2017/06/20
提供:三菱UFJ国際投信
「投資環境ウィークリー」6月19日号より抜粋
先週の金融市場は、足元まで2000年のITバブルを彷彿させる上昇みせた米ハイテク株続落で始動、OPEC(石油輸出国機構)5月原油生産が前月上回り、1バレル$44ドル台へと週間2.4%下落した原油先物価格、米FOMC(連邦公開市場委員会)による1.25%への利上げと連銀資産縮小策発表、8人中3人が利上げ主張のBOE(英中銀)金融政策委員会等に揺さぶられ、NYダウは週間騰落率+0.5%と踏み留まるも、ハイテク企業が多数占める米ナスダック指数は同▲0.9%、米10年国債利回りは足元レンジ下限(2.2%)割れの2.15%と、警戒感の強い一週間でした。
■米トランプ・トレードは終焉したのか?いやまだ終わっていない
既に陳腐化した感すらある米トランプ政権への政策期待(減税等)、これを背景に米大統領選以降連勝重ねた米建設や資源株は既に貯金を吐き出し、今や銀行や革新的進歩を遂げる半導体、高水準の自社株買いを行う銘柄が米株価を支えています。トランプ政策の具現目指す議会共和党はロシア・ゲートの波に巻き込まれ税制論議は後手に、企業も設備投資増強のエンジン始動を身構えるも議会停滞に苛立ち、先週発表の財務担当役員による事業見通しは遂に軟化に転じました(米デューク大調査)。当初多くの投資家が主軸に据えた企業減税期待と設備投資の増強による生産性、賃金上昇、これらが醸成するインフレ圧力と長期金利の上昇見通しは崩壊したのでしょうか?この答えを出すのはまだ早いとみています。
■米トランプ・トレード成否の鍵は税制改革の行方と企業の設備投資行動
利益予想(EPS)上伸が支えたこれまでの所謂トランプ相場、その巻き戻しはEPSの下方修正を伴いましょうが、目下その数は多くありません。低金利で負債調達し自社株買いに充てる主流な企業財務戦略は「EPS成長率<金利」となれば機能不全を起こします。企業は今、EPS成長を高めるため投資による資本ストック増強で生産性を上げるか、賃金等コストを削減し防衛に走るか、選択を迫られています。前者はインフレ、後者はデフレ圧力を醸成しましょう。その決定要因は正に米政権の税制改革、足元の米大統領支持率は40%と意外な急回復を見せる中、2018年米予算を策定する初秋には、企業はこの選択の答えを出すとみています。
■イエレン米FRB(連邦準備理事会)議長は、先週の会見で気になる発言
イエレンFRB議長の会見ではひとつ、重要なメッセージがありました。2012年に導入した物価目標値+2.0%は将来、再考の余地との発言です。モノとお金の値段である物価と金利、米FEBトップの深層心理に同目標値は高すぎるとの認識がある事を示したのは驚きです。債券投資家の金利目線も今後大きく変わるかも知れません。今週多く予定されるFRB高官講演でこの真意に触れるか注目されます。
◆英国:いよいよ19日、EU(欧州連合)との離脱交渉開始です。逐次明かされるであろう交渉経緯は英ポンドを通じ為替市場に動意を生みましょう。(徳岡)
今週・来週の主要経済指標と政治スケジュール
6/18(日) |
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(仏)下院選挙(決選投票) |
6/19(月) |
(日)5月貿易収支(通関ベース、季調値) |
6/20(火) |
(米)1-3月期 経常収支 |
6/21(水) |
(日)日銀金融政策決定会合議事要旨 |
6/22(木) |
(米)パウエルFRB理事 上院銀行委員会公聴会 証言 |
6/23(金) |
(米)パウエルFRB理事 講演 |
注)上記の日程及び内容は変更される可能性があります。
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