2026-06-08 17:16:46

米国株市場は調整局面入りか?~主要株価指数の目標値

2026/3/24

提供:フィリップ証券株式会社

リサーチ部:笹木 和弘

米国株市場は調整局面入りか?~主要株価指数の目標値

  • イラン情勢(イランによるホルムズ海峡の事実上の封鎖や軍事攻撃の応酬によるエネルギー施設の損壊)やプライベート・クレジット(ノンバンク融資)ファンドへの不安に加えて、米FRB(連邦準備理事会)の金融政策に関する利下げ期待の後退も米国株市場への逆風を強めている。主要株価指数は3/20現在、中期的な上昇相場と下落相場の境目として意識される200日移動平均を下回る状態が続いている。
  • チャート上の推移をみると、ダウ工業株30種平均は2024年の高値(12/4の4万5,073ドル)から2025年の安値(4/7の3万6,611ドル)まで8,462ドル下落した後、2026年の年初来高値(2/10の5万512ドル)まで1万3,901ドル上昇。この上昇幅はその前の下落幅に対して約1.64倍と、フィボナッチ数列における隣り合う数字の比が収束する「黄金比」として知られる1.618倍に近い。一方で、この黄金比の逆数(フィボナッチ数列の連続する隣り合う数の小さい数÷大きい数)である0.618倍も、株式に限らず相場一般のテクニカル分析ではよく使われる。年初来高値までの上昇幅の0.618倍は8,590ドルに相当することから、ダウ工業株30種平均株価の下落における目標値として4万1,992ドルを算出できる。
  • 同様に、S&P500指数の2025年安値から2026年の年初来高値(1/28の7,002ポイント)までの上昇幅に対する0.618倍は1,328ポイント、ナスダック総合指数の2025年安値から昨年来高値(2025年10/29の2万4,019ポイント)までの上昇幅に対する0.618倍は5,707ポイントとなる。これらを基にそれぞれの下落目標値を算出するとS&P500指数が5,674ポイント、ナスダック総合指数が1万8,312ポイントとなる。主要3指数の下落目標値はおおむね2024年7月時点の水準に相当する。
  • 米国株の主要株価指数のうちS&P500指数とナスダック総合指数は時価総額加重平均型の指数であるため、時価総額上位を占める特定少数の大型ハイテク株のウエート拡大を通じて指数の上昇幅が大きくなりやすい一方、そのウエート縮小を通じて指数の下落幅が大きくなりやすい。米国株市場の調整局面が到来した場合、主に大型ハイテク株から割安銘柄・バリュー銘柄への資金シフトが想定される。必ずしも米国株全体が売られるわけではないことに留意すべきであり、米国株投資の中にチャンスが残されていると考えられる。
  • 米国株市場では、4年周期の大統領選挙サイクルで中間選挙年のパフォーマンスが際立って悪いことが知られている。また、企業の在庫変動に起因する短期の景気循環の波である「キチンの波」および半導体シリコンサイクルが3~5年周期のほか、暗号資産のビットコインにおける報酬半減期サイクルも約4年である。概ね4年ごとに調整局面が到来するのは不思議ではない。(笹木)

ウィークリーストラテジー

S&P500業種別およびダウ平均構成銘柄騰落率(3/20現在)

主要企業の決算発表予定

  • 3月25日(水)
    シンタス、ペイチェックス、PDDホールディングス
  • 3月27日(金)
    カーニバル

主要イベントの予定

  • 3月23日(月)
    • エネルギーの国際会議「CERAウイーク」(ヒューストン、27日まで)
    • 米建設支出(1月)
  • 3月24日(火)
    • 米S&Pグローバル製造業・サービス業・総合PMI (3月)、米非農業部門労働生産性(4Q改定値)
  • 3月25日(水)
    • 米輸入物価指数(2月)、米経常収支(4Q)
  • 3月26日(木)
    • 米ジェファーソンFRB副議長が講演、世界貿易機関(WTO)閣僚会議(カメルーン、29日まで)、先進7カ国(G7)外相会合(27日まで)
    • 米新規失業保険申請件数 (3月21日終了週)
  • 3月27日(金)
    • 米ミシガン大学消費者マインド指数・確報値(3月)
  • 3月30日(月)
    • ダラス連銀製造業活動指数(3月)
  • Bloombergをもとにフィリップ証券作成

銘柄ピックアップ

ヴァンエック・バイオテックETF (BBH):NASDAQ 分配金:年1回(12月)

