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“大型ハイテク株への物色集中と利下げ観測後退”

2024/12/17
提供:フィリップ証券株式会社
リサーチ部:笹木 和弘

“大型ハイテク株への物色集中と利下げ観測後退”

  • 米国株式市場は、「年末ラリー」、「サンタクロース・ラリー」の中で平穏に年末を迎えるのだろうか?
  • 主要株価指数のうちハイテク株の比率が高いナスダック総合指数が12/11に終値で初めて2万ポイントを超えた。12/6発表の11月雇用統計、および12/11発表の11月消費者物価指数(CPI)を受けて、12/18-19に開催されるFOMC(連邦公開市場委員会)に向けて利下げ期待の高まりがその背景の中心にあった。それに加え、トランプ次期政権のAI(人工知能)や暗号資産など金融技術に関する規制緩和、および引き続き生成AIの進化への期待の高まりも後押しをした。
  • その一方、多国籍大企業や景気敏感銘柄が多いダウ工業株30種平均(ダウ平均)株価の終値は、12/4に4万5000ドルを超えた後、12/13まで7営業日連続で下落した。これは2020年2月以来4年10か月ぶりのことだ。特に12/12発表の11月の卸売物価指数(PPI)が市場予想から大きく上振れたことで、来年1月以降の利下げ期待が萎み始め、長期金利が再び上昇し始めた。12/13に10年国債利回りが3ヵ月物国債利回りを2022年11月以来初めて上回ったことは潮目の変化を示唆している。新型コロナ・パンデミックの大幅下落から底打ちした2020年3月を起点とする上昇相場において、2021年末~2022年11月近辺までの期間は、FRB(連邦準備制度理事会)による政策金利の引上げによる調整局面から主要銘柄の株価が軒並み下落した「中間波動」を形成していた。
  • 30銘柄の平均株価をベースとするダウ平均株価は、12/13終値が12/4終値から2.6%下落した。これに対し、時価総額加重平均型のS&P500株価指数は、12/13終値が12/4終値から0.58%の下落にとどまった。時価総額上位7銘柄の「マグニフィセント・セブン」に12/13に時価総額1兆ドル超えを達成した半導体大手ブロードコム(AVGO)を加えた時価総額上位8銘柄の時価総額合計は、12/13終値が12/4終値比で3.75%の上昇に対し、それらを除くS&P500構成銘柄の時価総額合計は3.48%の下落となった。同様に、時価総額加重平均型のナスダック総合指数は、12/13終値が12/4終値比で0.97%上昇となるなか、時価総額上位8銘柄を除いた銘柄の時価総額合計は2.39%下落した。
  • ダウ平均株価とナスダック総合指数またはS&P500指数の株価動向に差異が見られる場合、米国株式市場の中で相対的に安全性が高いと見られる大型ハイテク株に資金が逃避している面がある。それでも、米国の利下げ観測が後退すれば、大型ハイテク株からの資金流出が進む可能性がある。その場合に受け皿となるのは、トランプ政権の規制緩和でより恩恵を受けやすい、AI(人工知能)やフィンテック関連の相対的に中小型のIT銘柄と想定される。(笹木)
  • 12/17号は、アファーム・ホールディングス(AFRM)アクソン・エンタープライズ(AXON)ダイナトレース(DT)パランティア・テクノロジーズ(PLTR)TモバイルUS(TMUS)イェルプ(YELP)を取り上げた。

ウィークリーストラテジー

S&P500業種別およびダウ平均構成銘柄騰落率(12/13現在)

主要企業の決算発表予定

12月17日(火)アメンタム・ホールディングス
12月18日(水)マイクロン・テクノロジー、ジェイビル、ゼネラル・ミルズ、レナー
12月19日(木)フェデックス、ナイキ、カーマックス、ペイチェックス、シンタス、アクセンチュア、コナグラ・ブランズ、ダーデン・レストランツ、ファクトセット・リサーチ・システムズ
12月20日(金)カーニバル

