2017/07/11
提供:三菱UFJ国際投信
「投資環境ウィークリー」7月10日号より抜粋
NYダウとDAX®は6月19日、日経平均株価は同20日を高値に、足元上値の重い状態にあります。保有資産縮小計画を示した6月の米国FOMC(連邦公開市場委員会)やECB(欧州中銀)高官発言などから、米欧当局の金融緩和解除が粛々と進むとの思惑が市場に広がり米欧金利が上昇、株価が押される格好となっています。
とはいえ、米国・ユーロ圏ともにインフレ率は当局目標+2%に程遠く、想定通り金融緩和解除が進むか疑問符が付きます。市場が当局見通しに確信が持てないことも株価の上値を抑える一因といえます。ただし、主要国が景気回復で足並みを揃えている事実があるため、株高基調までもが崩れるとの不安は杞憂と考えます。
◆日本:米国金利上昇に伴い円安ドル高が進み、ドル円相場は1米ドル=114円台に達するも、日本株は反応薄です。日銀短観(6月)が示すように、景気の先行きへの漫然たる不安が重石となっている模様です。特に、生産に比べ低調さの残る個人消費動向を図る上で10日の景気ウォッチャー調査(6月)などが注目です。
◆米国:6月のISM指数や雇用関連統計を受け、景気の先行きに対し強気の見方が増すなか、焦点は物価上昇圧力が高まるかでしょう。6月のFOMC議事録でも当局内の物価への見方が割れている様子が示されましたが、手がかりを探るべく12・13日のイエレンFRB(連邦準備理事会)議長の半期定例議会証言に注目です。
◆ユーロ圏:直近5月の失業率は全体で9.3%と8年ぶり低水準もドイツ(3.9%)と他国の差が大きいなど、南北格差の問題は根強いままです。市場では早期の金融緩和措置解除など前のめりな思惑も広がり、欧州金利上昇・ユーロ高が進んでいますが、次週20日にECB理事会を控え、徐々に落ち着きを取り戻すとみています。
◆カナダ(加):6月の加ドルは対米ドル騰落率+4.1%と堅調でした。12日の金融政策決定会合で7年ぶりの利上げが見込まれるなど、金利先高期待が主因ですが、直近5月のインフレ率(消費者物価総合の前年比)は+1.3%と低迷(目標+2%)、住宅市場過熱や家計債務急増など懸念材料も抱え利上げ継続は不透明といえます。
◆中国:直近6月の財新製造業PMIは50.4と再び50台を回復、市場の安心感を誘いました。13日の貿易統計(6月)では米欧景気回復が輸出拡大に寄与している様子が、17日の鉱工業生産・都市部固定資産投資・小売売上高(6月)、前年比+6.8%へ小幅減速予想の実質GDP(4-6月期)も総じて底堅い景気を裏付けるでしょう。
◆ブラジル:検察庁のテメル大統領起訴を下院が承認するか(2/3以上賛成で最高裁へ)が焦点です。前哨戦の同院憲政法務委員会は態度保留議員が多く予断を許しません。仮に逃れても大統領と対立が先鋭化するジャノー同庁長官退任の9月まで同庁が圧力を緩める公算低く、レアル相場の重石となるでしょう。(瀧澤)
今週・来週の主要経済指標と政治スケジュール
7/10(月) |
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(日)5月 機械受注(船舶・電力除く民需、前月比) |
7/11(火) |
(米)ブレイナードFRB理事 講演 |
7/12(水) |
(米)ベージュブック(地区連銀経済報告) |
7/13(木) |
(米)6月 生産者物価(最終需要、前月比) |
7/14(金) |
(米)カプラン・ダラス連銀総裁 講演 |
注)上記の日程及び内容は変更される可能性があります。
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