2026-06-08 17:54:24

マーケット > レポート > 米国ウィークリー・マンスリー >  “米大統領選が本線~ドリル・ベイビー・ドリルと製造業大国”

“米大統領選が本線~ドリル・ベイビー・ドリルと製造業大国”

2024/7/23
提供:フィリップ証券株式会社
リサーチ部:笹木 和弘

“米大統領選が本線~ドリル・ベイビー・ドリルと製造業大国”

  • ようやく、と言うべきか、米大統領選の動向が米国株式相場の大本線となりつつある。日本時間22日の朝、バイデン大統領が再選を断念し選挙戦からの撤退を表明。来月の19-22日開催の民主党全国大会までにどのようなプロセスを経て後継候補が決まるのか定かではない一方、共和党サイドは、大統領候補の指名受託演説でトランプ前大統領が不法移民の流入抑制とあわせ、「ドリル・ベイビー・ドリル(石油の大量生産)」と呼ばれる、石油・ガス採掘の規制緩和を再重要課題の一つに挙げた。
  • 8日には共和党の政策綱領が党全国委員会で承認され、「速やかに達成する20の約束」と「10の政策方針」が公表された。その「20の約束」の中には、「インフレを終わらせ、米国に再び手頃な価格をもたらす」、「米国を世界有数のエネルギー生産国にする」、「アウトソーシングをやめ、米国を製造大国にする」、「電気自動車(EV)の義務化を中止し、高コストで負担の大きい規制を削減する」といった公約が盛り込まれている。
  • 石油・ガス採掘の規制緩和ではエクソン・モービル(XOM)シェブロン(CVX)など大手石油・エネルギー企業だけでなく、ハリバートン(HAL)ベーカー・ヒューズ(BKR)アスペン・テクノロジー(AZPN)ほか、大手エネルギー企業を顧客としたサービスを提供する企業が注目される。他方、再生可能エネルギー普及促進は補助金の削減など、バイデン政権から180度転換する可能性がある点は要注意だろう。
  • 「アウトソーシングをやめ、米国を製造大国にする」という公約からは、工場生産の国内回帰を進めることから工場建設のための建設機械ほかインフラ関連銘柄が引き続き注目されよう。反面、トランプ氏が、生成AI(人工知能)に関連する先端半導体の受託製造を一手に担う台湾積体電路製造・TSMC(TSM)について「米国から半導体ビジネスを奪う」存在とみなし、米国による台湾への防衛義務と天秤に掛けるスタンスを示したことは軽視できないだろう。エヌビディア(NVDA)アップル(AAPL)をはじめ、TSMCに半導体製造をアウトソースする大型ハイテク・半導体銘柄を巻き込んだ株価調整・下落は、「ドリル・ベイビー・ドリル」と「製造業の国内回帰」といった政策とトレード・オフの関係にならざるを得ない、副作用として容認を余儀なくされる懸念も残る。
  • 「グレート・ローテーション」は、米FRB(連邦準備制度理事会)による利下げがラッセル2000指数を構成するような中小型銘柄へのシフトを伴うこと、および、共和党の政策綱領に沿った「トランプ・トレード」に伴う物色対象銘柄群の入れ替えの二点を大きな柱とすることになりそうな模様だ。(笹木)
  • 7/23号は、ボール(BALL)フォード・モーター(F)ファスナル(FAST)DirexionデイリーS&P石油・ガス探鉱・生産ブル2倍ETF(GUSH)SLB(SLB)ユナイテッド・レンタルズ(URI)を取り上げた。

ウィークリーストラテジー

S&P500業種別およびダウ平均構成銘柄騰落率(7/19現在)

