「TACO(トランプはいつも尻込みして引き下がる)トレード」は健在だった。トランプ米大統領はグリーンランドの領有権獲得に関する合意に達しなければ、欧州8か国に2/1から追加関税を課すと脅していたが、数日で撤回した。米国債市場に悪影響が出ると軌道修正を図るお決まりの展開だった。ただ、1-3月期決算発表期間中にもかかわらず、TACOトレードによる米国株市場の戻り局面で買いの勢いが加速するような地合いになっていない。
その要因として、機関投資家の株式へのエクスポージャーが既に高すぎることが挙げられる。全米アクティブ投資マネージャーズ協会(NAAIM)会員が毎週水曜日に協会に対して全体的な株式エクスポージャーを表す数値を報告・集計した「NAAIMエクスポージャー指数」は昨年12/17に100.70まで上昇した後も、1/21で88.46と高水準にある。中長期的に80を超えると「過度の楽観」、20を下回ると「過度の悲観」と捉えられる傾向にある。また、バンク・オブ・アメリカ(BofA)が公表した1月の調査によると、世界のファンドマネージャーの強気姿勢を表す「ブルベア指数」が2021年7月以来の高水準となり、現金への配分比率が過去最低の3.2%に低下した。買い余力という点では上限に近いと見るべきだろう。
その一方、トランプ政権を巡るリスクは一向に収まる気配がみられない。トランプ政権が課した追加関税の合憲性を巡る訴訟で、米連邦最高裁の最終判決が出てもおかしくない時期に差し掛かっている。下級審では国際緊急経済権限法(IEEPA)に基づく関税は「大統領の権限を越えて違法」との判断が相次ぎ、最高裁も厳しい姿勢を示している。違憲判決が出れば、財源への懸念から米国債が大きく売られるリスクがある。それに加え、米連邦政府のつなぎ予算の期限が1/30に迫る中、昨年秋に続いて再び、予算切れにより連邦政府機関の一部が閉鎖される可能性が高まっている。トランプ政権が移民の取り締まり強化を進める中西部ミネソタ州で、当局の発砲により死者が出たことに野党の民主党が反発し、2026会計年度予算案に反対する方針を鮮明にしている。リスクに見合うだけのリターンを獲得できるのか、改めて見直すべき時期かもしれない。
市場で物色される銘柄の柱となっているのは、マイクロン・テクノロジー(MU)など半導体メモリー大手だ。メモリー各社がAI(人工知能)向けの先端品に生産をシフトし、汎用品の品薄感が強い。台湾の調査会社トレンドフォースによると、汎用メモリーのDRAM価格は、2025年10-12月が7-9月に比べ5割以上上昇し、26年1-3月も同程度の上昇が見込まれている。メモリー価格高騰は家電など消費財に波及している。必要な部品が足りないために生産に支障をきたす事態になる兆しが出ている。半導体不足と供給網の混乱には要注意だろう。(笹木)
1/27号は、
百度[バイドゥ](BIDU)、
フォーティネット(FTNT)、
ハリバートン(HAL)、
モデルナ(MRNA)、
スフィア・エンターテインメント(SPHR)、
テレダイン・テクノロジーズ(TDY)を取り上げた。
S&P500業種別およびダウ平均構成銘柄騰落率(1/23現在)
主要企業の決算発表予定
1月27日(火)
パッケージング・コープ・オブ・アメリカ、F5、PPGインダストリーズ、テキサス・インスツルメンツ、BXP、シーゲイト・テクノロジー・ホールディングス、ユニオン・パシフィック、インベスコ、キンバリー・クラーク、ゼネラル・モーターズ、ユナイテッドヘルス・グループ、ノースロップ・グラマン、パッカー、ローパー・テクノロジーズ、RTX、シンクロニー・ファイナンシャル、シスコ、ネクステラ・エナジー、HCAヘルスケア、ボーイング、ユナイテッド・パーセル・サービス(UPS)
1月28日(水)
ウエイスト・マネジメント、IBM、テスラ、サービスナウ、ラムリサーチ、マイクロソフト、CHロビンソン・ワールドワイド、メタ・プラットフォームズ、フェア・アイザック、ユナイテッド・レンタルズ、ラスベガス・サンズ、レイモンド・ジェームズ・ファイナンシャル、スターバックス、アンフェノール、AT&T、ダナハー、サウスウエスト航空、コーニング、エレバンス・ヘルス、オーチス・ワールドワイド、オートマチック・データ・プロセシング(ADP)、GEベルノバ、MSCI、テキストロン、レノックス・インターナショナル、ゼネラル・ダイナミクス、NVR、ASMLホールディング
1月29日(木)
