2017/02/14
提供:三菱UFJ国際投信
「投資環境ウィークリー」2月13日号より抜粋
トランプ大統領の保護主義的政策を嫌気し、金融市場におけるリスク選好の勢いは後退しました。大統領が一定の裁量権を持つ外交・通商政策と議会承認を要する財政政策では具現化に時間差があるため、内容いかんでは世界的なヒト・モノ・カネの移動を阻害しかねない前者の変更に過剰反応する場面は続くと思われます。
9日は一転、大統領が財政政策の近日発表を明言、市場が待ち望む減税・インフラ投資が実現に向け動き出すとの期待で内外株式は急反発しました。ただし、実際に景気浮揚効果が表れるのは早くて今年終盤のため、それまでは明るさ増す米国景気に水を差さないよう、利上げを慎重に進められるかも株高持続の鍵とみます。
◆日本:米国財政政策の期待再燃を受けた9日の海外株高の流れに乗り、10日の国内株は大幅反発しました。ドル円相場が大企業想定以上の円安水準にあり増益期待が根強いことに加え、市場が固唾を呑んで見守った日米首脳会談も無難に終了、国内株は上値試しが期待され、家計・企業心理好転にも寄与する見通しです。
◆米国:14・15日のイエレンFRB(連邦準備理事会)議長の半期定例議会証言では、新政権の財政政策や利上げ見通しに関する発言に注目です。景気指標では、前回値が2004年12月以来の水準に急上昇した14日の中小企業楽観指数(1月)、住宅需要の強さを見る上で15日のNAHB住宅市場指数(2月)などに注目です。
◆欧州:14日のドイツ実質GDP(10-12月期)はフランス(前期比+0.4%)やスペイン(同+0.7%)同様、堅調な伸びが見込まれます。一方、直近のifo企業景況感指数(1月)などからは小売業中心に先行き不安も確認されます。足元のインフレ率上昇やトランプ新政権が、民間心理に与える影響を注視する必要があります。
◆オーストラリア(豪):2017年の対米ドル騰落率は豪ドルが+6.5%と主要通貨トップです(2月10日時点)。石炭・鉄鉱石など資源価格上昇による交易条件改善期待も一因とみます。16日の雇用統計(1月)で失業率(直近2ヵ月連続上昇)改善や正規雇用者数の増加などが確認されれば、豪ドルの堅調持続も期待されます。
◆ブラジル:直近の消費者物価(1月)の前年比は+5.35%へ低下、2年ぶりに中銀目標圏内(2017年は+3.0〜6.0%)に回帰しました。雇用・所得環境悪化が響き、14日の小売売上高(12月)は厳しい内容が予想されますが、中銀の利下げ継続に伴う景気浮揚期待を下支えに、レアル相場は当面底堅い推移が続くと考えます。
◆インド:中銀は先週の金融政策委員会で予想外の政策金利据え置きを決定、2015年1月からの利下げ局面の終了を示唆しました。中銀は景気が高額紙幣廃貨による減速から2017年度に急回復、それに伴いインフレが加速するとみている模様です。当面は13日の消費者物価(1月)など物価指標にも注目です。(瀧澤)
今週・来週の主要経済指標と政治スケジュール
2/13(月) |
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(日)10-12月期 実質GDP(1次速報、前期比年率) |
2/14(火) |
(米)イエレンFRB議長議会証言(上院銀行委員会) |
2/15(水) |
(米)イエレンFRB議長議会証言 |
2/16(木) |
(米)1月 住宅着工・許可件数(着工、年率) |
2/17(金) |
(米)1月 景気先行指数(前月比) |
注)上記の日程及び内容は変更される可能性があります。
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