24年3月「銘柄ピックアップ」振り返る
今年3月分の米国ウィークリー「銘柄ピックアップ」について掲載直前週末終値から6/24終値までの騰落率上位6銘柄を見ると、生成AI(人工知能)活用によるデータセンター(DC)・ソリューション関連でヒューレット・パッカード・エンタープライズ(HPE)とシーゲート・テクノロジーHD(STX)が引き続き強さ発揮。フリーポート・マクモラン(FCX)も銅がDC電力需要の恩恵を受けている。モデルナ(MRNA)は新型コロナワクチン特需の反動減から立ち直りを示す。3M(MMM)も新CEOの下で経営改革への期待が高まる。ヴァンエック金鉱株ETF(GDX)は地政学リスクを反映した金価格高騰の追い風を受けている。
24年3月「銘柄ピックアップ」振り返る~生成AI関連ほか経営改革銘柄も
米大型ハイテク株と株式分割
米国主要半導体株に大型株式分割の動きが相次ぐ。エヌビディア(NVDA)は6/10の権利落ち日で10対1の株式分割を実施。分割前6/7終値(修正株価)に対し、6/20高値まで堅調推移。同じく半導体のブロードコム(AVGO)も7/15を権利落ち日として10対1株式分割を実施すると発表。
過去の株式分割と株価動向の関係を見ると、2020年の8/31を権利落ちとして株式分割を実施したアップル(AAPL)とテスラ(TSLA)はそれぞれ9/1、8/31を短期的な株価ピークとして下落。2022年にはアマゾン・ドット・コム(AMZN)とアルファベット(GOOGL)が株式分割を実施。アルファベットは影響が見られなかった一方、アマゾンは短期的には権利落ち日から株価が下落。投資タイミングは注意が必要だろう。
米大型ハイテク株と株式分割~エヌビディアとブロードコム落ち日以降は
肥満症と心臓代謝関連の米ETF
米国株市場について昨年より、エヌビディア(NVDA)を中心とした半導体・生成AI(人工知能)、およびノボ・ノルディスク(NVO)やイーライリリー(LLY)を中心とした肥満症薬が2本柱となりそうという下馬評が強かった。半導体・生成AI相場と比べると肥満症薬は相対的に盛り上がりに欠けた面も否めない。医薬品開発への目利きはより高度な専門知識を要することから投資のハードルが上がる面もあるだろう。
米国株のETFの中には、「Tema Obesity & Cardiometabolic ETF(HRTS)」のように肥満症と心臓代謝に関する治療薬や医療機器に係る企業に特化して投資するETFがある。組入れ銘柄は運用担当者が専門的見地から選定・配分しており、同ETF組入れ上位銘柄は足元業績に関わらず投資に向けて一考の価値があるように思われる。
肥満症と心臓代謝関連の米ETF~Tema Obesity & Cardiometabolic ETF
米長短利回り差・ドル指数の行方
米国市場は利下げ観測後退の中で長期金利が上昇。足元は10年国債が2年国債利回りを下回る「逆イールド」で、6/21も▲0.478%と昨年6月の▲1%超えからは縮小も歴史的高水準。過去20年間では2000年3月や2006年末に逆イールドが解消されて順イールド較差拡大の中で株価大幅下落。長期金利上昇が逆イールド解消を伴う際は要注意だろう。
米長期金利上昇はドル高を伴いやすく当面はドル高が続くのではないかとの見方に繋がりやすい。他方、地政学リスク常態化が進む中で金利が無い金価格が対ドルで下がりにくくなっている点は要注意。過去40年間では、1970年代後半、1987年、1994年、2017年などは米10年国債利回り上昇がドル安を伴う。「超タカ派」政策が無理だとドル安余地もある。
米長短利回り差・ドル指数の行方~米株価への影響、金利・ドル指数動向
米政府債務と米国債先物売り越し
世界的に新型コロナ禍救済対応の財政拡張が正常化に向かうなか今年は米大統領選はじめ選挙イヤーの様相を呈する。人気取りのために減税その他財政バラマキが公約となりやすく、国債と外国為替における市場の見方も厳しくなりやすい面もある。IMFによる一般政府債務残高対名目GDP比率で米国は23年が122%、29年の134%まで前年比増加が続く見通し。米国は足元でFRB(連邦準備制度理事会)による量的引き締めと同時に財務省が国債増発を計画し債券市場の変動性を高めている。「もしトラ」に伴う大型減税も債券市場のリスクだろう。
CFTC(米商品先物取引委員会)の投機筋10年国債先物ポジション売越し枚数は1月半ば過去最高水準(約90万枚)から減少基調である点は安心材料か。
米政府債務と米国債先物売り越し~選挙年は人気取りで財政悪化傾向
中央銀行の金保有関連アンケート
非営利組織のワールド・ゴールド・カウンシルが発表した「2024年 中央銀行金準備サーベイ」は70ヵ国の中央銀行から回答を得た。その調査における「金を保有する組織的決定の理由」を「先進国」と「新興国・途上国」に分けて2023年と2024年を比較すると、長期的価値貯蔵(インフレヘッジ)、デフォルトリスクが無い、高い流動性資産といった項目は新興国・途上国では2023年から既に高い割合で挙げられていた一方、先進国では2024年になって1年前より金保有の理由として挙げられる割合が大きく上昇。
同調査(2/19と4/30付)によれば今後12ヵ月以内に金準備を増やすと回答した中央銀行の比率は29%と2018年以降で最大。インフレヘッジ、危機対応、ポートフォリオ最適化の需要は更に高まろう。
中央銀行の金保有に係るアンケート~先進国と新興国・途上国で意識に差異

