2017/11/21
提供:三菱UFJ国際投信
「投資環境ウィークリー」11月20日号より抜粋
■先週はドル安、株安、金利低下、資源安とこれまでと様相の異なる相場展開
先週の金融市場では、日経平均の週間騰落率が▲1.25%と日米欧株価の調整色が強まる中、ドルがトランプ米大統領のアジア歴訪を境に下落、ドル円も一時$1=112円割れするなどドル安、株安、金利低下、資源安と前週までと様相の異なる展開、一方新興国通貨が買い進まれたことは市場に安心感をもたらしました。
■米税制改革法案の進捗は順調。しかし、年内成立を阻む5つのハードルも
米議会共和党が成立を目指す税制改革法案の進捗は目下順調です。先週までに下院共和党提出の同案は本会議で可決、上院共和党の同別案も財政委員会で可決し今週の休会を経て来月17日までの本会議通過を目指します。しかし、同案の年内成立は依然難しく、来年1-3月期にずれ込むとみています。①債務上限適用停止期限(12月8日)への対応は政府閉鎖回避のため優先する上、②上院税制改革法案に新たに盛り込まれた医療保険制度(オバマケア)の一部(保険加入義務)廃止の是非、③アラバマ州上院補選(12月12日)での共和党の苦戦(民主党勝利なら上院共和党の同法案への造反許容議席が2から1へ)、④上下院の各税制改革の一本化、⑤10年で$1.7兆と試算する議会予算局の財政赤字($1.5兆に収める必要)見通しへの対処など、問題山積のためです。更に所謂ロシア・ゲート(昨年の大統領選へのロシア関与疑惑)捜査の手も、いよいよ政権内へと及んでいます。
■市場は米税制改革、12月FOMCに視線、米長短金利差の急縮小には警戒を
23日の米感謝祭を控えた今週はクリスマスシーズンの起点、例年金融市場の動意は薄いものの今年は異なりそうです。米税制改革法案や、12月12-13日の米FOMC(連邦公開市場委員会)の行方が市場のテーマになるとみているためです。中でもFOMC参加者の政策金利見通し、ドット・チャートに注目しています。
法人税率引き下げ(35→20%)や設備投資の加速度償却等を盛り込む米税制改革が実現すれば、足元前期比年率3.0%(7-9月期)へ上昇した労働生産性を更に高め賃金上昇に波及すると想定するのは容易です。FOMC参加者がこうした見通しをドット・チャートに反映させ9月には年3回とした2018年の利上げ見通しを上方修正すれば、利上げ見通しの甘い短期市場金利の上昇速度は長期金利のそれを上回り米長短金利差は急縮小、米主要株価指標は大型金融株を中心に下落し、現在株価上昇を牽引する半導体などのセクターや個別株の選別がパフォーマンスの優劣を一層強める相場展開になるとみています。米株のスタイル変化に日本株も追随、一方新興国債券など信用リスク商品には利回り追求の触手が伸びそうです。
今週は米感謝祭(23日)も控え世界的に材料難なものの、21日のイエレンFRB(連邦準備理事会)議長講演やロシア・ゲートを巡るモラー特別捜査官らによる捜査の進展等がやや株式市場の調整色を強める展開を予想しています。(徳岡)
今週・来週の主要経済指標と政治スケジュール
11/20(月) |
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(日)10月 貿易収支(通関ベース、季調値) |
11/21(火) |
(米)イエレンFRB議長 講演 |
11/22(水) |
(米)FOMC議事録(10月30日〜11月1日開催分) |
11/23(木) |
(米)感謝祭(祝日、金融市場休場) |
11/24(金) |
(米)ブラックフライデー(株・債券市場 短縮取引) |
注)上記の日程及び内容は変更される可能性があります。
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