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“米大統領選の波乱要因にも注意しつつ、有望銘柄へ”

2024/6/4
提供:フィリップ証券株式会社
リサーチ部:笹木 和弘

“米大統領選の波乱要因にも注意しつつ、有望銘柄へ”

  • 米大統領選(11/5実施)が約5ヶ月後に迫ってきた。米国市場は利下げ観測や景気に関するイベントに関する日々の動向に一喜一憂する神経質な値動きを繰り返している。本来最も大きな影響力を持って然るべき米大統領選に対し、市場は敢えて「見て見ぬふり」をしているかのようだ。
  • 米国ウィークリー2023年12月26日号でも「予備選挙・党員集会が集中する3月第2火曜日(スーパー・チューズデー)を控えて2月頃までは年末ラリーの勢いが持続する可能性があるものの、過去の大統領選年の主要株価指数動向からすると、その後は選挙本番の秋ごろまでこう着状態へとシフトする可能性も高そうだ」とした。
  • 米国マンスリー2024年1月号(2023年12月28日発行)でも「米大統領選挙年のS&P500推移」として「1992年以降の米大統領選挙年におけるS&P500株価指数の動きを比較すると、先ず『リーマンショック』の2008年や『ITバブル崩壊』の2000年を含むことが注目される。クリントン再選確実だった1996年、オバマ再選確実だった2012年は相対的に好パフォーマンスだった。2020年は新型コロナ禍による暴落からの反発の勢いから年間通せば好調。それ以外の年は、選挙直前まで春から小動きを繰り返す退屈な動きで推移」とした。
  • 有力視されているトランプ前大統領が5/31、「口止め料」の不正処理に係る事件の裁判(ニューヨーク地裁)で有罪の評決を下された。現職のバイデン大統領はイスラエル支援を巡って若い世代を中心に抗議行動が続いている。更に、無所属で大統領選出馬のロバート・ケネディ・ジュニア候補が存在感を増しつつある。ケネディ候補は昨年、「国外にある800の米軍基地を閉めるべき」と過激な主張を公言していた。普通の年ではなさそうだ。前大統領の有罪評決は不透明な大統領選に市場が向き合い始める契機となろう。
  • ハイテク業界の中でもソフトウエア株と半導体でパフォーマンスに乖離がみられる。生成AI(人工知能)ブーム時代の中で、半導体メーカーおよびハードウエア企業がAI投資の果実を得ようとする一方、ソフトウエア企業は売りが先行しやすくなっている面も目立つ。データのインフラを押さえているかどうかで分かれよう。高配当・高利回りのバリュー銘柄の中でも国際的な通信大手が光ファイバーケーブルへの移行に伴う旧式銅線の回収と銅のリサイクルに目を付け始めるなど、興味深い動きもある。ディフェンシブの代表的存在であり肥満症・糖尿病薬の注目度が高まる医薬品・バイオでは、心臓血管やメタボリックの治療薬開発に係る企業へ投資する「TEMA OBESITY & CARDIOMETABOLIC ETF(HRTS)」の組入れ上位銘柄が注目される。(笹木)
  • 6/4号では、HP(HPQ)ネットアップ(NTAP)AT&T(T)テキサス・インスツルメンツ(TXN)バーテックス・ファーマシューティカルズ(VRTX)ウィックス・ドットコム(WIX)を取り上げた。

ウィークリーストラテジー

S&P500業種別およびダウ平均構成銘柄騰落率(5/31現在)

主要企業の決算発表予定

6月4日(火) クラウドストライク・ホールディングス、ヒューレット・パッカード・エンタープライズ、バス&ボディワークス
6月5日(水) ルルレモン・アスレティカ、ブラウン・フォーマン、キャンベルスープ、ダラー・ツリー
6月6日(木) JMスマッカー

主要イベントの予定

6月3日(月)
  • 国際原子力機関(IAEA)理事会(ウィーン、7日まで)
  • 米ISM製造業景況指数(5月)、米自動車販売(5月)、 米建設支出(4月)
6月4日(火)
  • 米求人件数(4月)、 米製造業受注(4月)
6月5日(水)
  • カナダ中銀が政策金利発表
  • 米ADP雇用統計(5月)、米ISM非製造業総合景況指数(5月)
6月6日(木)
  • ECBが政策金利発表
  • 米貿易収支(4月)、米新規失業保険申請件数(6月1日終了週)
6月7日(金)
  • 米雇用統計(5月)、 米卸売在庫(4月)、米消費者信用残高(4月)
6月10日(月)
  • ニューヨーク連銀1年インフレ期待(5月)
  • ※Bloombergをもとにフィリップ証券作成

