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“金融環境見通し変化も、有望銘柄への見方は変わらず”

2024/8/6
提供:フィリップ証券株式会社
リサーチ部:笹木 和弘

“金融環境見通し変化も、有望銘柄への見方は変わらず”

  • 7/31~8/2の3日間を経て、米国株市場を取り巻く環境も大きく変わった。7/31に結果発表の米FOMC(連邦準備制度理事会)では、米FRB(連邦準備制度理事会)による9月の0.25%利下げの可能性が高まったに過ぎなかったが、8/1に米ISM(サプライマネジメント協会)が発表した7月の製造業景況感指数が46.8と悪化。更に、8/2発表の7月の雇用統計では失業率が4.3%と6月の4.1%から上昇。9月の0.5%利下げ、年内合計1.25%の利下げ見通しがが一挙に高まった。「失業率の3ヵ月移動平均が過去12ヵ月間の最低値から0.5ポイント超上昇した場合、景気後退に陥る可能性が高まる」という「サーム・ルール」が成立したとして、相対的に景気敏感銘柄の影響を受けやすいダウ工業株30種平均の終値が前日比610ドル安となった。サーム・ルールは過去50年のデータで検証した場合に完璧な有効性を示しているとされるが、市場が過剰に反応した可能性もある。5日発表の7月の米ISM非製造業景況指数(6月実績:48.8、市場予想:51.0)の動向が注目されよう。
  • 為替の円高ドル安が急速に進み、円調達・ドル転換で主力米国株に投資する形の「円キャリー取引」の解消・巻き戻しが起こりやすくなっている。5日の日経平均株価は終値が前日比12.4%安の3万1458円と歴史的大幅安となった。5日以降の米国株市場に影響を与える可能性も考慮されよう。
  • 米国株の主要銘柄にも変調が見られる。米半導体インテル(INTC)の株価終値が2日、前日比26%下落。業績悪化と人員削減を受けて売りが広がった。ただ、インテルは競合他社と比べてAI半導体の開発で出遅れていたことから、生成AI(人工知能)で先行している他の半導体企業がつられて売られる理由には乏しい。AI半導体で主役のエヌビディア(NVDA)も次期AI半導体の「ブラックウエル」が設計上の不備で遅れる見込みと報道された。それでも、アルファベット(GOOGL)マイクロソフト(MSFT)アマゾン・ドット・コム(AMZN)など大型ITハイテク企業が生成AIへの投資に注力し過剰投資が懸念されて株価が売られやすくなっている中では、エヌビディアの優位性は維持されよう。その点、エヌビディアをAI半導体で追撃するアドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)には「追うものの強み」もありそうだ。
  • アップル(AAPL)も著名投資家バフェット氏率いる投資会社が4-6月にその保有をほぼ半減させたと報じられた。ただ、アップルは次世代「iPhone16」を今年後半に少なくとも9,000万出荷を目指し、サプライヤーやパートナー企業に対し出荷台数で前機種に対し約1割増加を目標とするなど強気だ。「エッジAI」の恩恵を受けるAI半導体銘柄は引き続き有望だろう。(笹木)
  • 8/6号は、アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)アーム・ホールディングス(ARM)ICICI銀行(IBN)3M(MMM)ペイパル・ホールディングス(PYPL)クアルコム(QCOM)を取り上げた。

ウィークリーストラテジー

S&P500業種別およびダウ平均構成銘柄騰落率(8/2現在)

主要企業の決算発表予定

8月6日(火)フォーティネット、イルミナ、アムジェン、デボン・エナジー、インターナショナル・フレーバー&フレグランス、アシュラント、モザイク、ダビータ、エアビーアンドビー、アクソン・エンタープライズ、ステリス、ウィン・リゾーツ、Constellation Energy Corp、センプラ、フォックス、エクスペディターズInt'lオブワシントン、ゾエティス、アイデックスラボラトリーズ、ヘンリー・シャイン、グローバルファウンドリーズ、マラソン・ペトロリアム、バクスターインターナショナル、ビルダーズ・ファースト・ソース、デューク・エナジー、フィデリティナショナルインフォメーションサービシズ、ジェイコブズ・ソリューションズ、バルカン・マテリアルズ、ケンビュー、トランスダイム・グループ、マーケットアクセス・ホールディングス、ウーバー・テクノロジーズ、トリンブル、ブロードリッジ・ファイナンシャル・ソリューションズ、スーパー・マイクロ・コンピューター、ヤム・ブランズ、モルソン・クアーズ・ビバレッジ、キャタピラー
8月7日(水)CFインダストリーズ・ホールディングス、オキシデンタル・ペトロリアム、マケッソン、アトモス・エナジー、エクイニクス、マラソン・オイル、ワーナーブラザース・ディスカバリー、コアペイ、モンスター・ビバレッジ、ラルフローレン、CVSヘルス、ウォルト・ディズニー・カンパニー、バイオテクネ、ヒルトン・ワールドワイド・ホールディングス、チャールズリバー・ラボラトリーズIntl、エマソン・エレクトリック、ナイソース、ロックウェル・オートメーション、グローバル・ペイメンツ、ジンマー・バイオメット・ホールディングス、コカ・コーラ・ユーロパシフィック・パートナーズ
8月8日(木)アカマイ・テクノロジーズ、テイクツー・インタラクティブ・ソフトウエア、エクスペディア・グループ、インシュレット、ザ・トレードデスク、ニューズ・コーポレーション、パラマウント・グローバル、ソルベンタム、ギリアド・サイエンシズ、ビアトリス、EPAMシステムズ、データドッグ、ビストラ・コープ、NRGエナジー、マーティン・マリエッタ・マテリアルズ、イーライリリー、パーカー・ハネフィン
8月9日(金)エバジー
8月12日(月)バリック・ゴールド
8月13日(火)ホーム・デポ、アムコー

