2017/10/10
提供:三菱UFJ国際投信
「投資環境ウィークリー」10月10日号より抜粋
金融市場は“夏枯れ”を脱却し、先月中旬から「株高・金利上昇・ドル高」という環境に転じています。米国主要株式は最高値圏にあり、米国10年国債利回りは9月7日の2.040%から10月6日に2.360%へ上昇、ドル円相場も9月8日の1ドル107.32円から10月9日に1ドル112.68円へドル高が進みました。①主要国の金融緩和継続、②10-12月は季節的に「株高・金利上昇・ドル高」に動く傾向、③米国ハリケーン復興需要を考慮しますと、この環境が年末まで続く可能性があります。
但し、一時的に市場を攪乱させかねない以下のイベントに注意です:北朝鮮は10月10日の朝鮮労働党創建記念日、日本は10月22日の衆院選と12月頃の日銀総裁人事閣議決定、米国は月内頃のFRB議長人事と12月迄の議会審議(本予算・減税法案・債務上限)とハリケーン復興需要と12月13日利上げ有無、欧州は10月26日ECB理事会の資産購入縮小計画発表、中国は10月18日の共産党大会常務委員人事。
日本衆院選は不透明ですが、①自公連立継続、②自公過半数だが自民単独過半数ならず安倍退陣(麻生氏・岸田氏・石破氏へ?)、③希望の党と自民の大連立、④希望の党と日本維新の会の連立、等が想定されます。希望の党は、地方人気が低く、小池代表が出馬固辞、過半数233議席強の候補者しか擁立しないことを勘案しますと、今回は安倍降ろし、本丸は次回を狙うのかもしれません。現政権退陣は外人投資家に動揺を与え、日本株安・円高への一時的な振れに要注意です。
今後2-3週間で米大統領が指名する次期米FRB議長は、ウォルシュ元FRB理事・パウエルFRB理事・イエレン議長・コーン国家経済会議委員長などが候補として挙がっています。ウォルシュ元理事は量的緩和を推進した現FRBを批判しており、仮に議長となれば、金融緩和からの出口戦略が加速する恐れもあります。
先週、2018年度予算決議案を米下院が承認、上院予算委員会も独自の予算決議案を承認し上院本会議に送付しました。来週、上院本会議の承認を目指していますが、市場が期待する減税法案成立が12月半ばの休会前に間に合うか微妙です。何故なら、上院本会議可決後に、上下院で異なる案を一本化しなければならないのに、下院案は赤字拡大に繋がらない内容に対し、上院案は10年で1.5兆ドルの歳入減が前提であったり、地方税控除の廃止対象が未定など、両案で隔たりが大きいためです。しかし、一本化した予算決議案を上下院で可決しないと、決議案に付与される財政調整法「上院(100議席)のうち、60でなく過半数51で可決できる特例」を利用できないので、減税や債務上限の前提として一本化が重要です。
◆米国:米連銀は12月12-13日会合で利上げの可能性がありますが、11日のFOMC議事録(9月19-20日開催分)や13日の消費者物価と小売売上高とミシガン消費者信頼感指数も利上げの判断材料です。7-9月の金融機関決算にも注目です。
◆北朝鮮:10日の朝鮮労働党創建日のミサイル発射/核実験に警戒です。(荒武)
今週・来週の主要経済指標と政治スケジュール
10/7(土) |
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(米)ローゼングレン・ボストン連銀総裁 講演 |
10/8(日) |
(中)9月 外貨準備高 |
10/9(月) |
(米)コロンバスデー |
10/10(火) |
(日)黒田日銀総裁 あいさつ |
10/11(水) |
(日)8月 機械受注(船舶・電力除く民需、前月比) |
10/12(木) |
(日)9月 国内企業物価(前年比) |
10/13(金) |
(米)パウエルFRB理事 講演 |
注)上記の日程及び内容は変更される可能性があります。
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