプ大統領はイランは話し合いによる解決を望んでおり、イスラエルとの対立について今後、関与する可能性を示唆しています。
FRBの対応に注目
トランプ政権による関税政策発動後も米国のインフレは懸念されていたよりも緩やかなペースに留まっていますが、労働市場は関税政策による先行き不透明感から企業は採用を抑制するなど今後の悪化が懸念されています。
実際、米5月の関税収入は関税発動前の2月から約150億ドル増加したものの、米5月消費者物価指数は前年比+2.4%にとどまり、関税政策によるインフレ加速への警戒感が緩和。追加関税の対象となったアパレルや新車など値下がりが確認されています。
おそらく、関税への警戒から在庫を積み上げていたこと、商品価格を据え置いたまま送料を引き上げることで売上高の減少を最小限に留めた可能性などが一因として推察されます。また、サービス価格は前年比+3.6%と昨年12月の+4.4%から鈍化基調を継続。さらに、食品とエネルギーを除くコアインフレ率も直近3ヵ月で徐々に低下し、5月は+2.8%と4年ぶりの低水準となりました。FRBがインフレ指標として重視している個人消費支出(PCE)価格指数も、コロナ禍以降の最低水準近辺で推移し、5月も+2.5~2.6%となった可能性が高く直近3ヵ月の年率換算値は約+1.3%上昇に留まると見込まれます。

出所:SBIリクイディティ・マーケット
今回のイスラエルとイランによる攻撃の応酬により13日のNY原油先物価格は前日比+7.2%の72.98ドルで取引を終えましたが、週明け16日のNY原油先物価格は一時75.50ドルへ上昇しました。イランは主要な原油生産国であり、他の主要輸出国や輸送ルートに近いことから、世界のエネルギー市場に影響力を持っています。イスラム革命防衛隊のコウサリ上級司令官は、世界の石油タンカー3分の1が通過するホルムズ海峡の封鎖を検討していると警告しており、今後の動きが注目されます。

- 出所:SBIリクイディティ・マーケット

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