2018/02/27
提供:三菱UFJ国際投信
「投資環境ウィークリー」2月26日号より抜粋
先週の市場では日米独の主要株価が上昇。米10年債利回りは小幅に低下する一方、米ドルがユーロ、円、豪ドル、英ポンドなどに対して上昇しました。
先週最大の注目点であった米FOMC議事録(2月21日公表、1月30・31日分)では、(1)利上げ速度の加速の可能性は議論されなかったこと、(2)景気は予想以上に強く当面利上げを続けることで合意されたことが判明。市場は議事録公表直後は(1)を歓迎し株高ドル安に振れたものの、その後は(2)を意識して株安ドル高へと転じるなど値動きの荒い展開となり、米10年債利回りは2.951%と前日の2.890%より上昇しました。1月のFOMC声明は、政策金利の更なる穏やかな引上げを正当化と、前回見られなかった「更なる」を追加。これが今年3回という利上げ回数(FOMC参加者による予想分布図の中央値)の引上げを意味するのかが注目されたものの、議事録ではこうした議論はなかったことが判明しました。米景気が12月会合時点の見通し以上に上振れており今後は物価の上昇が期待されるものの、未だに賃金や物価に上昇基調は確認できず、利上げ加速の要否は議論されなかった模様です。
今週は、パウエル米FRB議長の議会証言(27日:下院、1日:上院)が最大の注目点です。1月のFOMC以降には米平均時給の上昇(前年比、12月:+2.7%→1月:+2.9%)やコア消費者物価の横ばい(同、+1.8%→+1.8%)が確認され、政治面では2月上旬の予算合意で政府閉鎖のリスクが消え、インフラ投資計画も発表されました。
政治経済面では利上げ加速の連想が働くものの、金融市場では2月2日の雇用統計以降に世界的に株安が進展。1月のFOMC時点の「米長期金利の上昇は株高やドル安で相殺されている」という状況は変化しています。同議長は、景気は堅調だがインフレ加速の兆候はないため利上げ加速の必要はなく、金融市場は一時動揺したが利上げを妨げるほどではないと、タカ派化もハト派化もしていないことを示すであろうものの、タカ派化を恐れる市場が過剰に反応するリスクは残ります。
◆欧州:28日のユーロ圏消費者物価(2月)は前年比+1.2%と前月(+1.3%)より低下か。
◆中国:28日の政府の製造業PMI(2月)は51.2と前月の51.3と小幅に低下しつつ景気拡大の持続を示唆か。春節の後ずれに伴って製造業の活動は一時的に鈍化。
◆インド:28日の10-12月期GDPは前年比+6.9%と前期の+6.3%より回復の見込み。2016年11月の高額紙幣廃貨や2017年7月の物品サービス税(GST)導入などの相次ぐショックで下押しされた景気は、GST導入に伴う混乱の収束に伴って徐々に正常化しており、足元では商用車や二輪車の販売、銀行貸出の伸びが回復中。
◆その他:北米自由貿易協定(NAFTA)再交渉会合(第7回)は2月25日〜3月5日開催。参加3カ国は前回1月の会合で交渉継続を確約しており、仮に今回の交渉で大きな進展がなくともNAFTA崩壊の懸念は浮上しない見通し。もし、今回主要な争点で進展があれば、貿易戦争懸念の後退でメキシコ・ペソが上昇か。(入村)
今週・来週の主要経済指標と政治スケジュール
2/25(日) |
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(米)NAFTA(北米自由貿易協定)第7回会合(〜3月5日) |
2/26(月) |
(米)ブラード・セントルイス連銀総裁 講演 |
2/27(火) |
(米)パウエルFRB議長議会証言 |
2/28(水) |
(日)1月 鉱工業生産(速報、前月比) |
3/1(木) |
(日)片岡日銀審議委員 講演・記者会見 |
3/2(金) |
(日)1月 家計調査(実質消費支出、前年比) |
注)上記の日程及び内容は変更される可能性があります。
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