2018/6/12
提供:三菱UFJ国際投信
「投資環境ウィークリー」6月11日号より抜粋
4月に米10年債利回りが3%を超え、市場はリスクオフ相場となり、株式市場や新興国通貨が売られる展開となりました。足元ではナスダック市場が最高値を更新するなど、株式市場は堅調さを取り戻しているものの、新興国通貨は引き続き軟調な展開が続いています。新興国の中でまず売られたのは、経常赤字や対外債務などで問題を抱えるアルゼンチンやトルコとなりました。次に警戒される通貨がどこかと注目されていた中で、ブラジル・レアルやメキシコ・ペソが下落しました。この2ヵ国の共通点は、今年、大統領選など政治イベントを控えるところです(ブラジルは10月、メキシコは7月)。経常収支でみるとブラジルやメキシコより下落しそうな通貨があるなかで両国の通貨が売られる展開は、市場の関心が政治など個別国の事情にも移っているようにみられます。市場の売り圧力を受け、ブラジルは6月8日に為替介入などの通貨防衛策を強化する姿勢を示し、レアルの下落を抑えました。引き続き、新興国市場の動き、当局の対応に注目です。
今週は米国、ユーロ圏、日本で金融政策決定会合が予定されています。米国とユーロ圏では成長率見通しなどが示されるため注目です。政治的には米朝首脳会談(12日)が注目です。非核化などで合意がみられたとしても、北朝鮮が経済成長などの恩恵を享受するのはまだ先とみられ、市場の反応は限定的とみています。予測が難しい首脳同士の会談となるため、リスクはまだあるとみています。
◆米国:消費者物価(12日)、小売売上高(14日)、ミシガン大学消費者信頼感(15日)などの重要指標も発表されますが、注目は連邦公開市場委員会(FOMC)です。今会合では、利上げ(1.50-1.75%→1.75-2.00%)は既に織り込まれており、注目は今後の利上げ見通し(ドット・チャート)です。前回3月時点では、年内の利上げ回数は3回、政策金利の長期見通しは2.875%でした。5月の雇用統計も堅調な結果であり、利上げ見通しが引き上げられる可能性もあります。通商面では、6月15日までに25%の関税対象となる500億ドル相当の中国製品が公表される予定です。最近では、鉄鋼・アルミニウム輸入関税の適用猶予を受けていたEU、カナダ、メキシコでも関税が課され、各国が報復措置の対応をとるなど、貿易摩擦の懸念が高まっています。対中国では、中国の通信大手・中興通訊(ZTE)への制裁が見直されるなど、関係改善の動きもみられますが、関税リストが公開されると市場は貿易摩擦への警戒感を強める展開になるとみられます。
◆原油:来週22日に開催される年2回のOPEC(石油輸出国機構)総会への注目が高まる中、今週は12日のOPEC月報に注目です。足元では同総会で議論される協調減産の出口観測が材料となり、原油価格は下落していますが、5月はイラン制裁再開やベネズエラの制裁強化などの原油上昇要因もありました。今回の月報では制裁発表後の生産状況が確認でき、通常より注目度が高くなります。(永峯)
今週の主要経済指標と政治スケジュール
6/11(月) |
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(他)トルコ 1-3月期 実質GDP(前年比) |
6/12(火) |
(米)連邦公開市場委員会(FOMC、〜13日) |
6/13(水) |
(米)パウエルFRB議長 記者会見 (英)5月 消費者物価(前年比) 4月:+2.4%、5月:(予)+2.4% (他)韓国 統一地方選挙 |
6/14(木) |
(日)日銀金融政策決定会合(〜15日) |
6/15(金) |
(米)5月 鉱工業生産(前月比) |
注)上記の日程及び内容は変更される可能性があります。
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