年末の12月相場が始まった。米国は財政年度が10月から始まること、および年末商戦や「サンタクロースラリー」といったお祭りムードとなりやすい季節性もあり、例年、10-12月の3カ月は高く推移しやすい。実際に、2014〜2024年の間のS&P500指数の年末終値は2018年を除いて9月末を上回った。今年はS&P500指数が10/29に史上最高値を付けて11/21まで約5.8%下落した後、米FRB(連邦準備理事会)の利下げ観測の高まりと11月最終週の感謝祭ウィークにおける年末商戦への期待を背景に、11月末終値で史上最高値まで約1%の水準まで戻った。例年通りの年末高で推移するのだろうか?
今年は例年にないような異変の兆しが出ている。第1に、暗号資産のビットコイン市場の変調だ。約4年毎に到来する「半減期」から1年半経過するとビットコイン相場がピークから下落に転じ、その後を追うように米国株市場が調整局面に転じるパターンが2018年、2022年に見られた。2024年4月の半減期から1年半後の今年10月以降、ビットコイン市場が下落に転じている。
第2に、米株式市場に関する有名なテクニカル指標で、市場の急落やクラッシュの可能性を示唆するシグナルとされる「ヒンデンブルグ・オーメン(ヒンデンブルグの予兆)」が10/29以降、11月上旬に相次いで発生したことだ。1回の点灯では「ダマシ」に終わることが多いが、短期間に複数回発生する「クラスター化」により警告の信頼性が高まるとされ、点灯から1カ月程度は要警戒期間とされている。
第3に、金先物相場の異変の兆しだ。CMX金先物価格(期近物)の終値は10/21、前日比約5.8%の下落となった。機関投資家によるETFを通じた買いを背景とした上昇加速の反動という理由が指摘できるものの、5%を超える下落は過去30年間という長期でも今回で9回目である。
これらの異変の兆しが杞憂に過ぎないとして警戒を解いてよいのは、12/9-10に開催される米FOMC(連邦市場委員会)を無事通過し、かつS&P500をはじめとして米主要株価指数が史上最高値を更新してからでも遅くないように思われる。
AI(人工知能)相場を牽引してきた半導体業界も10月以降、DRAMやNAND型フラッシュといった半導体メモリーのスポット価格が急騰する波乱に見舞われている。寡占市場である世界半導体メモリー市場の大半を占める韓国勢サムスン電子とSKハイニクスが米AI開発企業のオープンAIが主導するAIインフラ構築プロジェクト「スターゲート」を支援するため大型契約を発表したことを契機として、半導体メモリーの調達が極めて困難になっている。また、データセンターの電力需要の急増を賄える電力の供給に加え、過剰電力消費に伴う熱管理技術も高度化が求められるなど、供給面の制約が徐々に顕在化しつつあるようだ。(笹木)