24年5月「銘柄ピックアップ」振り返る
今年5月分の米国ウィークリー「銘柄ピックアップ」について掲載直前週末終値から8/26終値までの騰落率上位6銘柄を見ると、生成AI(人工知能)関連相場継続のなかで半導体関連のコヒレント(COHR)とアーム・ホールディングス(ARM)に加え、パランティア・テクノロジーズ(PLTR)やオラクル(ORCL)などソフトウエア・プラットフォーム関連も強さを示した。「マグニフィセント・セブン」の中で出遅れていた電気自動車(EV)のテスラ(TSLA)も立ち直った。また、果物や果汁入り飲料でお馴染みのドール(DOLE)は果物の世界的品薄を反映。
24年5月「銘柄ピックアップ」振り返る~医療関連ディフェンシブ銘柄上位
米政策金利・市場予想の変化
7/31の米FOMC(連邦公開市場委員会)、翌日発表の7月米ISM(供給管理者協会)製造業景況指数、8/2発表の7月雇用統計後、米政策金利市場見通しは様変わりした。9月0.5ポイント利下げ確率は7割を超え、年末までに現在から1.00または1.25ポイント利下げ確率が拮抗。
雇用統計で失業率が4.3%に上昇したことで「3ヵ月移動平均が過去12ヵ月間の最低値から0.5ポイント超上昇すれば景気後退に陥る」という「サーム・ルール」成立に過剰反応した面もある。5日発表の7月米ISM非製造業景況指数は51.4(前月48.8,市場予想51.0)と改善。今後は景気悲観論行き過ぎのより戻しも想定される。22-24日の経済シンポジウム「ジャクソンホール会議」でパウエルFRB議長発言後、9月0.5ポイント利下げの勢いは収まっているようだ。
米政策金利・市場予想の変化~9月0.25ポイント・年内1.0ポイント引下げ多数
米国株における2つの偏りに要注意
米国株投資の大きなポイントとして2つの「偏り」が挙げられる。第1に、大型ハイテク株への偏りだ。アップル(AAPL)、マイクロソフト(MSFT)、エヌビディア(NVDA)、アルファベット(GOOGL)、アマゾン・ドットコム(AMZN)、メタ・プラットフォームズ(META)、テスラ(TSLA)の「マグニフィセント7」の合計時価総額の対S&P500構成銘柄全体に対する比率は、7/10の34.4%をピークに低下傾向。22年4月~23年1月に13ポイント低下していたことから注視されよう。
第2に、米国上場全株式の時価総額合計を名目米GDPで割った割合である「バフェット指数」は、21年11月の222.67の過去最高値から22年9月の152.16まで低下後、反転して今年7月に199まで上昇。景気後退に伴う業績悪化を織り込む場合はバフェット指数の低下も懸念される。
米国株における2つの偏りに要注意~M7銘柄対S&P500と米株対GDP
アジア主要通貨・対ドル相場動向
米利下げ観測の高まりを受けてドル高基調が転機を迎えているのを背景に、アジア各国の通貨が軒並み上昇。アジア各国の中央銀行が景気刺激を目的に利下げに踏み切れる局面の到来が期待される。マレーシアは米中など大国の間で中立的な立場をとり、半導体や電子・電気機器を中心に両陣営への輸出を通じた経済成長を実現してきた中で、生成AI(人工知能)ブームの追い風加速が通貨高に表れている。
他方、安易な米国利下げへの追随はアジア各国に再び通貨安をもたらすリスクがある。タイでは国軍の影響下にある憲法裁判所が14日、セター首相に解職命令を下すと同時に内閣総辞職も命じるなど、政局混迷に伴う経済減速のリスクも懸念されるも、通貨は堅調に推移。
アジア主要通貨・対ドル相場動向~マレーシア通貨高騰、気になるタイバーツ
米国経済の主なリスク要因動向
米国経済の主なリスク要因として?商業用不動産ローンやクレジットカードの延滞率上昇、および?住宅市場の動向の2点が挙げられる。米FRB四半期報告書によると、商業用不動産ローンは在宅勤務やEコマース定着に伴う逆風を背景に新型コロナ禍前水準を超えて上昇も2000年代と比べると極めて低水準にとどまる。他方、クレジットカード支払い遅延延滞率は生活費上昇に伴う家計悪化を受けて2012年以降で最悪の水準だ。
全米不動産協会(NAR)による家計の住宅ローン必要返済額と所得を比べた「住宅取得能力指数」(100以上が住宅取得可能とされる)は高い住宅ローン金利や住宅価格のため過去最低水準を更新。住宅購入者全体でも100を下回る。住宅市場は持続可能ではないだろう。
米国経済の主なリスク要因動向~ローンの延滞率と家計の住宅取得能力
米国株市場の需給と上昇余力
米国株市場は7月雇用統計発表の翌営業日(8/5)までの下落から反転上昇局面にある。主要株価指数の内、S&P500とナスダックは7月中旬の史上最高値を取り戻せていない一方で、NYSE総合指数(ニューヨーク証取上場の全普通株を対象とする調整時価総額加重平均指数)はいち早く史上最高値を更新。これにより他主要株価指数も高値更新の余地が残されているとの見方も成り立ち得よう。
米国の証券会社等の行動を監視・規制する非営利民間組織FINRAの月次データによると個人・機関投資家が信用取引を行う「マージン口座」月末借入残高は今年7月が8,108億ドルと、22年2月以来の水準回復。23年2月をボトムに回復基調にある。21年後半のようにその減少は株式相場下落に先行する傾向がみられる。
米国株市場の需給と上昇余力~NYSE総合指数高値更新・信用取引残高