ウェアーハウザー、サンディスク、アップル、KLA、レスメド、アーサー・J・ギャラガー、ビザ、ウエスタンデジタル、ホロジック、デッカーズ・アウトドア、ハートフォード・インシュアランス・グループ、ストライカー、ナスダック、アルトリア・グループ、ドーバー、アメリプライズ・ファイナンシャル、キャタピラー、パーカー・ハネフィン、ダウ、バレロ・エナジー、パルトグループ、インターナショナル・ペーパー、サーモフィッシャーサイエンティフィック、L3ハリス・テクノロジーズ、ハネウェル・インターナショナル、A.O.スミス、トラクター・サプライ、マーシュ&マクレナン、ノーフォーク・サザン、シャーウィン・ウィリアムズ、ロッキード・マーチン、ブラックストーン、トレイン・テクノロジーズ、コムキャスト、ロイヤル・カリビアン・クルーズ、マスターカード
1月30日(金)
フランクリン・リソーシズ、アメリカン・エキスプレス、チャーター・コミュニケーションズ、ベライゾン・コミュニケーションズ、エーオン、エクソンモービル、コルゲート・パルモリーブ、ライオンデルバセル・インダストリーズ、シェブロン、チャーチ・アンド・ドワイト、リジェネロン・ファーマシューティカルズ、エアープロダクツ・アンド・ケミカルズ
2月2日(月)
NXPセミコンダクターズ、パランティア・テクノロジーズ、ダビータ、テラダイン、アプティブ、タイソン・フーズ、ウォルト・ディズニー・カンパニー、リビティ、アイデックスラボラトリーズ
主要イベントの予定
1月26日(月)
1月27日(火)
- 米国が気候変動対策の枠組み「パリ協定」から再離脱
- 米主要20都市住宅価格指数(11月)、米FHFA住宅価格指数(11月)、米消費者信頼感指数(1月)
1月28日(水)
- 米FOMC最終日・政策金利発表・パウエルFRB議長記者会見
1月29日(木)
- 米新規失業保険申請件数(1月24日終了週)、米非農業部門農業生産性(7-9月)、米貿易収支(11月)、米製造業受注(11月)、米卸売在庫(11月)
1月30日(金)
- 米PPI(12月)、米シカゴ購買部協会景況指数(1月)
2月2日(月)
- S&Pグローバル米製造業PMI・確定値(1月)、米ISM製造業景況指数(1月)
銘柄ピックアップ
百度[バイドゥ] (BIDU):NASDAQ
2026/2/26に2025/12期4Q(10-12月)の決算発表を予定
- 2000年設立の中国インターネット検索エンジンとオンライン広告サービス大手。検索情報サービスのBaidu.com、会話式AIアシスタントDuerOS、自動運転エコシステムApolloなどのサービスを提供。
- 11/18発表の2025/12期3Q(7-9月)は、売上高が前年同期比7.1%減の311.74億元、非GAAPの調整後EPSが同33.0%減の11.12元。広告収入などオンラインマーケティング事業は18%減収(165億元)の一方、AI(人工知能)含むクラウドサービスなど非広告事業が9%増収(146億元)と伸長した。
- 同社のAI関連事業の3Q売上高の内訳は、AIクラウドインフラが前年同期比33%増の42億元、AIアプリケーションが6%増の26億元、AIネイティブ・マーケティング・サービスが3.6倍の28億元へ成長。さらに、自動運転「Apollo Go」は完全無人運用乗車数が3.1倍の310万回に達した。また、米中対立の先鋭化を受けて米国の規制を受けにくい自社開発AI半導体を5年間で5製品投入すると発表。
フォーティネット (FTNT)NASDAQ
2026/2/5に2025/12期4Q(10-12月)の決算発表を予定
- 2000年設立。Internet Gatewayに必要なセキュリティ機能を実現する統合脅威管理(UTM)「フォーティゲイト」およびその効率的活用の為の統合管理・監視ツールを提供。UTM出荷額で世界首位。
- 11/5発表の2025/12期3Q(7-9月)は、売上高が前年同期比14.4%増の17.24億USD(会社予想16.7-17.3億USD)、非GAAPの調整後EPSが同17.5%増の0.74USD(同0.62-0.64USD)。請求ベース取扱高が14%増の18.1億USD(同17.6-18.4億USD)、調整後営業利益率が0.8ポイント上昇の36.9%。
- 通期会社計画を上方修正。調整後EPSを同12-14%増の2.66-2.70USD(同2.47-2.53USD)とした。売上高は前期比13-14%増の67.2-67.8億USD(従来計画66.75-68.25億USD)とレンジを縮小。ネットワークとセキュリティ機能をクラウド上で統合する「SASE」、ITセキュリティと運用が融合する「SecOps」が堅調に推移。AIがセキュリティソフトを侵食するのではなく補完・強化する傾向が高まっている。
ハリバートン (HAL)NYSE
2026/4/22に2026/12期1Q(1-3月)の決算発表を予定
- 1919年設立の油田サービス大手。世界中の石油・天然ガス企業を顧客とし、「仕上げ(掘削作業の完了した坑井に生産装置を設置)と生産」、および「掘削と油層評価」の2事業セグメントを営む。