主要イベントの予定

12月16日(月)
  • S&Pグローバル米製造業・サービス業・総合PMI速報値(12月)、米ニューヨーク連銀製造業景況指数(12月)
12月17日(火)
  • 米FOMC(18日まで)
  • 米小売売上高(11月)、米鉱工業生産(11月)、米企業在庫(10月)、米NAHB住宅市場指数(12月)
12月18日(水)
  • 米FOMC最終日・パウエルFRB議長記者会見・声明と経済予測発表
  • 米経常収支(3Q)、米住宅着工件数(11月)
12月19日(木)
  • 米新規失業保険申請件数(14日終了週)、 米GDP(3Q、確報値)、米中古住宅販売件数(11月)、米景気先行指標総合指数(11月)、対米証券投資(10月)
12月20日(金)
  • 米個人所得・支出(11月)、米個人消費支出(PCE)価格指数(11月)、米ミシガン大学消費者マインド指数(12月、確報値)
12月23日(月)
  • 米シカゴ連銀全米活動指数(11月)、コンファレンスボード消費者信頼感指数(12月)
  • ※Bloombergをもとにフィリップ証券作成

銘柄ピックアップ

アファーム・ホールディングス(AFRM)市場:NASDAQ・・・2025/2/7に2025/6期2Q(10-12月)の決算発表を予定 

  • ペイパルのCTO(最高技術責任者)だったマックス・レヴチンが2012年に創業。ネット消費者のEコマース購入時に「Buy Now, Pay Later(BNPL)」と呼ばれる後払い決済・分割払いサービスを提供。
  • 11/7発表の2024/6期1Q(7-9月)は、売上高が前年同期40.7%増の6.98億USD(会社予想:6.4-6.7億USD)、流通総額が同36%増の76億USD(同:71-74億USD)、調整後営業利益率が同6.5ポイント拡大の18.6%(同:14-16%)と会社予想を上回って推移。年末商戦でBNPLサービス需要が高まった。
  • 通期会社計画を上方修正。流通総額を前期比27.8%増の340億USD(従来計画:335億USD)、売上高対流通総額比率を同0.2ポイント拡大の8.9%(同:8.8%)、調整後営業利益率を同3.6ポイント拡大の20.0%(同18.4%)とした。BNPLはクレジットカードを持ちにくい低所得者層を中心に拡大。米アドビ調査によれば感謝祭週明けの「サイバーマンデー」のBNPL利用額が前年比6%増で過去最高。

アクソン・エンタープライズ(AXON)市場:NASDAQ・・・2025/2/27に2024/12期4Q(10-12月)の決算発表予定 

  • 1993年設立。法執行機関(警察等)や刑務所、軍隊他向けに電気兵器類(スタンガンの一種で電気ショックで相手を動けなくさせるテーザー銃)やソフトウェアセンサーシステムを開発・製造・販売。
  • 11/7発表の2024/12期3Q(7-9月)は、売上高が前年同期比31.7%増の5.44億USD、非GAAPの調整後EBITDAが同54.4%増の1.45億USD。売上維持率(1既存顧客当たり平均契約金額の前回比率)が123%。テーザー事業が同36%増収、ソフトウエア&センサー事業が同29%増収と堅調に推移。
  • 通期会社計画を上方修正。売上高を前期比32%増の20.7億USD(従来計画:20.0-20.5億USD)、調整後EBITDAマージンを同1.5ポイント拡大の24.6%(同:23.1%)とした。米取引所ナスダックは12/13、同銘柄は12/23よりナスダック100指数に採用されると発表。トランプ次期政権の下で不法移民規制や薬物輸入規制強化目的で警察など法執行機関向けテーザー銃の需要増が見込まれる。

ダイナトレース(DT)市場:NYSE・・・2025/2/7に2025/3期3Q(10-12月)の決算発表予定 

  • 2005年設立のSaaS(Software as a Service)企業で、マルチクラウド環境上の様々なアプリケーションのパフォーマンス管理・運用監視をリアルタイムかつ一元的に行うツールの「Dynatrace」を提供。
  • 11/7発表の2025/3期3Q(10-12月)は、売上高が前年同期比18.9%増の4.18億USD(会社予想:4.04-4.07億USD)、非GAAPの調整後EPSが同19.4%増の0.37USD(同:0.32-0.33USD)。企業のデジタル変革(DX)需要を追い風に、継続課金に係る年間経常収益(ARR)が同20.3%増の16.16億USD。
  • 通期会社計画を上方修正。売上高を前期比16-17%増の16.65-16.75億USD(従来計画:16.44-16.58億USD)、調整後EPSを同9-11%増の1.31-1.33USD(同:1.26-1.29USD)とした。同社のソフトウェアはAI(人工知能)を中核として導入から監視・検証・分析まで全て自動化。急速に普及する生成AIとの間でのデータ連携の進展が生産性を向上させるることで、企業のDX化への貢献が見込まれる。

