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“2024年4-6月決算発表で示される新たな動向”

2024/7/30
提供:フィリップ証券株式会社
リサーチ部:笹木 和弘

“2024年4-6月決算発表で示される新たな動向”

  • 2024年4-6月期決算発表の真っ最中だ。利益率悪化が予想されていた電気自動車(EV)のテスラ(TSLA)が売られたのは想定の範囲内としても、検索広告やクラウド事業など堅調だったアルファベット(GOOGL)の株価下落は市場心理を悪化させた。これから決算発表を控える他の巨大時価総額・大型ハイテク株の「マグニフィセント・セブン」も、業績好調でも売られるのではないかと市場参加者が疑心暗鬼になるのも無理もないだろう。生成AI(人工知能)向け半導体への巨額投資のマネタイズ(収益化)への懸念、という見方が背景にあるのならば、生成AI向けのGPU(画像処理半導体)を一手に供給するエヌビディア(NVDA)は買われるべきという理屈に繋がりそうなものだ。
  • 他方、生成AIの普及は半導体などハード・インフラから企業のDX(デジタル変革)を通じた現場の業務効率化の段階に移り始めている。IBM(IBM)のようなインフラ/ソフトウエアを押さえるIT企業や、インドのインフォシス(INFY)のようなソフトウエア受託請負開発企業の業績にも表れ始めている。
  • 「米国ウィークリー2024年3月26日号」上で、株価大幅下落後、経営者交代により経営再建を目指す「ターンアラウンド」銘柄として化学・素材大手のスリーエム(MMM)を取り上げた。同社はCEO交代に加え、ヘルスケア事業ソルベンタム(SOLV)のスピンオフ、および減配により60年余りにわたる「配当貴族」としての連続増配の伝統に終止符を打つなどの改革方針が業績改善と合わせて評価され、決算発表日(26日)の株価終値は前日比2割超の上昇となった。その他の「ターンアラウンド銘柄」候補としてペイパル・ホールディングス(PYPL)(決算発表日7/30)も注目したい。
  • 米商務省が26日に発表した6月の個人消費支出(PCE)価格指数は前年比2.5%上昇と、前月の2.6%から鈍化。インフレ状況の改善は米FRB(連邦準備理事会)による利下げ見通しを高めるプラス面の一方、景気減速のマイナス面も内包する。その意味ではヘルスケアなどのディフェンシブ銘柄の重要度が高まるとみるべきだろう。「米国ウィークリー2024年4月2日号」の「イースター明け重要週~医療・ヘルスケア分野に注目」でも触れたように、高齢化による退職者割合上昇を背景としてメディケアなど高齢者向けの医療・ヘルスケア分野への義務的経費の歳出も増大するとみられることから、医療・ヘルスケア業界は人口動態を背景とした成長が見込まれる。これは既に大手病院チェーンの4-6月期決算で公的医療保険制度の追加支払い制度導入州の増加が業績への貢献として表れている。医療・ヘルスケア関連銘柄への投資は当面、米国株物色の柱として位置づけられよう。(笹木)
  • 7/30号は、グローバルXブロックチェーンETF(BKCH)HCAヘルスケア(HCA)IBM(IBM)インフォシス(INFY)ユニバーサル・ヘルス・サービシズ(UHS)ユニオン・パシフィック(UNP)を取り上げた。

ウィークリーストラテジー

S&P500業種別およびダウ平均構成銘柄騰落率(7/26現在)

