OECDによる成長率/インフレ見通し
先週3日にOECD(経済協力開発機構)が発表した世界経済の成長率/インフレ見通しでは、トランプ政権の関税政策の影響をはじめ、政策の不確実性の高まりを背景に貿易や投資の伸び悩みが深刻に及ぶとして世界全体の成長率見通しを25年/26年いずれも+2.9%に留まるとして3月時点から下方修正しました。
出所:SBIリクイディティ・マーケット
特に米国では昨年を通じて平均2%強に留まっていた輸入品に対する関税率が既に足もとで15%まで上昇するなど1938年以来の水準に達しています。5月10-11日にスイス・ジュネーブで行われた米中閣僚級による通商交渉で、中国からの輸入品に対する関税を115%から引き下げ、相互関税率を当初の34%とした上で、24%の執行を90日間停止し、ベースラインの10%としました。しかし、中国からの輸入品に対しては現状でも以下の関税が適用されており、今月9日のロンドンで再開される閣僚級による通商交渉でこうした関税率が一段と引き下げられるか注目されます。
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米5月消費者物価指数(11日発表)
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前回4月のCPIは前年比ベースでエネルギーが3.7%下落したことから前年比総合を押し下げたほか、前年比コアは3月から横ばいでしたが、前月比総合/コア、前年比総合はいずれも3月から鈍化しました。こうした点からも4月CPIでは関税政策の影響を確認するには至りませんでしたが、前月比ベースで家電+0.8%上昇、家具+1.5%上昇するなど一部品目で上昇しました。また、衣料品や玩具など、中国からの輸入依存度が高いモノについては在庫で対応したと見られ、価格上昇を抑制しましたが、今後、在庫切れとなれば徐々に価格上昇につながると見込まれています。
こうした中、5月のCPIに関税政策の影響が確認されるか、さらにサービス価格は4月まで6ヵ月連続で鈍化していますが、家賃を中心に下げ止まるか注目されます。また、今週13日に確報値が発表されるミシガン大6月期待インフレ率ですが、速報値では6.6%と1月の3.3%から大幅に上昇しており、CPIの数値にもいよいよ関税政策の影響が確認されるかもしれません。こうした中で9日にロンドンで開催される米中閣僚級による通商交渉で米国側が対中関税でどの程度、譲歩するのか、年後半にかけてのインフレ率を左右すると見られるだけに交渉の行方が注目されます。
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米5月雇用統計(11日発表)
出所:SBIリクイディティ・マーケット
先週末発表の米5月雇用統計、就業者数は13.9万人増と市場予想(12.6万人増)を上回った一方、3月、4月分合わせて9.5万人下方修正されたほか、失業者数も2月以降、4ヵ月連続で増加基調が続いています。それでも失業率は3月以降、3ヵ月連続で4.2%と横這いで推移していることが確認されたほか、時間給賃金は前月比/前年比ともに市場予想を上回ったことから全体的に「悪くない」と受け止められ、米10年債/2年債利回りは4.50%台/4.03%台へ上昇、ドル円も一時145円09銭まで上昇しました。
FOMC(6月17-18日)
先週末の米5月雇用統計を終え、6月/7月/9月FOMCにおける現状維持/0.25%利下げ確率は以下のようになっています。
出所:SBIリクイディティ・マーケット
パウエル議長をはじめFRB当局者からはトランプ政権の関税政策や税制などの影響を見極める必要があるとの見解を繰り返し述べており、来週17-18日のFOMCでは政策金利を据え置くと見込まれています。おそらく、11日発表の米5月CPIがこうした見通しを大きく変更するだけの材料にはならないと思われます。そのため、FOMCの注目は政策金利/成長率/インフレ見通しが3月時点から上下いずれに修正されるか、その修正幅を含めて結果が注目されます。
- 出所:SBIリクイディティ・マーケット
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