イラン情勢(イランによるホルムズ海峡の事実上の封鎖や軍事攻撃の応酬によるエネルギー施設の損壊)やプライベート・クレジット(ノンバンク融資)ファンドへの不安に加えて、米FRB(連邦準備理事会)の金融政策に関する利下げ期待の後退も米国株市場への逆風を強めている。主要株価指数は3/20現在、中期的な上昇相場と下落相場の境目として意識される200日移動平均を下回る状態が続いている。
チャート上の推移をみると、ダウ工業株30種平均は2024年の高値(12/4の4万5,073ドル)から2025年の安値(4/7の3万6,611ドル)まで8,462ドル下落した後、2026年の年初来高値(2/10の5万512ドル)まで1万3,901ドル上昇。この上昇幅はその前の下落幅に対して約1.64倍と、フィボナッチ数列における隣り合う数字の比が収束する「黄金比」として知られる1.618倍に近い。一方で、この黄金比の逆数(フィボナッチ数列の連続する隣り合う数の小さい数÷大きい数)である0.618倍も、株式に限らず相場一般のテクニカル分析ではよく使われる。年初来高値までの上昇幅の0.618倍は8,590ドルに相当することから、ダウ工業株30種平均株価の下落における目標値として4万1,992ドルを算出できる。
同様に、S&P500指数の2025年安値から2026年の年初来高値(1/28の7,002ポイント)までの上昇幅に対する0.618倍は1,328ポイント、ナスダック総合指数の2025年安値から昨年来高値(2025年10/29の2万4,019ポイント)までの上昇幅に対する0.618倍は5,707ポイントとなる。これらを基にそれぞれの下落目標値を算出するとS&P500指数が5,674ポイント、ナスダック総合指数が1万8,312ポイントとなる。主要3指数の下落目標値はおおむね2024年7月時点の水準に相当する。
米国株の主要株価指数のうちS&P500指数とナスダック総合指数は時価総額加重平均型の指数であるため、時価総額上位を占める特定少数の大型ハイテク株のウエート拡大を通じて指数の上昇幅が大きくなりやすい一方、そのウエート縮小を通じて指数の下落幅が大きくなりやすい。米国株市場の調整局面が到来した場合、主に大型ハイテク株から割安銘柄・バリュー銘柄への資金シフトが想定される。必ずしも米国株全体が売られるわけではないことに留意すべきであり、米国株投資の中にチャンスが残されていると考えられる。
米国株市場では、4年周期の大統領選挙サイクルで中間選挙年のパフォーマンスが際立って悪いことが知られている。また、企業の在庫変動に起因する短期の景気循環の波である「キチンの波」および半導体シリコンサイクルが3~5年周期のほか、暗号資産のビットコインにおける報酬半減期サイクルも約4年である。概ね4年ごとに調整局面が到来するのは不思議ではない。(笹木)