2017/01/31
提供:三菱UFJ国際投信
「投資環境ウィークリー」1月30日号より抜粋
【あながち短命ともいえない今の上昇相場。楽観的な世界経済見通しが支え】2017年初、世界の金融市場は堅調な滑り出し、昨年11月来の大波は現在も続いています。この大波を作り出した米国、その経済、ひいては世界経済の見通しは、この大波があながち短命ではないことを示唆しているかの様です。IMF(国際通貨基金)が今月示した2017年の世界実質成長率は+3.4%と昨年の+3.1%から加速、2018年には+3.6%と一段と加速の見通し、先週発表の昨年10-12月期米実質GDP成長率は前期比年率+1.9%と前期に比べ落ち込むも、設備投資には光明がみえます。2017年の世界経済成長は米国がけん引役となって加速すると楽観視しています。
【2017年は例年になくボラタイルな年に】しかし、2017年はこの楽観論を(上下に)揺さぶる要因に溢れています。中でも年前半の注目は、(1)トランプ減税(連邦税諸改正の信憑性)、(2)米FRB(連邦準備理事会)の利上げ速度、(3)中国(不良債権と資本流出)です。(1)現時点では極めて不透明です。大統領の法人税減税(35%→15%)プランは年平均約$2,000億、個人所得税等含め総額同約$6,000億(昨年税収$3.27兆の約2割)の減税規模、連邦政府は同$4,000億の税収減の見込みです。この穴埋め策は目下ワシントンを賑わす国境税、推定$1兆との試算もあります。しかし国境税はWTO(国際貿易機関)違反の可能性高く、導入には多くの壁が残ります。減税議論は、今後幾度と無く市場に波風を立てましょう。
(2)米長期金利は上昇加速が心配です。米FRBは、2008年来の金融政策で目標(物価安定と完全雇用)をほぼ手中に収める中、米新大統領は景気刺激に前向き、2月に予算教書でその詳細を示します。目下2.0%に達した期待インフレ率は再加速、米FOMC(連邦公開市場委員会)は3月に利上げ見通しを上方修正(現年3回)するとみています。(3)資本流出加速は気がかりですが、(1)、(2)ほど心配はしていません。中国金融当局はここまで巧みに市場を制御しているためです。但し今後予想される米長期金利、ドル一段高は金融市場の耐性と当局の手腕を試しましょう。
【年前半はボラタイルな市場をヘッジする運用を】景気の上向きトレンドと想定される数々の市場不安定要因、米S&P500の価格変動率(ボラティリティ)は目下10%程度と低水準も、今後上昇を頻繁に試みるとみています。こうした中、年前半はボラタイルな市場をヘッジする運用が長期投資家には肝要とみています。
◆米国:FOMCは2月1日、政策金利の据え置きと共に声明文を公表する見込みです。3月利上げ喚起有無、新政権の財政策評価、インフレ見通しに注目です。また、30日12月PCEデフレータ、2月3日米1月雇用統計、平均賃金は要注目です。
◆日本:31日に日銀金融政策会合の結果公表、現政策維持、展望レポートで景気見通し上方修正の見込みです。また長期金利の居所を見る上で日銀2月長期国債買入計画も注目です。なお米マティス国防長官が2月3日来日予定です。(徳岡)
今週・来週の主要経済指標と政治スケジュール
1/30(月) |
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(日)日銀金融政策決定会合(〜31日) |
1/31(火) |
(日)黒田日銀総裁記者会見 |
2/1(水) |
(米)1月 米供給管理協会(ISM)製造業景気指数 |
2/2(木) |
(米)10-12月期 労働生産性(前期比年率) |
2/3(金) |
(日)マティス米国防長官 訪日 |
注)上記の日程及び内容は変更される可能性があります。
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