主要企業の決算発表予定

7月30日(火)マイクロソフト、アドバンスト・マイクロ・デバイセズ、デュポン・ド・ヌムール、ファースト・ソーラー、アリスタネットワークス、エクストラ・スペース・ストレージ、マッチ・グループ、エレクトロニック・アーツ、UDR、BXP、シーザーズ・エンターテインメント、ファーストエナジー、スターバックス、ライブ・ネーション・エンタテインメント、パブリック・ストレージ、スカイワークス・ソリューションズ、スマーフィット・ウエストロック、モンデリーズ・インターナショナル、ストライカー、コルボ、イリノイ・ツール・ワークス、S&Pグローバル、プロクター・アンド・ギャンブル、メルク、パブリック・サービス・エンタープライズ・グルーフ、ゼブラ・テクノロジーズ、ファイザー、エコラボ、スタンレー・ブラック・アンド・デッカー、コーニング、レイドス・ホールディングス、センターポイント・エナジー、ペイパル・ホールディングス、アメリカン・エレクトリック・パワー、アメリカン・タワー、フィリップス66、インサイト、シスコ、ハウメット・エアロスペース、ハベル、ガートナー、アーチャー・ダニエルズ・ミッドランド、ザイレム
7月31日(水)ARM Holdings PLC、アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)、エベレスト・グループ、FMC、コルテバ、MGMリゾーツ・インターナショナル、アフラック、インガソール・ランド、アメリカン・ウォーター・ワークス、ペイコム・ソフトウエア、CHロビンソン・ワールドワイド、メットライフ、PTC、メタ・プラットフォームズ、アルベマール、アイデックス、APA、ウエスタンデジタル、ラムリサーチ、エッツィ、コグニザント・テクノロジー・ソリューションズ、イーベイ、アンシス、フェア・アイザック、エバーソース・エナジー、クアルコム、オールステート、ノルウェージャンクルーズライン・ホールディングス、WECエナジー・グループ、ウォーターズ、ボーイング、ヘス、ボルグワーナー、ガーミン、ベリスク・アナリティクス、トレイン・テクノロジーズ、KKR、マリオット・インターナショナル(メリーランド)、マスターカード、GEヘルスケア・テクノロジーズ、センコラ、オートマチック・データ・プロセシング(ADP)、ブンゲ・グローバル、デイフォース、TモバイルUS、クラフト・ハインツ、CDW、ジェネラック・ホールディングス、アルトリア・グループ、ジョンソンコントロールズインターナショナル、ヒューマナ
8月1日(木)アップル、ドアダッシュ、AES、コテラ・エナジー、セラニーズ、レスメド、リージェンシー・センターズ、EOGリソーシズ、インテル、ジェン・デジタル、アトラシアン、アメレン、コンソリデーテッド・エジソン、ゴーダディ、メトラー・トレド・インターナショナル、バーテックス・ファーマシューティカルズ、バイオ・ラッド・ラボラトリーズ、アマゾン・ドット・コム、モトローラ・ソリューションズ、マイクロチップ・テクノロジー、アライアント・エナジー、モノリシック・パワー・システムズ、ベンタス、プルデンシャル・ファイナンシャル、クロロックス、ブッキング・ホールディングス、WWグレンジャー、ケラノバ、サザン、インターコンチネンタル・エクスチェンジ、ハンティントン・インガルス・インダストリーズ、コノコフィリップス、バイオジェン、リジェネロン・ファーマシューティカルズ、ボール、エクセロン、モデルナ、アイアンマウンテン、カミンズ、ドミニオン・エナジー、エクセル・エナジー、アプティブ、ハーシー、ラブコープ・ホールディングス、エアープロダクツ・アンド・ケミカルズ、クアンタ・サービシーズ、タルガ・リソーシズ、テレフレックス、エンタジー、イートン、アメテック、ベクトン・ディッキンソン、シグナ・グループ
8月2日(金) シーボー・グローバル・マーケッツ、チャーチ・アンド・ドワイト、エクソンモービル、シェブロン、ライオンデルバセル・インダストリーズ、PPL、リンデ
8月5日(月)ダイヤモンドバックエナジー、CSX、ONEOK、ウィリアムズカンパニーズ、タイソンフーズ

