2017/09/26
提供:三菱UFJ国際投信
「投資環境ウィークリー」9月25日号より抜粋
先週初は北朝鮮リスクが和らぐなか日本の衆院解散総選挙が急浮上、株式市場はこれを好材料と捉え株価は急上昇し、日経平均株価は一気に2万円台を回復しました。またFRB(連邦準備理事会)が来年までの利上げ姿勢を崩していない事が明らかとなったため、為替市場では円安ドル高が進みました。先週のFOMC(連邦公開市場委員会)は予想通り資産縮小の開始が決定される一方で、年内あと1回、来年3回の利上げ見通しが維持された事は市場のサプライズでした。金融市場が織り込むOISベースの年内利上げ確率は約6割に上昇、ドル円相場は一時1ドル=112円72銭まで円安が進み、日本株の押し上げ要因となりました。
ただし、FOMCでは中長期の政策金利見通しが従来の3.0%から2.75%に引き下げられており、本来は米金利やドル上昇の抑制要因です。また、FRB資産縮小は緩やかに実施されるも、累積効果は無視できるものではなく余剰資金が縮小に向かう可能性があります。先週はリスク選好姿勢の回復が鮮明でしたが、米欧中銀が量的金融緩和の出口を模索する中、バブル調整の動きに警戒が必要でしょう。
こうした中、先週の日銀金融政策決定会合は政策委員2名が入れ替わり、金融政策は維持されましたが新委員の片岡氏が緩和不十分を理由に反対しました。決定会合を受け日銀の大規模金融緩和長期化の見方が強まり、正常化に向かう米欧との対称性がより鮮明になり為替市場は円安に傾く可能性があります。株式市場は業績拡大に対しPERでみた割安感のある日本株は選好され易いと考えます。先週末の予想PERは米国S&P500の19.2倍に対し日経平均は14.4倍と低水準です。
◆米国:今週、税制改革案が公表され税制改革を含む新年度予算審議の進捗が注目です。また8-9月経済指標への大型ハリケーンの影響も焦点です。26日の9月消費者信頼感指数は小幅悪化へ、8月新築住宅販売は増加の見通しであり今後は復興需要も期待されます。29日の8月個人消費支出デフレーターは前月比プラスとなりインフレ率上昇が示される見込みです。26日のイエレンFRB議長講演を始め今週はFRB高官の発言機会が多く、年内の利上げ観測に影響を与えそうです。
◆日本:25日に安倍首相が記者会見し衆院解散表明、28日は臨時国会が召集され冒頭で首相が衆院を解散する見通しです。選挙は10月10日公示、22日投開票の予定であり、北朝鮮リスクがくすぶるなか選挙モードに入ります。29日には8月分の生産、雇用、物価、消費の経済指標が公表され、人手不足の深刻さや緩やかな物価上昇が示される見込みです。また輸出好調を背景に生産が増加するなか、家計調査や小売売上高の堅調が見込まれ内需の底堅さが示されるでしょう。
◆欧州:29日の9月ユーロ圏消費者物価前年比は上昇し、景気が堅調を維持する中インフレ圧力の高まりが示される見通しです。25日のドラギ欧州中銀総裁講演では量的緩和縮小に関する発言に金融市場は敏感に反応するでしょう。(向吉)
今週・来週の主要経済指標と政治スケジュール
9/25(月) |
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(日)安倍首相 記者会見予定 |
9/26(火) |
(日)日銀金融政策決定会合議事要旨 |
9/27(水) |
(米)ブレイナードFRB理事 講演 |
9/28(木) |
(日)臨時国会にて衆院解散の可能性 |
9/29(金) |
(日)日銀金融政策決定会合 主な意見 |
9/30(土) |
(中)9月 製造業PMI(国家統計局) |
注)上記の日程及び内容は変更される可能性があります。
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