主要企業の決算発表予定

7月23日(火) パッケージング・コープ・オブ・アメリカ、チャブ、テキサス・インスツルメンツ、テスラ、ビザ、シーゲイト・テクノロジー・HD、アルファベット、コスター・グループ、EQT、エンフェーズ・エナジー、キャピタル・ワン・ファイナンシャル、パルトグループ、クエスト・ダイアグノスティクス、HCAヘルスケア、ダナハー、パッカー、コムキャスト、コカ・コーラ、MSCI、ジェニュイン・パーツ、フリーポート・マクモラン、A.O.スミス、ペンテア、ムーディーズ、シャーウィン・ウィリアムズ、ロッキード・マーチン、インベスコ、NVR、ゼネラル・エレクトリック、フィリップ・モリス・インターナショナル、エイブリィ・デニソン、ゼネラル・モーターズ、キンバリー・クラーク、ユナイテッド・パーセル・サービス(UPS)
7月24日(水)IBM、モリーナ・ヘルスケア、ウエイスト・マネジメント、リパブリック・サービシズ、ニューモント、サービスナウ、インビテーション・ホームズ、アライン・テクノロジー、KLA、ローリンズ、ユニバーサル・ヘルス・サービシズ、テラダイン、アメリプライズ・ファイナンシャル、タイラー・テクノロジーズ、ユナイテッド・レンタルズ、グローブライフ、エドワーズライフサイエンス、レイモンド・ジェームズ・ファイナンシャル、ラスベガス・サンズ、オライリー・オートモーティブ、チポトレ・メキシカン・グリル、フォード・モーター、ラム・ウェストン・HD、CMEグループ、AT&T、アンフェノール、オールド・ドミニオン・フレイト・ライン、インターナショナル・ペーパー、ウェスティングハウスエアブレーキ・テクノロジーズ、フォーティブ、ゼネラル・ダイナミクス、サーモフィッシャーサイエンティフィック、ローパー・テクノロジーズ、ファイサーブ、アレジオン、ボストン・サイエンティフィック、TEコネクティビティ、オーチス・ワールドワイド、ネクステラ・エナジー、GEベルノバ、インターパブリック・グループ、テレダイン・テクノロジーズ
7月25日(木)ジュニパーネットワークス、ベーカー・ヒューズ、ウェアーハウザー、エジソン・インターナショナル、デクスコム、モホーク・インダストリーズ、ノーフォーク・サザン、ベラルト、シンシナティ・ファイナンシャル、L3ハリス・テクノロジーズ、ハートフォード・ファイナンシャル・サービシズG、アーサー・J・ギャラガー、デッカーズ・アウトドア、イーストマン・ケミカル、プリンシパル・ファイナンシャル・グループ、ベリサイン、ユニオン・パシフィック、バレロ・エナジー、ノースロップ・グラマン、プール、マスコ、ナスダック、キューリグ・ドクターペッパー、サウスウエスト航空、ダウ、ハネウェル・インターナショナル、LKQ、CMSエナジー、RTX、アッヴィ、トラクター・サプライ、ウィリス・タワーズ・ワトソン、PG&E、ハズブロ、ウエスト・ファーマシューティカル・サービシズ、アメリカン航空グループ、ドーバー、キャリア・グローバル、DTEエナジー、アストラゼネカ
7月26日(金)フランクリン・リソーシズ、チャーター・コミュニケーションズ、3M、コルゲート・パルモリーブ、ティー・ロウ・プライスG、ブリストルマイヤーズ スクイブ、センティーン、エーオン
7月29日(月)ホロジック、SBAコミュニケーションズ、ウェルタワー、F5、マクドナルド、リビティ、ロウズ、オン・セミコンダクター

主要イベントの予定

7月23日(火)
  • 米2年債入札、米中古住宅販売件数(6月)
7月24日(水)
  • ボウマン米FRB理事とダラス連銀総裁イベント開会のあいさつ、イスラエルのネタニヤフ首相米議会で演説、米5年債入札、米卸売在庫(6月)、米製造業・サービス業PMI(7月)、米新築住宅販売件数(6月)
7月25日(木)
  • 米7年債入札、 G20財務相・中央銀行総裁会議(リオデジャネイロ、26日まで)、米耐久財受注(6月)、 米新規失業保険申請件数(7月20日終了週)、米GDP(2Q、速報値)
7月26日(金)
  • パリ五輪開幕(8月11日まで)、米個人所得・支出(6月)、 米個人消費支出(PCE)物価指数(6月)、米ミシガン大学消費者態度指数・確定値(7月)
7月29日(月)
  • ダラス連銀製造業活動(7月)
  • ※Bloombergをもとにフィリップ証券作成