主要イベントの予定

7月30日(火)
  • 米FOMC(31日まで)、米主要20都市住宅価格指数(5月)、米FHFA住宅価格指数(5月)、米求人件数(6月)、米消費者信頼感指数・コンファレンスボード (7月)
7月31日(水)
  • 米FOMC最終日・声明公表とパウエルFRB議長記者会見
  • 米ADP雇用統計 (7月)、 米雇用コスト指数(2Q)、米中古住宅販売成約指数(6月)
8月1日(木)
  • 米自動車販売(7月)、米新規失業保険申請件数 (7月 27日終了週)、米非農業部門労働生産性(2Q)、米建設支出(6月)、米ISM製造業景況指数(7月)
8月2日(金)
  • 米雇用統計(7月)、米製造業受注 (6月)
8月5日(月)
  • S&Pグローバル米国サービス業・総合PMI・確定値(7月)、ISM非製造業景況指数(7月)
  • ※Bloombergをもとにフィリップ証券作成

銘柄ピックアップ

グローバルXブロックチェーンETF(BKCH)市場:NASDAQ・・・分配金:年2回(6・12月) 

  • 「ブロックチェーン技術」を提供する事業運営を行う企業群を代表する「ソラクティブ・ブロックチェーン指数」の価格および分配金利回り(手数料・経費控除前)に連動する投資成果を目指す。
  • 7/26終値で時価総額が165.20億USD、過去1年間の分配金単価(ネット)合計が1.031944USD。組入れ上位順5社は、マラソン・デジタル・ホールディングス(MARA)コインベース・グローバル(COIN)クリーンスパーク(CLSK)アイリスエナジー(IREN)ライオットプラットフォームズ(RIOT)
  • 昨年末終値から7/26終値までの騰落率(インカムゲインを除く)は、同ETFが+15.4%に対し、ダウ工業株30種平均が+7.7%、S&P500指数が+14.4%、ナスダック100が+13.1%。米証券取引員会(SEC)が時価総額2位の暗号資産であるイーサリアムを保有するETFを承認のほか、米共和党のトランプ前大統領が7/27、暗号資産業界のイベントで「米国をビットコインの超大国にする」と語った。

HCAヘルスケア(HCA)市場:NYSE・・・2024/10/24に2024/12期3Q(7-9月期)の決算発表を予定 

  • 1968年設立の病院運営持株会社。米国と英国で一般・救急病院、精神病院、リハビリ病院、独立手術センターなど多様な医療施設を所有・運営。病院チェーン上場企業の時価総額で世界首位。
  • 7/23発表の2024/12期2Q(4-6月)は、売上高が前年同期比10.3%増の174.92億USD、非GAAPの調整後EPSが同28.2%増の5.50USD。既存施設入院相当患者数は同5%増、既存施設1入院相当患者当たり収入が同6%増と増収に寄与。人件費が同5.6%増も、売上高総費用率は1.4ポイント改善。
  • 通期会社計画を上方修正。売上高を前期比7-10%増の697.5-717.5億USD(従来計画677.5-702.5億USD)、EPSが同14-20%増の21.6-22.8USD(同:19.7-21.2USD)とした。2024年にメディケイド(低所得者向けの公的医療保険制度)の追加支払いが追い風になる見込む。米共和党の政策綱領にも「社会保障と高齢者・障がい者向け公的医療保険を削減すること守り抜く」と盛り込まれている。

IBM(IBM)市場:NYSE・・・2024/10/23に2024/12期3Q(7-9月期)の決算発表を予定 

  • 1911年設立。コンピューター・ソリューションを提供する。ストレージ製品、サーバー製品のほか、人工知能(AI)の「Watson」やクラウドサービス、IoT、アナリティクス、コンサルティングなども手掛ける。
  • 7/24発表の2024/12期2Q(4-6月)は、売上高が前年同期比1.9%増の157.70億USD、継続事業に係る非GAAPの調整後EPSが同11.5%増の2.43USD。企業の生成AI(人工知能)や自動化システムへの取組み拡大を追い風にインフラ(同1%増収)とソフトウェア(同7%増収)の相乗効果が見られた。
  • 通期会社計画は、為替の影響を除く増収率が前期比1桁台半ば、フリーキャッシュフローが同7%増の120億USDで従来計画を据え置き。同社CEOは、昨年7月に提供開始の法人顧客向けAI(人工知能)の「ワトソンX」と生成AIに関する事業は4月時点で10億USDとの公表に対し20億USD以上の規模に育ったと公表。更に「同社技術や専門性を見込んだ顧客企業の引き合いが引き続き強い」とした。

