2025-07-09 02:52:57

“6月はグローバル株式市場の回復と米国債市場のリスクに注目”

2025/6/4

提供:フィリップ証券株式会社

リサーチ部:笹木 和弘

2025年2月「銘柄ピックアップ」振り返り

2025年2月分の米国ウィークリー「銘柄ピックアップ」について掲載直前週末終値から5/30終値までの騰落率上位6銘柄を見ると、CMEグループCMEシーボー・グローバル・マーケッツCBOE等のデリバティブ取引所、およびケンビューKVUEウーバー・テクノロジーズUBERのような生活密着のディフェンシブ銘柄が上位を占めた。アンフェノールAPHは防衛・航空関連での強みが評価されている。ウイズダムツリー欧州株クオリティ配当成長株ファンドEUDGもウクライナ情勢を背景とした防衛関連銘柄の寄与が大きい。

2025年2月「銘柄ピックアップ」振り返り〜リスクヘッジ、ディフェンシブ優位

米国債のCDSは中国・イタリア並み

米格付会社ムーディーズが5/16、米国債信用格付けを最上位「Aaa」から「Aa1」に引き下げた。他の米格付け会社も、S&Pグローバルが2011年8月に、フィッチが2023年8月に既に最上位から1段階引き下げていることから市場は冷静に受け止めている。ベッセント米財務長官も「誰が気にするのか」と意に介していない。

ところが、クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)市場を見ると、投資家は米国債の信用格付けをもっと低く見ていることがわかる。5年物国債について発行体の信用リスクを表すCDSスプレッドを見ると、米国債は4月以降に上昇。足元では中国国債やイタリア国債と同水準にあり、ドイツ国債、日本国債、英国債に対して劣る。トランプ税制・歳出法案が議会上院で可決した場合のCDSスプレッド動向に要注意だろう。

米国債のCDSは中国・イタリア並み〜税制・歳出法案と債務上限問題

S&P500の200日と200週移動平均

米国の主要株価指数のS&P500は5/12終値で5844ポイントとなり、3/26以来の200日移動平均超えを達成した。S&P500は米英の関税交渉の進展や米中貿易摩擦の緩和を背景に上昇基調を辿る中、200日移動平均は5/20が5764ポイントと、4/2の5762ポイントを超えて過去最高水準を更新。S&P500の日次終値は、200日移動平均が2022年4月に下落基調に転じた後、同移動平均を上回った時点を戻り高値として再度下落することを繰り返した。同移動平均が上昇トレンドかどうかは重要だろう。

一方、過去6年間におけるS&P500の週次終値は、2020年4月、および2022年10〜2023年4月のように、200週移動平均が調整下落からの反転上昇の目処として機能している面が窺われる。5/30終値における200週移動平均は4727ポイントである。

S&P500の200日と200週移動平均〜「戻り高値」と「売られ過ぎの下値」

2008年と2025年の経済環境の違い

2007年と2024年は、米FRB(連邦準備制度理事会)が政策金利を1年以上据え置きから9/18に0.5ポイント利下げに転換し、その後も年末まで2回連続で利下げを行うなど、景気サイクルの類似性が際立った。一方、政策金利引上げは、2004年7月〜06年6月まで約2年間(引き上げ幅4.25ポイント)に対し、2022年3月〜23年7月まで約1年4ヵ月(同5.25ポイント)と、後者の方がより短期間でより大きな上げ幅となった。CPI(消費者物価指数)上昇率やドル指数も、後者の方が利上げ期間途中まで急激な上昇を示していた。

2008年にFRBによる利下げが相次いだのに対し、2025年は3回連続で政策金利据え置きとなった背景には、2024年までの金融引締めと据え置きが2007年までと比べて十分ではない面もあるだろう。

2008年と2025年の経済環境の違い〜政策金利引き上げ期間が短い影響

中国人民銀行総裁の「10の施策」

中央銀行の中国人民銀行は5/7、米国との貿易戦争にさらされる中国経済への支援を強化するため、7日物リバースレポ金利を0.1ポイント引き下げて1.4%へ、預金準備率を0.5%引き下げて9.0%にすると表明。今回の措置は借入コストの押し下げを目的として潘総裁が打ち出した「10の施策」の一部となる。

預金準備率とは、預金のうち一定割合を中央銀行に預けておかなければならない比率である。預金準備率が下がれば、銀行はより多くの資金を貸出や投資に回すことができる。中央銀行への準備預金は通常は無利子または非常に低利であることから、金利が低すぎて預貸利ざやが十分に確保できない場合を除き、貸出や相対的に高利回りの運用に回すことで銀行の収益改善が見込まれる。

中国人民銀行総裁の「10の施策」〜包括的金融政策で中国経済を支援

インド市場は投資環境好転の兆し

インド市場に海外投資資金が回帰し始め、4月は4ヵ月ぶりに海外投資家がインド株を買い越した。内需主導という経済構造の下、金融緩和と米国との関税交渉の進展への期待が背景にある。

2025年度予算案では中間層の支出拡大の狙いから所得税減税が盛り込まれた。中央銀行(インド準備銀行)は2月、政策金利(レポ金利)を6.5%から6.25%に引き下げた後、4月に6%まで引き下げた。利下げ継続観測の下、債券買いに株高・通貨高が伴う兆しがみられる。インドは米国から輸入する鉄鋼や自動車製品、医薬品について一定量まで相互に関税をゼロとする案を米国との貿易交渉で提示。英国との間でも自由貿易協定締結で合意。パキスタンとの間のカシミール地方の地政学リスクは残る。

インド市場は投資環境好転の兆し〜金融・財政の両輪に関税合意期待も

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