25年10月「銘柄ピックアップ」振り返り
2025年10月分の米国ウィークリー「銘柄ピックアップ」について掲載直前週末終値から1/23終値までの騰落率上位6銘柄のうち、ウラン製造販売のカメコ(CCJ)、レアアース関連銘柄の指数に連動したヴァンエック・レアアースETF(REMX)、米海軍向け船舶メーカーのハンティントン・インガルス・インダストリーズ(HII)など経済を含む安全保障に関連した銘柄が上位3位までを占めた。がん治療薬開発が注目されるメルク(MRK)、強いブランド力を誇るモンスター・ビバレッジ(MNST)、「K字型経済」の恩恵を受けるエスティローダー(EL)も堅調
【2025年10月「銘柄ピックアップ」振り返り〜上位3銘柄は安全保障関連】
中間選挙年S&P500月次推移
米国株市場でみられる経験則(アノマリー)として、4年に1度の大統領選挙を軸とした「大統領選挙サイクル」がある。大統領就任3年目の市場が最も好調で、就任2年目(中間選挙年)のパフォーマンスが最も悪いことが知られている。1965年から2025年までのS&P500株価指数の年間騰落率の平均値は、就任1年目が9.8%の上昇、2年目が0.3%の下落、3年目が17.1%上昇、4年目が8.6%上昇である。2022年はインフレとの戦いによる政策金利の急激な引き上げを受けて19.4%の下落、2018年は第一次トランプ政権における米中摩擦の激化を受けて6.2%の下落となった。
2002年から2022年までの中間選挙年の月間騰落率の推移では、4月から9月にかけて変動率が高まる傾向がみられる。
【中間選挙年S&P500月次推移〜月間騰落率は4月以降ボラティリティ上昇】
S&P500指数のダイバージェンス
ダイバージェンスとは「逆行現象」を意味する言葉であり、オシレーター系テクニカル指標が実際の相場と逆方向に向かって動いている状態を指す。米国株についても、S&P500株価指数の週次終値と、その14週間のRSI(相対力指数)の間の関係で直近6カ月間、ダイバージェンスの状態が続いている。なお、週次のRSIは過去14週間の上げ幅合計を、上げ幅合計と下げ幅合計を足した数字で割った値である。
2024年についても同様のダイバージェンスが発生していたが、実際に相場が反転下落に転じたのはRSIが60を下回って50に近づいてきたタイミングだった。相場の上昇力が鈍化する中、RSIは足元でまだ60を上回っていることから、上昇相場がすぐに反転して下落トレンド入りするわけではないかもしれない。
【S&P500指数のダイバージェンス〜価格上昇も相場の勢いは減速目立つ】
米国株の「1月効果」と月ごと推移
米国株市場では、年末の節税売り後の買い戻しや新年の資金流入を背景に、1月の株価リターンが他の月より高くなりやすい「1月効果」のアノマリー(経験則)が指摘される。特に中小型株でその傾向がみられるとされる。1975年〜2025年まで51年間のS&P500株価指数の月間騰落率を見ると、月別平均値は1月が1.27%と、11月、4月に次いで3番目に高く、1月効果の存在が裏付けられる。
データの対象期間を1998年以降に変えると、1月の平均値が0.11%に低下し9番目に下がってしまうことから、アノマリーの効力が低下している可能性がある。
過去51年間の月別平均値で2月は0.09%と、9月の次にパフォーマンスが低い。1998年からの過去28年間でもマイナス0.325%となっている。
【米国株の「1月効果」と月ごと推移〜過去51年間の平均で3番目の上昇率】
アセアン主要6カ国の株価・通貨
アセアン主要6カ国の2025年における株式市場を見ると、トランプ関税の緩和から輸出が伸びたベトナム、金融当局(MAS)の市場活性化政策が功を奏したシンガポール、金や銅など貴金属・非鉄金属の堅調な市況を追い風としたインドネシアの株式市場が目立った。そのうち、シンガポールは通貨も堅調に推移した一方、ベトナムとインドネシアは成長重視による政策金利の低位据え置きから通貨は軟調に推移した。
タイとマレーシアの2025年は株式市場が軟調だった一方、トランプ政権による貿易政策の不確実性や9月以降の米FRB(連邦準備理事会)による利下げ開始を受けて通貨は堅調に推移。両国ともに経常収支が黒字基調で安定している点が通貨高のベースにあるとみられる。
【アセアン主要6カ国の株価・通貨〜株高・通貨安の国、株安・通貨高の国】
2022年9・10月の英トラスショック
2022年9月、当時のトラス英首相が大規模な減税策を柱とする「ミニ・バジェット」と呼ばれる財政政策を発表。所得税の基本税率引き下げ時期前倒し、高額所得者に適用される最高税率の撤廃(のちに撤回)や、さらに法人税率の引き上げ凍結なども含み、減税規模は過去50年で最大、総額450億ポンドに上った。これらの減税策は財源の大半を国債発行で賄う「財源なき減税」だったことから、発表直後から英ポンド急落と英国債の利回り急騰という激しい動きが起きた。株式市場も影響を受けて株式・債券・通貨のトリプル安の様相を呈した。
年金基金のLDI(負債主導投資)戦略が金利変動に対し脆弱だったことも状況を悪化させた。トラス首相は同年10/20、在任49日で辞任に追い込まれた。
【2022年9・10月の英トラスショック〜減税案で株式・債券・通貨トリプル安】