2017/09/12
提供:三菱UFJ国際投信
「投資環境ウィークリー」9月11日号より抜粋
先週は北朝鮮リスクの警戒が続くなか、米連邦議会再開2日目の6日にトランプ大統領と議会指導部が、ハリケーン「ハービー」の被害救済法案と抱き合わせで12月中旬までの債務上限適用停止延長と政府運営資金確保に合意しました。政府機関閉鎖や債務不履行への懸念が和らぎリスク回避の動きが一時的に後退しましたが、7日のECB(欧州中銀)理事会で次回10月会合で資産買入れ額縮小が決定される可能性が強まったことからユーロ高ドル安が進み、週末には米長期金利が2.04%の年初来最低水準を付けるなかでドル円は107円台前半へ円高が進みました。
今週も金融市場は①政治・地政学リスク、②出口を模索する米欧金融政策、③堅調な世界経済の中で落着きどころを求め揺れ動くと考えられます。次の焦点は19-20日の米FOMC(連邦公開市場委員会)でFRB(連邦準備理事会)資産圧縮方針が決定されるかです。同時に政策金利や物価の長期見通しが引下げられ、来年にかけ政策金利見通しが下方シフトするとの見方も広がっています。今週公表される米国の物価、小売統計が予想外に落ち込めばこうした見方は強まりましょう。
今後の株価動向は①〜③の3要素が互いにどの様に影響し合うかで決まり、米欧の金融緩和からの出口政策が慎重に行われ、緩和的な金融環境が維持されるなかで堅調な経済成長が継続するという本来のシナリオの確信が強まれば、日本株は反転するでしょう。北朝鮮リスクに加え米国では新たなハリケーン「イルマ」の被害が懸念され今週も株価は上値の重い展開が想定されますが、日経平均株価は予想PERが13.7倍と年平均の15.1倍を大きく下回り、割安感は強いと言えます。
◆米国:政府債務上限の3ヵ月停止合意に続き税制改革でも前進できるかが焦点です。14日の8月消費者物価は小幅上昇、15日の8月小売売上高は堅調が見込まれるも、下振れれば19-20日のFOMCに影響するでしょう。景気拡大は99ヵ月目に入り、15日の8月鉱工業生産や9月NY連銀景気指数が増勢を維持できるか注目です。
◆日本:7月機械受注は船舶・電力除く民需が7-9月期予測にそって前月比上昇し設備投資の堅調を示唆しました。9月日銀短観(10月2日発表)を占う上で注目される13日の7-9月期の法人企業景気予測調査は一進一退となるも、収益・設備投資計画は上方修正される見込みです。11日の人生100年時代構想会議も注目です。
◆英国:12日の8月消費者物価前年比は上昇が予想され、物価上昇圧力は依然高いと言えます。14日の金融政策委員会では金融政策が据え置かれる見通しですが、投票メンバーのうちタカ派の2名は引き続き利上げに投票するとみられます。
◆中国:14日の8月鉱工業生産、8月小売売上高、8月都市部固定資産投資は堅調な伸びが予想されます。10月18日開催予定の党大会を控え、12日開会の国連総会前日11日に採決される北朝鮮への制裁に合意するのか注目されます。(向吉)
今週・来週の主要経済指標と政治スケジュール
9/11(月) |
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(日)7月 機械受注(船舶・電力除く民需、前月比) |
9/12(火) |
(米)アップル 新型iPhoneなど新製品発表イベント |
9/13(水) |
(日)8月 国内企業物価(前年比) |
9/14(木) |
(日)日印首脳会談 |
9/15(金) |
(米)8月 鉱工業生産(前月比) |
注)上記の日程及び内容は変更される可能性があります。
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