銘柄ピックアップ

ボール(BALL)市場:NYSE・・・2024/8/1に2024/12期2Q(4-6月)の決算発表を予定 

  • 飲料、パーソナルケア・家庭用品(エアロゾル製品など)向けアルミニウム缶の世界大手サプライヤー。グローバル企業を顧客とし、多くの長期供給契約を締結。航空宇宙事業は24年2月に売却。
  • 4/26発表の2024/12期1Q(1-3月)は、売上高が前年同期比3.3%減の28.74億USD、2/16完了の航空宇宙事業売却等の影響を除く非GAAPの調整後EPSが同1.4%減の0.68USD。主力の飲料パッケージの内、北中米が同6.7%減収、欧州・中東・アフリカが同2.9%減収に対し南米が同7.1%増収。
  • 2024/12会社計画は、15億USDを超える株主還元(自社株買いと配当)を実施。航空宇宙事業を英BAEシステムズに55.5億USDで売却で得た資金は債務償還と複数年に及ぶ自社株買いプログラムに使われる方針。リサイクルが容易なアルミ缶需要の中長期持続見通しに加え、米大統領選挙におけるトランプ前大統領再選見通しの下、米国内製造業強化政策が推進される可能性が高いとみられる。

フォード・モーター(F)市場:NYSE・・・2024/7/25に2024/12期2Q(4-6月期)の決算発表を予定 

  • 1903年設立の自動車メーカー。自動車の大量生産と科学的管理法を取り入れたフォード生産方式は現代の自動車産業の原点と言われる。子会社を通じて自動車関連ローン・リース・保険も提供。
  • 4/24発表の2024/12期1Q(1-3月)は、売上高が前年同期比3.1%増の427.77億USD、非GAAPの調整後EPSが同22.2%減の0.49USD。世界販売台数は同11%減も、トラック販売好調を受けて商業用のフォード・プロ部門(台数比率約39%)は同36%増収、売上高EBIT率も同6.4ポイント上昇の16.7%。
  • 2024/12通期会社計画を上方修正。調整後キャッシュフロー(前期68億USD)を65-75億USD(従来計画60-70億USD)とした。調整後EBIT(前期104億USD)は100-120億USDで据え置きもレンジ上限とした。1Qで電気自動車(EV)部門の赤字とガソリン車部門の新型ピックアップ生産立ち上げ遅れが利益面で響くも、一部のEV発売延期とガソリン車部門のハイブリッド(HV)拡充で業績改善を見込む。

ファスナル(FAST)市場:NASDAQ・・・2024/10/11に2024/12期3Q(7-9月期)の決算発表を予定 

  • 1967年創業の工業・建設資材の卸売大手。ファスナー、ボルト、ナット、ねじなどを業者向けに販売する。世界で1599支店を展開(2024年6月末)。顧客内店舗や資材の自動販売機の設置も行う。
  • 7/12発表の2024/12期2Q(4-6月)は、売上高が前年同期比1.8%増の19.16億USD、EPSが同1.9%減の0.51USD。6月末の現場内店舗数が同12%増(1934拠点)へ拡大したことを受けて1日当たり売上高が1桁台前半伸び率。他方、粗利益率が0.4ポイントおよび販管費率が0.3ポイントそれぞれ悪化。
  • 2024/12期の会社業績予想非開示。今年6月単月の1日当たり売上高伸び率は前年同月比3.3%増。同社は顧客の工場や建設現場への距離短縮のため店舗開設を増やすなか現場内店舗数増に対し支店数は6月末で前年同期比2.2%減少。米大統領選挙でトランプ前大統領再選見通しが高まるなか、製造業中心に工場生産の米国内回帰の動きが高まれば同社の業績へ追い風となろう。
  • S&P Oil & Gas Exploration & production Select Industry Indexの変動率の2倍に連動する投資成果を目指す。投資目的達成は日次ベースでのみ評価。分配金の権利落ちは3・6・9・12月の年4回。
  • 19日終値時価総額が4.06億USD、過去12か月間の分配金単価(ネット)合計が0.90812USD。連動指数の組入れ上位6社はオキシデンタル・ペトロリアム(OXY)シェブロン(CVX)コノコフィリップス(COP)エクソンモービル(XOM)バレロ・エナジー(VLO)クレセント・エナジー(CRGY)の順。
  • 昨年末終値から7/19終値までの騰落率(除くインカムゲイン)は同ETFが+9.0%に対し、WTI原油先物(期近)は+12.3%、S&P500株価指数が+15.4%。18日、共和党大統領候補の指名受託演説でトランプ前大統領は「大統領就任初日は2つのことをする。ドリル・ベイビー・ドリル(石油の大量生産)と国境の閉鎖だ」と宣言。石油・ガス採掘の規制緩和は最重要課題の一つに挙げられている。

