
※出所:SBIリクイディティ・マーケット
先週末発表の米12月雇用統計が市場予想を上回ったものの、直後の158円87銭を高値に157円23銭へ反落し157円72銭で先週末の取引を終了。こうした中、米金利上昇を受けてNYダウが700ドル近く下落したほか、ナスダックも下落したことを受けて週明け13日のアジア株全般が軟調な動きとなったほか、欧米主要株価指数やNY株式先物の下落を受けたリスク回避とともに一時156円92銭へ反落。その後、157円台後半へ反発したものの、158円台を回復できないまま157円48銭で13日の取引を終えました。
前回11月の雇用統計ではハリケーンの影響を受けたフロリダ州での雇用改善や航空機大手ボーイングの関連工場を含めたストライキの影響が見られたワシントン州でも改善が見られ、就業者数は10月の4.3万人増から21.2万人増へ改善。さらに、12月雇用統計ではこうした一時的要因がなく、米労働市場の堅調をあらためて確認する結果となりました。

※出所:SBIリクイディティ・マーケット
少なくとも先週末の雇用統計を受けて、1月28-29日のFRBの「現状維持」がほぼ確実視される一方、1月23-24日の日銀金融政策決定会合でも6割程度、利上げの可能性が残されているとの見方もドル円の上値抑制の一因とされます。
こうした中、15日発表の米12月消費者物価指数も市場予想で前年比+2.9%、コア指数も9月から4ヵ月連続で+3.3%と高止まりが見込まれているほか、16日発表の米12月小売売上高などの指標を受けて米長期金利が一段と上昇するか注目されます。

※出所:SBIリクイディティ・マーケット
ただ、20日にはトランプ次期大統領の就任式を控えていること、今年はドル高是正の行われた「プラザ合意」から40年の節目となり、昨年7月の37年ぶりの円安ドル高を上回る水準へ円安が進むことで米貿易赤字拡大への警戒とともに次期政権がどのように取り組むか、そうした動きとともにトランプ大統領就任を前にしたポジション調整のドル売りが進むか注目されます。
また、既にメキシコ、カナダ、中国への追加関税や移民強化策を示唆しているものの、関税を巡って、ワシントンポスト(WP)が「安全保障上重要とみなされる特定の分野にのみ関税を課す」と報じたのに対し、トランプ氏はこの報道を否定。一方、CNNは「関税プログラムを可能にするため国家非常事態宣言を検討」と報じており、その通りとなれば関税強化への圧力が高まり、世界経済のみならず米経済にも悪影響を及ぼしかねない状況にあるだけに、どのような着地を見るか注目されます。
冒頭に示したグラフにあるように、前回のトランプ政権発足時を振り返ると大統領選の勝利からドル高が続きましたが、就任式直前からポジション調整のドル売りに転じました。ただ、前回就任時はドル円の円安がドル指数全体の上昇を上回っていたのに対し、今回はドル指数の上昇がドル円の上昇を上回るなど、「ドル一強」の様相となる点が前回と違う点と言えます。トランプ次期大統領は、グリーンランドの所有やパナマ運河の返還などに言及するなど、強いアメリカのために手段を選ばない強硬姿勢が見られること、さらに欧州での政治的不安定な状況との対比や欧米での景況感の違いも「米国一強、ドル一強」に近い状況にあることと無関係ではないことを示していると言えます。
こうした状況下、トランプ次期大統領の就任と前後して「ドル一強」に対するポジション調整が進むか、あるいは景況感の違いや金融政策を巡る緩和ペースの違いなどから一時的なドル高の調整に留まるとの見方とともに基調的なドル高が一段と加速するか注目されます。
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