- 1/21発表の2025/12期4Q(10-12月)は、売上高が前年同期比0.8%増の56.57億USD、非GAAPの調整後EPSが同1.4%減の0.69USD。事業別営業利益は「仕上げ・生産」(売上比率58%)が9%減の5.70億USD、「掘削・油層評価」(同42%)が8%減の3.67億USD。営業キャッシュフローは24%減。
- 4Qの地域別売上高は、北米が前年同期比0.3%減の22.07億USDの一方、ラテンアメリカが12%増の10.66億USD、欧州・アフリカ・CISが17%増の9.28億USDなど海外事業が堅調に推移。米国によるベネズエラの軍事作戦後、トランプ米大統領は米石油大手に対し老朽化した同国のインフラ修復と1000億USDの投資を要請。同社CEOはベネズエラ事業を迅速に再開する準備ができていると言明。
モデルナ (MRNA)NASDAQ
2026/2/13に2025/12期4Q(10-12月)の決算発表を予定
- 2010年設立のバイオテクノロジー企業。感染症、がん免疫、心血管疾患のmRNA(メッセンジャーRNA)による治療薬とワクチンの発見・開発に注力し、臨床試験段階のバイオ技術開発を手がける。
- 11/6発表の2025/12期3Q(7-9月)は、売上高が前年同期比45.0%減の10.16億USD、EPSが前年同期0.03USDから▲0.51USDへ赤字転落。新型コロナワクチン販売減の一方、総営業費用が同34%減の12.76億USDとコスト管理が進み、EPSは四半期比で2Qの▲2.13USDから赤字幅が縮小した。
- 通期会社計画は、売上高が前期比37.5-50.0%減の16-20億USD(従来計画15-22億USD)に対し、売上原価が同39-45%減の8-9億USD(同12億USD)、研究開発費が同25-27%減の33-34億USD(同36-38億USD)とコスト削減額を増額修正。メルク(MRK)と共同開発中の個別化mRNAがんワクチンの長期(5年)追跡データやフェーズ2試験が好結果だったことを受けて株価は足元で堅調に推移。
- 2006年設立のエンターテイメント企業。旧「マディソン・スクェア・ガーデン(MSG)エンターテイメント」からライブエンターテイメント事業が分離独立。ラスベガスで球体アリーナ「スフィア」を運営する。
- 11/4発表の2025/12期3Q(7-9月)は、売上高が前年同期比15.2%増の2.62億USD、非GAAPの調整後営業利益が前年同期の▲0.10億USDから0.36億USDへ黒字転換。調整後営業利益の内訳はスフィア事業(売上比率66%)が0.17億USDへ黒字転換、MSGネットワーク事業が20%増の0.19億USD。
- 球体型エンターテインメント施設「スフィア」が米首都ワシントン郊外のリゾート地・ナショナルハーバーに進出する見通しとなった。総投資額や開業時期は未公表、総座席数は6000席でラスベガスのスフィアの3分の1程度の規模である。広告が映し出される外壁のLEDディスプレーの人気が高いほか、音楽ライブの興行収入も拡大基調。アラブ首長国連邦(UAE)のアブダビでも建設予定がある。
テレダイン・テクノロジーズ (TDY):NYSE
2026/4/23に2026/12期1Q(1-3月)の決算発表を予定
- 日足の始値と終値をローソク足で表示。「始値>終値 (陰線)」なら緑、「始値<終値 (陽線)」なら赤。
- 1960年設立の電子・通信機器メーカー。航空機向けに無線・衛星システムと通信設備を提供。計測、デジタル画像、航空宇宙・防衛電子機器、エンジニアリングシステムの4事業セグメントを展開。
- 1/21発表の2025/12期4Q(10-12月)は、売上高が前年同期比7.3%増の16.12億USD、非GAAPの調整後EPSが同14.1%増の6.30USD(同5.73-5.98USD)。赤外線コンポーネント、無人・防衛監視システム、水中自律型車両(AUV)の堅調な推移、ガス安全・大気監視需要の拡大が増収増益に貢献。
- 2026/12通期会社計画は、調整後EPSが前期比7-8%増の23.45-23.85USD。メラビアン会長によれば、同社は現在、約10-12種類の水中自律型無人潜水機を提供し、米国と欧州で新規契約を獲得。特に港湾警備向けの契約が増えている。また、有人潜水艇に関する海軍特殊部隊との継続契約や海軍作戦に先立つ環境センシンググライダーの利用増加など防衛関連需要が拡大している。
- 決算発表の予定は現地1/23現在であり、変更される可能性があります。
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