パランティア・テクノロジーズ(PLTR)市場:NASDAQ・・・2025/2/5に2024/12期4Q(10-12月)の決算発表予定 

  • ペイパルの共同創業者で起業家のピーター・ティール氏らが2003年に設立 。ビッグデータ解析プラットフォームを開発・提供。米諜報機関が対テロ分析で活用するほか、ヘッジファンドなども利用。
  • 11/4発表の2024/12期3Q(7-9月)は、売上高が前年同期比30.0%増の7.25億USD(会社予想6.97-7.01億USD)、非GAAPの調整後営業利益が同68.7%増の2.75億USD(同:2.33-2.37億USD)と堅調に推移。民間商業向け売上が同27%増の3.17億USD、政府機関向け売上が同33%増の4.08億USD。
  • 通期会社計画を上方修正。売上高を前期比26.1-26.2%増の28.05-28.09億USD超(従来計画:27.42-27.50億USD)、調整後営業利益を同84-85%増の10.54-10.58億USD(同9.66-9.74億USD)とした。同社CEOのピーター・ティール氏は「ペイパル・マフィア」と呼ばれるペイパル元幹部の事業家集団の中でも中心的な人物であり、トランプ次期政権下でも強い影響力を発揮することが期待される。

TモバイルUS(TMUS)市場:NYSE・・・2025/1/24に2024/12期4Q(10-12月)の決算発表予定 

  • 1994年設立のボイスストリーム・ワイヤレスを前身とする。2001年にドイツテレコム傘下企業入り後、2020年にソフトバンクG傘下スプリントを吸収合併。携帯電話事業者として加入者数が米国第3位。
  • 10/23発表の2024/12期3Q(7-9月)は、売上高が前年同期比4.7%増の201.62億USD、非GAAPのコア調整後EBITDAが同8.9%増の82.22億USD。9月末の後払いの契約者数が同23%増の1.27億人と伸びたほか、後払い契約者純増数も同約160万人と、2Q(151.7万人)から伸びが加速した。
  • 通期会社計画を上方修正。後払い契約純増者数を560-580万人(従来計画540-570万人)、コア調整後EBITDAを前期比7-8%増の316-318億USD(同315-318億USD)とした。同社は12/13、2025年末までに最大140億USD相当の自社株買いを実施すると発表。同社の調整後フリーキャッシュフローは3Qが51.62億USDと、前年同期比29%増、前四半期比16%増。株主還元原資は増加傾向にある。

イェルプ(YELP)市場:NYSE・・・2025/2/14に2024/12期4Q(10-12月)の決算発表予定 

(注)日足の始値と終値をローソク足で表示。「始値>終値(陰線)」なら、「始値<終値(陽線)」なら

  • 2004年にペイパルの元幹部だったジェレミー・ストップルマンが創業。地元企業の口コミ情報を無料登録できるプラットフォームを運営。企業は無料登録のほか広告表示有料サービスも選択できる。
  • 11/7発表の2024/12期3Q(7-9月)は、売上高が前年同期比4.4%増の3.60億USD(会社予想:3.57-3.62億USD)、非GAAPの調整後EBITDAが同5.1%増の1.01億USD(同:0.82-0.87億USD)。サービス事業からの広告収入が有料広告需要増加を受けて同11%増の2.28億USDと、業績を牽引した。
  • 通期会社計画は、売上高を前期比4-5%増の13.97-14.02億USD(従来計画:14.10-14.25億USD)と下方修正の一方、調整後EBITDAを同3-5%増の3.41-3.46億USD(同:3.25-3.35億USD)へ上方修正した。トランプ次期政権が「米国ファースト」を掲げる中で地域ローカルの中小企業の支援に注力してくると見込まれる。また、地域ローカル向けでありつつ20ヵ国超へのグローバル展開も強みだろう。
  • (※)決算発表の予定は現地12/13現在であり、変更される可能性があります。

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