中間選挙に向けて、なりふり構わぬ「トランプ劇場」が動き出したようだ。正月早々のベネズエラへの軍事攻撃は成功裡に終わった。さらに、ベネズエラの油田権益確保、および2027年財政年度の国防予算を前年度比5割増しとするよう連邦議会に要求することなどは、米国企業にとってプラスとなる話だろう。
ベネズエラ軍事攻撃後も、デンマーク自治領グリーンランドの領有を目指す構えを示し、反発する欧州8カ国からの輸入品に10%の関税を2/1から課すと発表。6/1からは税率を25%に引き上げるとしている。昨年に幾度も見られた「TACO」(トランプはいつも尻込みする)に終わるだろうと楽観視する向きがあるものの、実施された場合には株式市場がショック安となる懸念が残る。その他にも、相次いで発表された有権者向けの政策が株価への逆風となる場面が増えてきている。
トランプ氏は1/9、高金利に苦しむ中間層・低所得者の救済を目的として、クレジットカード金利を1年間限定で10%の上限に抑え込む大統領令を1/20付けで発効するとした。クレジットカード事業は商業銀行にとって重要な収益源であり、カード上限金利要求が実施されれば金融株にとって打撃となるだろう。一方で、2025年初〜2028年末生まれの米国人の新生児が米政府から1,000ドルを受け取る「トランプ口座」の開設が7/4の独立記念日より開始される。米政府によれば、口座は「財務省の指定委託金融機関」で管理される。指定委託金融機関に選ばれることで業績を拡大する金融業者が現れる可能性がある。
さらに、トランプ氏は住宅価格の高騰が問題視される中、1/7に大手機関投資家による戸建て住宅の購入を禁止する措置を講じると発表したほか、政府支援機関のファニーメイ(連邦住宅抵当金庫)とフレディマック(連邦住宅貸付抵当公社)に2,000億ドル相当の住宅ローン債券を買い入れるよう指示。「住宅の手頃さ」を重視する政策は、住宅メーカーの利益率を圧迫することにつながる。
また、トランプ政権は1/16、データセンターの運用者に電力インフラの設備費用を求めると発表。テック企業がAI(人工知能)向けのデータセンターを増やす中、巨大テック企業にとって実質的にコスト増加となる政策である。電気料金上昇に伴って家庭の生活費上昇を抑えることが求められる中で必要な政策ではあるものの、AIインフラ投資拡大にブレーキをかける可能性がある。マイクロソフト(MSFT)は1/13、データセンター建設に伴う電気料金の上昇分を自社で負担すると発表している。昨年末にデータセンターへの過剰投資が懸念されてAI半導体・インフラ関連銘柄の株価が下落する局面があったことは記憶に新しい。2025年10-12月決算発表後のAI相場の行方には要注意だろう。(笹木)
1/20号は、
ASEテクノロジー・ホールディング(ASX)、
ブラックロック(BLK)、
デクスコム(DXCM)、
イートン(ETN)、
ハイコ(HEI)、
トランスダイム・グループ(TDG)を取り上げた。
S&P500業種別およびダウ平均構成銘柄騰落率(1/16現在)
主要企業の決算発表予定
1月20日(火)
ユナイテッド・エアラインズ・ホールディングス、ネットフリックス、インタラクティブ・ブローカーズ・グループ、ファスナル、フィフス・サード・バンコープ、キーコープ、USバンコープ、3M、DRホートン
1月21日(水)
キンダー・モルガン、シチズンズ・フィナンシャル・グループ、チャールズ・シュワブ、トゥルイスト・ファイナンシャル、トラベラーズ、ハリバートン、ジョンソン・エンド・ジョンソン、プロロジス、TEコネクティビティ、テレダイン・テクノロジーズ
1月22日(木)
インテュイティブサージカル、CSX、インテル、キャピタル・ワン・ファイナンシャル、ノーザン・トラスト、マコーミック、ハンチントン・バンクシェアーズ(オハイオ州)、フリーポート・マクモラン、ゼネラル・エレクトリック、プロクター・アンド・ギャンブル、アボットラボラトリーズ
1月23日(金)
SLB
1月26日(月)
ベーカー・ヒューズ、ブラウン・アンド・ブラウン、ニューコア、WRバークレー、スチール・ダイナミクス
主要イベントの予定
1月19日(月)
- 米株式・債券市場休場(キング牧師生誕記念日の祝日)、世界経済フォーラム年次総会(スイス・ダボス、23日まで)、IMF世界経済見通し
1月20日(火)
1月21日(水)
- 米中古住宅販売成約指数(12月)、米景気先行指標総合指数(12月)、米建設支出(9、10月)
1月22日(木)
- 米新規失業保険申請件数(1月17日終了週)、米個人所得・支出(10、11月)、米個人消費支出(PCE)価格指数(10、11月)、米GDP(3Q)
1月23日(金)
- 米ミシガン大学消費者マインド指数(1月)、米S&Pグローバル製造業・サービス業・総合PMI (1月、速報値)
1月26日(月)
- 米耐久消費財受注(11月)、米ダラス連銀製造業活動指数(1月)