SLB(SLB)市場:NYSE・・・2024/10/21に2024/12期3Q(7-9月)の決算発表を予定 

  • 1926年設立の油田サービス会社。22年にシュルンベルジェから社名変更。原油・天然ガス開発会社を顧客とし探査・検層に係る各種技術サポート提供。権益を持たず生産量・利益に応じた報酬体系。
  • 7/19発表の2024/12期2Q(4-6月)は、売上高が前年同期比12.8%増の91.39億USD、排出権取引課徴金・クレジットの影響を除く非GAAPの調整後EPSが同18.1%増の0.85USD。売上比率33%の生産システムが同31%増収、同20%貯留パフォーマンスが11%増収、同11%デジタル関連が11%増収。
  • 2024/12通期会社計画は、調整後EBITDAが前期比14-15%増、調整後EBITDAマージンを25%以上と、従来見通しから引き上げた。更に、3Q(7-9月)の前四半期比増収率を1桁台前半(2Qは前四半期比5.0%増収)とし、4Q(10-12月)に向けて伸び率加速見通しとした。原油・天然ガス開発はAI(人工知能)活用で効率化が進むほか、「トランプ・トレード」で業績改善期待の代表的分野だろう。

ユナイテッド・レンタルズ(URI)市場:NYSE・・・2024/7/24に2024/12期2Q(4-6月)の決算発表を予定 

(注)日足の始値と終値をローソク足で表示。「始値>終値(陰線)」なら、「始値<終値(陽線)」なら

  • 1997年設立。世界最大の建機・産業機械レンタル会社で、高所作業車やトレンチ・ショアリング機械、発電機、ポンプなど約3,400種類の機械を提供する。米国の49州、カナダの10州で事業展開。
  • 4/24発表の2024/12期1Q(1-3月)は、売上高が前年同期比6.1%増の34.85億USD、非GAAPの調整後EPSが同15.1%増の9.15USD。データセンターや半導体工場建設、老朽化インフラ更新投資等の需要増などの恩恵を受けた。保有車両生産性が同4.0%上昇に加え、粗利益率も0.8ポイント改善。
  • 今年3月にマットを扱うYak社買収完了を踏まえ、通期会社計画上方修正。売上高を前期比4~8%増の149.5-154.5億USD(従来計画146.5-151.5億USD)、買収や構造改革費用の影響を除く調整後フリーキャッシュフローを同11~3%減の20.5-22.5億USD(同:20.0~22.0億USD)とした。トランプ前大統領再選見通しが高まるなか、工場生産の米国内回帰の動きが高まれば同社の業績へ追い風となろう。
  • (※)決算発表の予定は7/19現在であり、変更される可能性があります。

過去の「銘柄ピックアップ」パフォーマンス検証

フィリップ証券株式会社

今すぐ外国株式口座開設

今すぐお取引

免責事項・注意事項

  • 当資料は、情報提供を目的としており、金融商品に係る売買を勧誘するものではありません。フィリップ証券は、レポートを提供している証券会社との契約に基づき対価を得ております。当資料に記載されている内容は投資判断の参考として筆者の見解をお伝えするもので、内容の正確性、完全性を保証するものではありません。投資に関する最終決定は、お客さまご自身の判断でなさるようお願いいたします。また、当資料の一部または全てを利用することにより生じたいかなる損失・損害についても責任を負いません。当資料の一切の権利はフィリップ証券株式会社に帰属しており、無断で複製、転送、転載を禁じます。

    <日本証券業協会自主規制規則「アナリスト・レポートの取扱い等に関する規則平14.1.25」に基づく告知事項>
    本レポートの作成者であるアナリストと対象会社との間に重大な利益相反関係はありません。