コルゲート・パルモリーブ (CL):NYSE 2026/5/1に2026/12期1Q(1-3月)の決算発表を予定

  • 1806年設立の消費財メーカー。歯磨き粉「コルゲート」ほか歯ブラシ・石鹸・シャンプー、洗濯・食器用洗剤などの「口腔・パーソナル・家庭用品部門」、およびペットフードの「ペット栄養部門」を営む。
  • 1/30発表の2025/12期4Q(10-12月)は、売上高が前年同期比5.8%増の52.30億USD、非GAAPの調整後EPSが同4.4%増の0.95USD。調整後粗利益率が0.2ポイント悪化。口腔・パーソナル・家庭用品部門(売上比率77%)は高い市場シェアを背景に6.0%増収、営業利益が3.1%増の9.99億USD。
  • 2026/12通期会社計画は、為替変動の影響を除く既存事業売上高が前期比2-6%増、調整後EPS伸び率が同1桁台前半~半ば。2025/12通期世界市場シェアは、歯磨き粉が41.3%、歯ブラシ(非自動)が32.4%を占める。4Qの地域別既存事業売上成長率は、ラテンアメリカやアフリカなど新興国市場で前年同期比2桁台に達し、世界市場シェア拡大余地がある。連続増配年数が62年に上る。

iシェアーズMSCIブラジルETF (EWZ):NYSEArca 分配金:年2回(6・12月)

  • 「MSCIブラジル25/50インデックス」に連動する投資成果を目指す。ブラジル株式市場の85%を占める中・大型株に投資し、ブラジル株式市場を総合的に広くカバーすることを目標とする。
  • 3/13終値で時価総額が89.3億USD、過去12ヵ月間の実績分配金利回りが4.7%。組入れ上位順7社は、ヴァーレ、ヌー・ホールディングス[ケイマン諸島](NU)、イタウ・ウニバンコ・ホールディングス、ブラジル石油公社、B3 SA-ブラジル・ボルサ・バルカオン、ブラデスコ銀行、ウェグである。
  • 2025年末終値から3/20終値までの騰落率(分配金を除く)は、同ETFが+10.4%と、ダウ工業株30種平均株価(▲5.2%)、S&P500株価指数(▲5.0%)、ナスダック100(▲5.4%)を上回る。2月に米連邦最高裁が国際緊急経済権限法(IEEPA)に基づくトランプ関税を違法としたことに加え、エネルギー生産・輸出国としてホルムズ海峡の封鎖に伴う原油価格高騰もブラジル経済へ追い風とみられる。

レモネード (LMND):NYSE 2026/5/6に2026/12期1Q(1-3月)の決算発表を予定

  • 2015年設立のインシュアテック企業。テクノロジー、データ、人工知能(AI)、行動経済学などを活用して欧米で賠償責任保険や家財保険を提供。事務プロセスの大部分にチャットボットを活用。
  • 2/19発表の2025/12期4Q(10-12月)は、保険加入者数と1人当たり保険料の増加を受けて総収益が前年同期比53.3%増の2.28億USD(会社予想2.17-2.22億USD)、非GAAPの調整後EBITDAが前年同期の▲0.23億USDから▲0.04億USD(会社予想▲0.13-▲0.16億USD)へ赤字幅が縮小した。
  • 2026/12通期会社計画は、総収益が前期比61-62%増の11.87-11.92億USD、調整後EBITDAが▲0.48-▲0.52億USD(前期▲1.18億USDから赤字幅縮小)である。同社は1/21、米電気自動車大手テスラ(TSLA)との提携を発表し自動運転向けの自動車保険を世界で初めて導入。リアルタイムデータを基にFSD(自動運転支援機能)使用時の保険料を約50%割り引く他、走行距離課金などを含む。

トラベラーズ (TRV):NYSE 2026/4/16に2026/12期1Q(1-3月)の決算発表を予定

  • 1853年設立。米国内外の企業、政府機関、団体、個人向けに損害保険商品を提供。企業向けビジネス保険、債券・専門分野向け保険、個人保険(主に自動車と住宅)の3事業セグメントを営む。
  • 1/21発表の2025/12期4Q(10-12月)は、正味収入保険料が前年同期比1.1%増の108.56億USD、総収益が同3.5%増の124.32億USD、非GAAPのコア純利益(純実現投資損失を除く)が同19.9%増の25.11億USD。一時的要因を除く調整後の基礎的コンバインド・レシオが1.8ポイント改善の82.2%。
  • 2026/12期会社計画は公表せず。大規模自然災害がリスク要因として挙げられる一方、専門性や業界トップクラスのデータ分析力、AI(人工知能)などの技術投資、堅実な財務力といった強みで補っている。1853年創業の信頼性と1万2,000超の独立代理店網による顧客ロイヤリティとクロスセルへの展開、投資ポートフォリオの規模拡大に伴う投資収益の拡大見通しなど、経営基盤も強固だ。

バンガード米国生活必需品セクターETF (VDC):NYSEArca 分配金:年4回(3・6・9・12月)

  • 日足の始値と終値をローソク足で表示。「始値>終値 (陰線)」なら緑、「始値<終値 (陽線)」なら赤。
  • 決算発表の予定は現地3/20現在であり、変更される可能性があります。

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