主要イベントの予定

8月5日(月)
  • 米サンフランシスコ連銀総裁が討論会に参加、FRB上級融資担当者調査
  • 米ISM非製造業総合景況指数(7月)
8月6日(火)
  • 米3年債入札、米貿易収支(6月)
8月7日(水)
  • 米10年債入札、米消費者信用残高(6月)
8月8日(木)
  • 米30年債入札、米リッチモンド連銀総裁・ウェビナー出席
  • 米新規失業保険申請件数(3日終了週)、米卸売在庫(6月)
8月12日(月)
  • ニューヨーク連銀1年インフレ期待(7月)、月次財政収支(7月)
8月13日(火)
  • NFIB中小企業楽観指数(7月)、米卸売物価指数PPI(7月)
  • ※Bloombergをもとにフィリップ証券作成

銘柄ピックアップ

アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)市場:NASDAQ・・・2024/10/31に2024/12期3Qの決算発表を予定 

  • 1969年設立の半導体企業。法人向けエンタープライズ事業のほか、CPU (Ryzen他)、GPU(Radeon他)、両者統合のAPUなどの製品も手掛ける。22年2月に半導体FPGA大手ザイリンクスの買収を完了。
  • 7/30発表の2024/12期2Q(4-6月)は、売上高が前年同期比8.9%増の58.35億USD(会社計画54-60億USD)、非GAAPの調整後粗利率が同3ポイント上昇の53%(同:53%)、EPSが19.0%増の0.69USD。AI(人工知能)半導体の貢献でデータセンター売上高が同2.1倍の28.34億USD)と業績拡大を牽引。
  • 2024/12期3Q(7-9月)会社計画は、売上高(中心値)が前年同期比16%増の64-70億USDと伸びが加速、調整後粗利益率が同2.5ポイント上昇の53.5%。圧倒的な存在感を示すエヌビディア(NVDA)への追撃で前進。新しいAIアクセラレーター「MI300」の通期売上見通しが45億USDへ上方修正されたほか、生成AI普及はPCなどクライアント部門(2Qが同50%増収)の押し上げ効果も期待されよう。

アーム・ホールディングス(ARM)市場:NASDAQ・・・2024/11/8に2025/3期2Q(7-9月期)の決算発表を予定 

  • 1990年設立の英企業でソフトバンクG傘下。世界の半導体企業向けに高性能・低コスト・高エネルギー効率のCPU製品と関連技術を設計・開発し、ライセンスを供与。スマホ向けは世界市場独占。
  • 7/31発表の2025/3期1Q(4-6月)は、売上高が前年同期比39.1%増の9.39億USD(会社計画8.75-9.25億USD)、非GAAPの調整後EPSが同66.7%増の0.40USD(同:0.32-0.36USD)と、会社計画レンジ超過。受注残を意味し、将来売上に繋がる残存履行義務(RPO)が同29%増の21.68億USDと拡大。
  • 通期会社計画は、売上高が前期比18-27%増の38-41億USD、調整後EPSが同14-30%増の1.45-1.65USDと従来計画を据え置き。同社半導体設計製品の世界シェア(2022年)はモバイル99%と独占しスマホ市場回復の恩恵をフルに受けるポジションとして、アップル(AAPL)が発売予定の生成AI(人工知能)採用新型iPhoneほか省電力が要請されるオンデバイス(エッジ)対応需要が高まろう。

