24年8月「銘柄ピックアップ」を振り返る
今年8月分の米国ウィークリー「銘柄ピックアップ」について掲載直前週末終値から11/22終値までの騰落率上位6銘柄を見ると、パランティア・テクノロジーズ(PLTR)、スノーフレイク(SNOW)、ペイパル・ホールディングス(PYPL)など、トランプ次期政権で規制緩和の恩恵を受けると見込まれる情報技術(IT)・フィンテック(FT)関連銘柄が上位を占めた。米中対立で漁夫の利を享受し得るアセアンのフレクス(FLEX)、株価大幅下落からのターンアラウンドが期待されるペロトン・インタラクティブ(PTON)とアンダーアーマー(UAA)も堅調だった。
第1次トランプ政権時を振り返る
第1次トランプ政権下の2017~2019年(新型コロナ禍の2020年を除く)は、2017年はトランプ前大統領が輸出促進のため「弱いドル」を標榜したことに加え、グローバル経済が回復基調だったことからドル売り圧力が強まったが、2018~2019年はトランプ政権の保護主義的な貿易政策と米中貿易摩擦の激化により、「米国1人勝ちと他の主要国経済の鈍化」の傾向が強まったこと、およびリスク回避のため安全資産としてのドル買い需要が高まった。
2018年前半までは世界経済の回復に伴って米国長期金利と原油価格が上昇していたものの、後半以降は世界経済の減速懸念と不確実性の高まりが長期金利低下と原油価格下落をもたらした。そのような中でも米国株市場は大型ハイテク株を中心に概ね堅調に推移した。
第1次トランプ政権前半2年の株価
第1次トランプ政権の前半2年間は、2017年が「期待」、2018年が「調整と懸念」の年だった。2年を通じて「エネルギー」業種企業の株価は原油価格が落ち着いていたこともあり低調だった。2017年はトランプ政権が法人税の大幅減税を掲げ、年末に「減税と雇用法案」を成立させた。成長株への資金流入で「情報技術」、インフラ投資計画の恩恵で「素材」、規制緩和の恩恵で「金融」の業種が主に注目された。
2018年になると米中間の貿易摩擦が激化。これにより中国に供給網を依存している「素材」や中国への輸出割合が大きい半導体・ハイテク関連の業種が影響を受けた。その一方で、「ヘルスケア」などディフェンシブ業種やアップル(AAPL)など一部の「情報技術」の大型IT企業は株価が2017年に引き続いて堅調に推移した。
アルファベットとメタ・プラットフォームズ
「マグニフィセント・セブン」と呼ばれる米大手ハイテク株の一つ、アルファベット(GOOGL)とメタ・プラットフォームズ(META)が10/30取引時間終了後に7-9月期決算を発表。アルファベットは前年同期比15%増収、同34%の純利益増益。中でもクラウドコンピューティング事業が同35%増収と伸長。同社傘下のディープマインド社の研究者が2024年のノーベル化学賞を受賞するなど、突出した技術力を背景にクラウドを通じた生成AI(人工知能)で競争優位性を高めることが期待される。
メタ・プラットフォームズは前年同期比19%増収、同35%増益と堅調も、メタバース事業の先行投資が膨らむとして時間外取引で株価が下落。実際のところは、売上高総費用率が低下するなど利益率が改善している。見直し買いも期待される。
米クアルコムと英アーム決算発表
米半導体大手クアルコム(QCOM)、および同社へのライセンス供与に関する契約終了を先月通知した英半導体設計大手アームホールディングス(ARM)の両社が10/6、2024年7-9月期決算を発表。クアルコムは売上高が会社予想レンジ上限近く、非GAAPの調整後EPSが3四半期ぶりにレンジ上限を超えた。アームは、売上高、調整後EPSともにナスダック上場以来4四半期連続で会社予想レンジ上限を上回るなど堅調な内容だった。
米IDC社の調査によると生成AI(人工知能)対応スマホの普及加速を背景に、7-9月のスマホの世界出荷台数が前年同期比4%増と、5四半期連続で増加。両社ともにスマホに強い点で共通していることから、10-12月期も会社予想を上回る業績となる可能性が考えられるだろう。
米財政赤字と政府公的債務残高
米財務省の11/13の発表によると、日数調整後の10月の財政赤字は1210億USDと前年同月比89%増。前年の繰延税金納入という一時的要因を除いても同22%増だった。トランプ次期大統領は歳出削減のため実業家のイーロン・マスク氏を新たに創設予定の「政府効率化省」のトップに起用すると発表したものの、医療関連が同12%増、国防総省関連が同13%増と、削減が困難とされる分野の支出が増加している。また、2024財政年度(昨年10月~今年9月)の財政赤字は新型コロナ禍の2年間を除き最大だ。
米国債など連邦政府自身の債務と社会保障基金などその他の公的機関の債務を含む米連邦政府の公的債務残高は約36兆USDと、新型コロナ禍の緊急対応を含む過去6年間で約67%増加した。

