2017/07/04
提供:三菱UFJ国際投信
「投資環境ウィークリー」7月3日号より抜粋
先週は、欧州や英国の当局者発言をきっかけに主要国による金融緩和の解除の思惑が浮上。米欧の長期金利が上昇し、平坦化していた国債の利回り曲線の勾配が増しました。為替市場では、金融緩和の解除が意識されたカナダ、英国、欧州の通貨が対ドルで上昇する一方、円が対ドルで1.0%下落する展開となりました。
先週27日、ドラギECB総裁は(1)足元の物価の低迷は一時的な要因による、(2) 依然として相当な金融緩和が必要、(3)景気が回復を続けるならそれに応じて金融政策を調整する可能性があるなどと発言。金融緩和の解除の示唆と解釈され、独10年債利回りは前日の0.245%から終日時点で0.370%まで上昇しました。
物価に関する発言はややタカ派的にも見えるものの、ECBの物価予想に沿ったもの。金融政策の調整も、来年以降の量的緩和の縮小と考えれば予想の範囲内であり、市場の反応は過剰であったと思われます。翌28日、ECB総裁発言に差迫った金融引締めの意図はないとの匿名の当局筋の発言が報じられると、独10年債利回りはやや低下。しかし、同日にイングランド銀行のカーニー総裁が金融刺激策の一部引上げの可能性に言及すると、同国の長期金利の上昇につられ独10年債利回りも再び上昇。30日には0.466%と前週末の0.255%より上昇して週を終えました。28日にカナダ中銀のポロズ総裁が同国景気に強気の見方を示し、7月の利上げが意識されたことも、こうした金利の上昇に拍車をかけたと考えられます。
先々週まで、米国を中心に国債利回り曲線が平坦化し原油価格も低迷。世界的な需要鈍化の兆しかとの弱気論も聞かれました。しかし、先週は主要国の国債利回り曲線の勾配が増し、NY原油先物も1バレル46.04ドルと前週比3.03ドル上昇。中国の6月の製造業PMIも51.7と前月の51.2から予想外の上昇を見せ世界景気への悲観論は後退。先週、対米ドルで南アフリカ(▲1.1%)やコロンビア(▲0.7%)の通貨が下落した一方、ハンガリー(+2.4%)、ポーランド(+1.9%)、ブラジル(+1.1%)の通貨は上昇。ブラジル、メキシコ、トルコ、南ア等の株価も前週比上昇。米利上げ加速の見通しが強まらない限り、新興国資産の下押しは生じづらい模様です。
欧州や英国による金融政策の正常化が意識される一方、市場は米国が年内に追加利上げできるかについては依然懐疑的。今週は米景気指標に注目が集まります。
◆米国:7日の米雇用統計(6月)では、非農業部門雇用者増減数が前月比+17.7万人増と前月の+13.8万人を上回り、平均時給も前年比+2.6%と前月の+2.5%より加速、雇用市場の堅調さを確認の見込み。3日と6日のISM景気指数も前月より改善が見込まれるものの、年内の米利上げへの確信を高めるには至らないと考えられます。
◆中国:7日の外貨準備(6月)は3兆620億ドルと4ヵ月連続で増加する見込みです。米ドルの名目実効相場は6月も低下し準備の評価益が発生。人民元の基準値設定方法の変更以降同通貨は堅調に推移し、資本流出圧力を弱めています。(入村)
今週・来週の主要経済指標と政治スケジュール
7/1(土) |
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(印)物品・サービス税(GST)導入 |
7/2(日) |
(日)東京都議会選挙 |
7/3(月) |
(日)日銀短観(6月調査) |
7/4(火) |
(米)独立記念日(祝日) |
7/5(水) |
(米)FOMC議事録(6月13日〜14日開催分) |
7/6(木) |
(米)パウエルFRB理事 講演 |
7/7(金) |
(日)5月 現金給与総額(前年比) |
注)上記の日程及び内容は変更される可能性があります。
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