ICICI銀行(IBN)市場:NYSE・・・2024/10/21に2025/3期2Q(7-9月期)の決算発表を予定 

  • 1955年に世界銀行とインド政府の主導で設立された「開発金融機関」を母体とする民間銀行でインド第2位の規模。22年末、インド国内に5,718支店と1万3,186ヵ所のATMの銀行網を擁する。
  • 7/27発表の2025/3期1Q(4-6月)は、コア営業収益が前年同期比10.8%増の2594億INR(インドルピー)、純利益が同14.6%増の1,105億INR。純金利収益が同7.3%増の1,955億INR、手数料収入が同13.4%増の549億INRと堅調。利益面も貸倒引当金繰入額が同3.1%増も経費率が0.5ポイント改善。
  • 1Qの純金利マージンが前年同期比0.42ポイント低下の4.36%へ悪化も6月末貸出残高が同17.1%増と堅調な伸びを示しつつ、6月末不良債権比率(グロス)が2.15%で前年同期比0.61ポイント、3月末比0.01ポイント低下と融資の質を高めている。同行は海外支店の融資ポートフォリオを6月末で前年同期比9%減の32.0億USDとする等インド国内に集中方針。米利下げは新興国市場へ追い風だろう。

3M(MMM)市場:NYSE・・・2024/10/24に2024/12期3Q(7-9月期)の決算発表を予定 

  • 1902年設立の化学・電気素材メーカー。「安全&産業(作業現場向け)」、「輸送&電子機器」、「ヘルスケア」、「消費者」の4事業セグメントの下で運営され、世界中で多様な事業部門を展開する。
  • 7/26発表の2024/12期2Q(4-6月)は、売上高が前年同期比0.5%減の62.55億USD、一時的費用の影響を除く継続事業の非GAAPの調整後EPSが同38.8%増の1.93USD。医療ソリューション関連のソルベンタム(SOLV)の4/1スピンオフを含め、調整後営業利益率が同4.4ポイント上昇の21.6%へ改善。
  • 通期会社計画を上方修正。調整後EPSを前期比24-21%減の7.0-7.3USD(従来計画6.8-7.3USD)とした。調整後の既存事業売上高は同0-2%増で従来計画を据え置き。PFAS(有機フッ化化合物)製造撤退に伴うリストラ進展成果が業績に出始めたほか電気機器・半導体向け部材の売上伸長。5月就任の大手航空宇宙企業の元トップのブラウンCEOの下、株価ターンアラウンドが期待される。

ペイパル・ホールディングス(PYPL)市場:NYSE・・・2024/11/1に2024/12期3Q(7-9月)の決算発表を予定 

  • 1998年設立の電子決済サービス企業。利用者が事業者にクレジットカード番号等を伝える必要がない点に強み。Eコマースやホテル・飲食店での予約・事前決済など個人・法人向けで利用される。
  • 7/30発表の2024/12期2Q(4-6月)は、営業収益が前年同期比8.2%増の78.85億USD、非GAAPの調整後EPSが同36.8%増の1.19USD。稼働口座数が同0.4%減も決済総額が同11%増、1口座当たり取引件数(12ヵ月平均)が同11%増。調整後フリーキャッシュフロー(FCF)も同31%増の11.40億USDへ拡大。
  • 通期会社計画を3ヵ月前に続いて上方修正。調整後EPSを前期比10%台前半~半ば(従来計画:同1桁台半ば~後半)の伸び率とした。昨年9月就任のクリス新CEOが打ち出した「金融テクノロジー企業の変革」目標の一環で引き続き合理化に注力し財務改善が進む中で株価は21年7月高値から約8割下落・予想PER14倍台と割安水準。人気の送金アプリ「ベンモ」伸長が突破口となる可能性。

クアルコム(QCOM)市場:NASDAQ・・・2024/11/1に2024/9期4Q(7-9月)の決算発表を予定 

(注)日足の始値と終値をローソク足で表示。「始値>終値(陰線)」なら、「始値<終値(陽線)」なら

  • 1985年設立。ワイヤレス機器で使用する半導体製品の設計・開発・基盤技術商業化を行う。半導体チップ販売のQCT、ライセンス販売のQTLの主要2事業のほか新興企業への投資等のQSIを営む。
  • 7/31発表の2024/9期3Q(4-6月)は、売上高が前年同期比11.1%増の93.93億USD(会社計画88-96億USD)、非GAAPの調整後EPSが同24.6%増の2.33USD(同:2.15-2.35USD)と、それぞれ会社予想レンジ上限。QCTの内、主力のスマホ向けが同12%増収へ回復に加えて、車載向けも同87%増収。
  • 2024/9期4Q(7-9月)会社計画は、売上高が前年同期比10-19%増の95-103USD、調整後EPSが同21-31%増の2.45-2.65USD。米調査会社IDCによれば、2024年4-6月のスマホの世界出荷台数が前年同期比6.5%増で3四半期連続で増加と回復基調。首位サムスン電子は、クアルコムが開発したオンデバイス型の省電力AI半導体を採用したAI(人工知能)機能付き最新スマホが売上に貢献。
  • (※)決算発表の予定は8/2現在であり、変更される可能性があります。

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