インフォシス(INFY)市場:NYSE・・・2024/10/17に2025/3期2Q(7-9月期)の決算発表を予定 

  • 1981年設立。インドのバンガロールが本拠の世界有数のITコンサルティング・ソフトウエア受託開発企業。幅広い業界にアプリケーション開発、製品共同開発、システム実用化などサービス提供。
  • 7/18発表の2025/3期1Q(4-6月)は、売上高が前年同期比2.1%増の47.14億USD、純利益が同5.4%増の7.63億USD。営業利益率が同0.28ポイント上昇に加え、大口案件のTCV(合計契約金額)が同78%増の41億USDへ拡大したこともあり、フリーキャッシュフローが同56.5%増の10.94億USDへ伸長。
  • 通期会社計画を上方修正(2023年初以来)。為替の影響除く売上高を前期比3-4%増(従来計画1.0-2.5%増)とした。営業利益率は20-22%(1Q実績:21.1%)で据え置き。数年にわたり低迷していた企業の技術支出が生成AI(人工知能)の新潮流を受けて回復に転じる変曲点が示唆される。同社CEOによれば米国金融サービスの需要が加速。現場業務効率化ニーズ高まりの背景が窺われる。

ユニバーサル・ヘルス・サービシズ(UHS)市場:NYSE・・・2024/10/25に2024/12期3Q(7-9月)の決算発表を予定 

  • 1978年設立の医療施設運営会社。一般および専門外科、内科、産婦人科、小児科のほか、救急病院、行動医学ヘルス・センター、外来手術センター、放射線腫瘍学センターを所有・経営する。
  • 7/24発表の2024/12期2Q(4-6月)は、営業収益が前年同期比10.1%増の39.07億USD、非GAAPの調整後EPSが同70.4%増の4.31USD。既存施設営業収益は、1入院相当患者当たり収入増を受けて救急患者治療が6.6%増、行動医学ヘルス・センターが11.0%増。売上高総費用率が同3.3ポイント改善。
  • 通期会社計画を上方修正。営業収益を前期比9-10%増の155.65-157.53億USD(従来計画154.11-157.06億USD)、調整後EPSを同46-54%増の15.4-16.2USD(同:13.0-14.0USD)。BofA証券によれば同社ガイダンスにテネシー州とコロンビア特別区で承認待ちの新たな追加保険支払いの可能性を考慮していないとされ、他州でも同様に追加支払い制度の導入を検討と業績への追い風が続こう。

ユニオン・パシフィック(UNP)市場:NYSE・・・2024/10/18に2024/12期3Q(7-9月)の決算発表を予定 

(注)日足の始値と終値をローソク足で表示。「始値>終値(陰線)」なら、「始値<終値(陽線)」なら

  • 1862年に創業。米西海岸や中西部の23州を拠点に貨物鉄道輸送を展開。鉄道ネットワークの総延長は32,200マイル以上に及び、太平洋岸と湾岸港を中西部と米東部のゲートウェイと結ぶ。
  • 7/25発表の2024/12期2Q(4-6月)は、売上高が前年同期比0.7%増の60.07億USD、純利益が同6.6%増の16.73億USD。貨物輸送量が同0.4%減も1日当たり貨物輸送量が向上。従業員数の5%減および1ガロン当たり平均燃料価格の5%下落もあり、売上高営業費用率が同3.0ポイント低下改善。
  • 通期会社計画は、景気動向に左右される輸送量は不明も、生産性(1日当たり貨物輸送量他)やネットワーク効果改善、堅調なサービス価格を受けて改善見通し。同社輸送ネットワークはメキシコ湾岸各地から東部ゲートウェイへの長距離輸送ルート、メキシコへの主要輸送ルートのほかカナダ鉄道システムとも接続。対中国貿易に代わりカナダやメキシコとの間の貨物輸送の重要性が増そう。
  • (※)決算発表の予定は7/26現在であり、変更される可能性があります。

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