2018/03/06
提供:三菱UFJ国際投信
「投資環境ウィークリー」3月5日号より抜粋
先週の金融市場は注目されていたパウエルFRB(米連邦準備理事会)議長の議会証言が無事終わるも、リスク選好姿勢が後退し株価は大幅に下落。NYダウは27日から3月2日にかけ4日続落し下落幅は計1,171ドル、日経平均株価は28日から3月2日にかけ3日続落し下落幅は1,208円にのぼりました。特に日経平均株価は一時21,088円96銭となり、2月14日につけた年初来の最安値(20,950円15銭)に接近。CBOEボラティリティ指数が再び上昇しているため(先週初15.80→週末19.59、年初来高値は2月5日の37.32)、株価の先行き不透明感が強まっています。
今回のリスク回避局面で目立つのが為替の不安定さです。2月28日は英国のEU離脱交渉が難航するリスクから英ポンド、ユーロが下落。しかし、3月1日にトランプ米大統領が鉄鋼、アルミ製品の輸入抑制に向けて追加関税を課す方針を表明すると一転してドル安になりました。世界的な貿易戦争へのリスクからドルは軟調となり、金融市場はリスク回避の動きが加速しています。日銀の金融緩和縮小観測が根強く残る中、円独歩高の可能性もあり安定化には時間を要しそうです。
ただ、世界的な景気の拡大基調は変わらないため、日米株共に割安感が再び強まっています。先週末の米S&P500の予想PERは17.22倍と低下しており、日経平均の予想PERは12.58倍と2012年10月以来の低水準となっています。日本株は中長期的にみれば予想利益からみてかなり割安の水準まで下落しているため、リスク志向が回復すれば株価の戻りも大きくなりそうです。日経平均の予想EPSは先週末時点で1,684円であり、予想PERの平均的な水準(過去3年で15.1倍)まで株価が買われれば、2万5千円台も視野に入ると考えています。
◆米国:9日の2月雇用統計は非農業部門雇用者数が前月並みの増加、平均時給前年比は小幅低下が見込まれており、米景気の堅調を示す内容に。20-21日のFOMCを前に公表される7日の地区連銀経済報告は景気の一段の拡大を確認へ。金融市場は3月利上げをほぼ織り込み、焦点は年内の利上げ回数が3回か4回なのかです。
◆日本:7日の1月景気動向指数は4ヵ月ぶりの低下、8日の2月景気ウオッチャー調査は先行き判断DIが4ヵ月連続の低下が見込まれ景気の足踏み感はあるも、拡大基調は続く見通しです。8-9日の金融政策決定会合は現政策を据え置きへ、金利正常化の議論についても黒田総裁からは時期尚早との説明が見込まれます。
◆欧州:独はメルケル第4次政権が発足へ。8日の欧州中銀理事会で金融政策は現状維持の見込み。ただし声明文からの量的緩和バイアスの削減や資産買入れの期限である9月以降の政策方針についての注目度は高く、ドラギ総裁の発言が焦点。
◆その他:7日の豪10-12月期実質GDPは個人消費回復など背景に5四半期連続のプラス成長へ、また6日の金融政策決定会合は政策金利据え置きが見込まれます。中国では5日に全人代が開幕、GDP成長率目標や要職人事が注目です。(向吉)
今週・来週の主要経済指標と政治スケジュール
3/4(日) |
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(伊)総選挙 |
3/5(月) |
(米)2月 米供給管理協会(ISM)非製造業景気指数 |
3/6(火) |
(米)ダドリー・ニューヨーク連銀総裁講演 |
3/7(水) |
(日)1月 景気動向指数(速報、先行CI) |
3/8(木) |
(日)日銀金融政策決定会合(〜9日) |
3/9(金) |
(日)黒田日銀総裁記者会見 |
注)上記の日程及び内容は変更される可能性があります。
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