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米国雇用統計には市場は反応薄 − 11月から急伸した「金利上昇・ドル高」もスピード調整か?

2016/12/06
提供:三菱UFJ国際投信

荒武 秀至の今週の注目ポイント!

  • イタリア国民投票否決でレンツィ首相辞意
  • ECB理事会は欧州政治情勢に配慮し、緩和縮小は示唆しない見通し
  • 「米国金利高・ドル高」はスピード調整か?、米国雇用統計には市場反応薄

「投資環境ウィークリー」12月5日号より抜粋

PDFです。新しいウィンドウで開きます。 「投資環境ウィークリー」全文はこちら(PDF)

昨年の投資環境の重石となった「原油安、中国失速、米国金融引き締め」が、今年2月以降は好転、リスク資産は全面高となりました。その潮流に変化はないものの、11月8日の米国大統領選挙以降「先進国株高、米国金利上昇、ドル高」が急速に進み、安全資産である米国国債と比べ相対的な利回りの高さに投資妙味があった米国リートや新興国資産は敬遠されています。この選別投資へ転換した状況の持続性は、「米国金利上昇、ドル高」の継続性にかかっています。
変化のきっかけは、トランプ米国次期大統領による財政出動への期待でした。しかし、重要なポイントは、(1)金融危機から8年が過ぎ世界的にデフレ圧力が弱まり、物価に底入れの兆候が見えてきたところへ、(2)非伝統的金融政策の弊害や金融緩和政策への過度の偏重を見直す機運が醸成され、(3)そこへタイミング良くトランプ次期政権による財政出動の方向性が示され、過剰な金融緩和を修正し、構造改革・規制緩和・民活・適切な財政出動へ舵を切る象徴となったことです。
その意味で「財政出動と金融緩和修正」は異常な低金利の終焉と位置づけられます。では、1.8%(11月8日)から先週一時2.4%に急上昇した米国10年国債利回りと、1ドル101.20円(11月9日)から先週一時1ドル114.83円まで急騰したドルが、さらに上昇を続けるのでしょうか? トランプ政権への期待と良好な米国経済に裏付けられた米国利上げが、金利高ドル高の後押しとなることが予想される反面、足元の上昇スピードがあまりに速いため、今後はスピード調整に入る見通しです。
米国長期金利の適正水準は、「期待インフレ率2%+実質潜在成長率1.5%+リスクプレミアム0%=3.5%程度」と試算されます。米国の財政赤字拡大が意識されれば、リスクプレミアムが乗ってさらに金利水準は上昇するかもしれません。しかし逆に、世界では少子高齢化・格差拡大・政治不信・企業競争力低下・交易条件悪化など構造問題が山積で、金利上昇とは経済実態が不整合な国が多く、グローバル化の中で米国金利だけが上昇し続ける可能性は低いでしょう。
即ち、長期的には米国長期金利が3.5%越えを目指すものの、来年一気に上昇する可能性も低いと思われます。潮目を見極める焦点は、(1)米国製造業と新興国が「金利高ドル高」に耐えられるか、(2)来年1-2月の三大教書でトランプ政権の具体策が示され、保護主義・移民排斥の警戒が強まるリスク、(3)来年3月までに予定される英国EU離脱(Brexit)の通告、(4)欧州政治の排外主義拡大リスクです。

今週の注目点は、米国・中国の景気動向と欧州中銀(ECB)理事会です。
◆米国・中国:米国は5日のISM非製造業や9日のミシガン消費者信頼感が注目されますが、極端に悪化しなければ13-14日のFOMC(連邦公開市場委員会)での利上げは規定路線でしょう。中国は、7日の外貨準備高と8日の貿易統計が焦点です。
◆欧州:8日のECB理事会とドラギECB総裁会見は、量的緩和の期間延長を発表する見通しです。資産購入縮小を示唆する可能性もある一方、脆弱な金融機関や不透明な政治状況を抱える欧州で、緩和縮小は時期尚早とみられます。(荒武)

今週・来週の主要経済指標と政治スケジュール

12/5(月)

(日)(欧)黒田日銀総裁 講演
(米)ダドリー・ニューヨーク連銀総裁 講演
(米)エバンス・シカゴ連銀総裁 講演
(米)ブラード・セントルイス連銀総裁 講演
(米)11月 米供給管理協会(ISM) 非製造業景気指数
10月:54.8
11月:(予)55.5

12/6(火)

12/7(水)

(日)岩田日銀副総裁 講演・記者会見
(中)11月 外貨準備高
10月:3兆1,207億ドル、11月:(予)3兆657億ドル

12/8(木)

(日)7-9月期 実質GDP(2次速報、前期比年率)
4-6月期:+0.7%
7-9月期:(予)+2.3%(1次速報値:+2.2%)
(日)10月 経常収支(季調値)
9月:+1兆4,773億円、10月:(予)+1兆6,304億円
(欧)欧州中央銀行(ECB)理事会
リファイナンス金利:0.0%⇒(予)0.0%
限界貸出金利:0.25%⇒(予)0.25%
預金ファシリティ金利:▲0.4%⇒(予)▲0.4%
(欧)ドラギECB総裁 記者会見
(中)11月 貿易統計(米ドル建て、前年比)
輸出 10月:▲7.3%、11月:(予)▲5.0%
輸入 10月:▲1.4%、11月:(予)▲1.8%

12/9(金)

(米)12月 ミシガン大学消費者信頼感指数(速報)
11月:93.8、12月:(予)94.4
(中)11月 消費者物価(前年比)
10月:+2.1%、11月:(予)+2.2%
(中)11月 生産者物価(前年比)
10月:+1.2%、11月:(予)+2.2%
(他)ブラジル 11月消費者物価(IPCA、前年比)
10月:+7.87%、11月:(予)+7.09%

注)上記の日程及び内容は変更される可能性があります。

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