2018/03/27
提供:三菱UFJ国際投信
「投資環境ウィークリー」3月26日号より抜粋
先週22日(木)、米国は中国製品に25%の制裁関税を適用すると発表しました。関税の対象は中国の年間輸入額で1割となる500-600億ドルになる見込みです。米国の発表を受け、駐米中国大使は「仕掛けられた場合は報復する」、劉鶴副総理は「米国の制裁に対し強力な報復措置で応じる」と発言をし、貿易戦争の懸念が高まりました。米10年債金利は低下、金価格は上昇、ドル円は2016年11月以来となる105円割れの円高が進行するなど、リスク回避的な相場展開となりました。
国際貿易が減速した場合、企業収益も影響を受けるとみられ、株式市場にはネガティブです。4月には、NAFTA再交渉、米為替報告書の公表など通商政策のイベントが予定されており、引き続き保護主義政策への警戒が必要とみています。
◆日本:9日に発表されていた米国による鉄鋼・アルミニウムの輸入制限に関して、韓国や欧州連合(EU)など7ヵ国が適用除外となった一方、日本は制裁関税の対象とされました。日本の鋼材輸出量のうち米国向けは2%程度のため、影響は限定的とみられますが、米国がさらに保護主義政策を強めた場合にも対象とされる可能性があり、日本の企業業績と株価にはネガティブです。政治面では、27日に森友学園問題により佐川前国税庁長官が証人喚問を受ける予定です。政治の不安が高まる局面では、リスク回避的な円買いなどの動きがあるとみられます。
◆中国:米国の制裁関税に対し、米国からの鉄鋼や豚肉などの輸入品30億ドル相当に関税を適用する計画を23日に発表しました。さらなる報復として、中国が保有する米国債売却の観測もあり、今後の米中関係に注目です。経済指標では、製造業PMI(31日)で環境対策として行われた冬季生産調整の影響に注目です。
◆米国:小売売上高は12月以降、3ヵ月連続で前月比マイナスと軟調です。ミシガン大学消費者信頼感が改善したように、コンファレンス・ボードの消費者信頼感(27日)でも堅調さが確認されれば、投資家心理の改善に寄与するとみています。またLIBOR(ロンドン銀行間金利)の動向や各連銀総裁の講演が注目です。
◆ユーロ圏:4月4日公表のユーロ圏CPIの先行指標として、29日のドイツCPIに注目です。3月のECB理事会では資産購入の規模拡大を意味する文言が削除され、今後は金融政策の引き締めが予想されており、インフレ動向に注目が集まります。
◆原油:NY原油は1月26日に年初来高値となる1バレル66.14米ドルまで上昇後は一時60米ドルを割ったものの、足元では65.88ドルまで再び上昇しています。米原油在庫が減少したこと、対外強硬派が米大統領補佐官に就任し中東リスクが高まったこと等が背景です。26日には人民元建ての原油先物が上場する予定で、中国マネーが流入し、市場の変動要因となる点に注意が必要です。(永峯)
今週の主要経済指標と政治スケジュール
3/26(月) |
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(米)ダドリー・ニューヨーク連銀総裁 講演 |
3/27(火) |
(日)2月 企業向けサービス価格(前年比) |
3/28(水) |
(米)ボスティック・アトランタ連銀総裁 講演 |
3/29(木) |
(日)2月 商業販売額(小売業、前年比) |
3/30(金) |
(日)2月 鉱工業生産(速報、前月比) |
3/31(土) |
(中)3月 製造業PMI(国家統計局) |
注)上記の日程及び内容は変更される可能性があります。
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