2017/10/24
提供:三菱UFJ国際投信
「投資環境ウィークリー」10月23日号より抜粋
世界的な株高が続いています。夏場に浮上した北朝鮮や米国財政の問題が小康状態にあることも一因ですが、近年、こうした数多くのリスク要因を覆い隠してきたのが先進国の量的金融緩和といえます。米国に続き、2018年からユーロ圏でも金融緩和縮小が現実味を帯びるなか、世界経済の回復期待をつなぎとめられるかは、市場を驚かすことなく金融正常化を進められるかにかかっていると考えます。
◆日本:衆院選で安倍政権が勝利、主要国を見ると、米トランプ大統領が2020年、独メルケル首相が2021年、中国習主席が2022年、露プーチン大統領が(来年選挙勝利で)2024年までと、長期政権が続く他の大国に対峙可能な安倍首相(3期なら2021年まで)の安定感は海外投資家から評価されやすく、黒田日銀総裁のぶれない金融緩和継続姿勢と合わせ、中長期的な日本株の支援材料になると考えます。
◆米国:先週でトランプ大統領は次期FRB(連邦準備理事会)議長候補との面接を終了、今週にも一本化される見通しです(大統領指名→上院承認で正式決定)。最有力の穏健派パウエル現理事ならば、業績回復期待高まる株式市場(S&P500の2018年EPS(一株当たり利益)は前年比+14.6%予測)に安心感を与えるとみます。27日の実質GDP(7-9月期)は前期比年率+2.5%と堅調予想、ハリケーン下でも個人消費・設備投資中心の内需主導の回復が続いたことを裏付ける見込みです。
◆ユーロ圏:26日のECB(欧州中銀)理事会に注目です。今年末で終了する月間600億ユーロの資産買入れを月額「いくらまで」減らし「いつまで」延長するか、一方(景気・金融環境が悪化すれば)金融緩和拡大に動く可能性も残すかが焦点です。物価安定に向け、市場が金融緩和修正を過度に織り込みユーロ高が再開する事態を避けたいECBとして、政策変更や文言調整に細心の注意を払うとみます。
◆オーストラリア(豪):25日の消費者物価(7-9月期)は前年比+2.0%へ若干加速の見込みですが、公共料金引き上げの影響もあるため、材料視はされにくいと思われます。失業率の緩やかな低下で個人消費は底堅く、景気全体では良好も、下落続く鉄鉱石価格など不安材料も抱え、景気楽観論およびインフレ期待の強まりにくい環境は続くと考えます。豪ドルは現行水準程度で一進一退を見込みます。
◆ブラジル:24-25日のCOPOM(金融政策委員会)はインフレ率低下(9月の前年比+2.5%)を反映し利下げ実施(8.25→7.5%、年末7.0%予想)、景気回復を後押しする見込みです。また25日の下院本会議ではテメル大統領の告発案件(汚職捜査妨害)の最高裁送付が否決される見込みですが、大統領と蜜月関係にあったマイア下院議長との間に不協和音も生じているとの報道もあり、年金改革案の年内成立に不透明感が高まれば、レアル相場は弱含みが続く見通しです。(瀧澤)
今週・来週の主要経済指標と政治スケジュール
10/22(日) |
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(日)衆議院選挙 投開票 |
10/23(月) |
(中)9月 新築住宅価格(70都市) |
10/24(火) |
(米)GM 2017年7-9月期決算発表 |
10/25(水) |
(米)9月 耐久財受注(航空除く非国防資本財、前月比) |
10/26(木) |
(日)9月 企業向けサービス価格(前年比) |
10/27(金) |
(日)9月 消費者物価(総務省、前年比) |
注)上記の日程及び内容は変更される可能性があります。
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