銘柄ピックアップ

HP(HPQ)市場:NYSE・・・2024/8/29に2024/10期3Q(5-7月)の決算発表を予定 

  • 1939年にWilliam HewlettとDavidPackardによって創業。1947年設立。PCや周辺機器、プリンターなどを手掛ける。2015年に法人向けソリューションなどを行うHewlett Packard Enterprise を分離。
  • 5/29発表の2024/10期2Q(2-4月)は、売上高が前年同期比0.8%減の128.00億USD、非GAAPの調整後EPSが同3.8%増の0.82USD。プリンターが同8%減収もパーソナルシステム(売上比率66%)が同3%増収と、PCの販売が2年ぶり増加に転じた。調整後営業利益率が同0.2ポイント改善の8.8%。
  • 通期会社計画は、調整後EPSが前期比1-10%増の3.3-3.6USD(従来計画3.25-3.65USD)、フリーキャッシュフローが同横ばい-16%増の31-36億USD(従来計画を据え置き)。同社CEOは「AI(人口知能)向けPCは下半期に総出荷台数の約10%になる」と述べたほか、「25年と26年には出荷台数の約50%に達すると予想。Windows新バージョンに伴う買い替え需要も含めてPCの回復が期待される。

ネットアップ(NTAP)市場:NASDAQ・・・2024/8/28に2025/4期1Q(5-7月期)の決算発表を予定 

  • 1992年設立のソフトウェア会社。企業や政府機関向けにハイブリッド・マルチクラウド環境でアプリケーションをより速く・確実・安全・低コストで実行し、インテリジェントにデータ管理できる環境提供。
  • 5/30発表の2024/4期4Q(2-4月)は、売上高が前年同期比5.7%増の16.7億USD、非GAAPの調整後EPSが同16.9%増の1.80USD。継続課金に係る年間経常収益(ARR)が同17%増の36億USD、請求書発行・入金済み額(Billings)が同8%増の18.1億USDと、増収率を上回る実質的成長を示した。
  • 2025/4通期会社計画は、売上高が前期比3-6%増の64.5-66.5億USD、調整後EPSが同5-8%増の6.8-7.0USD。生成AI(人工知能)活用でクラウド・コンピューティング拡大を背景に複数クラウド環境を併用する「マルチクラウド」、異なる環境統合のクラウド環境を構築する「ハイブリッドクラウド」も成長が見込まれる。営業キャッシュフロー拡大(前期は年率52%増)から自社株買い強化も期待されよう。

AT&T(T)市場:NYSE・・・2024/7/24に2024/12期2Q(4-6月)の決算発表を予定 

  • 電話機発明のグラハム・ベル創業会社(ベル・システム)を前身とし、1983年に会社分割により設立。米国最大の通信会社で固定電話と携帯電話分野で同業のベライゾンと米2大通信を占める。
  • 4/24発表の2024/12期1Q(1-3月)は、営業収益が前年同期比0.1%増の300億USD、非GAAPの調整後EPSが同8.3%減の0.55US。後払い5G携帯関連契約者数が同2.3%増の71.6百万件、1ユーザー当たり平均収益が0.9%増と堅調を背景に、営業活動キャッシュフローは同14%増の75億USD。
  • 通期会社計画は、調整後EPSが前期比7-11%減の2.15-2.25USD、営業キャッシュフローから設備投資を除くフリーキャッシュフローが同1-7%増の170-180億USDと従来計画を据え置き。5/31終値は市場予想の配当利回りが6.1%、予想PER(株価収益率)が8.3倍と割安水準。電気自動車(EV)等で銅需要が高まるなか光ファイバーへ移行に伴い地中に眠る旧式銅線ケーブル活用が注目される。

テキサス・インスツルメンツ(TXN)市場:NASDAQ・・・2024/7/25に2024/12期2Q(4-6月)の決算発表を予定 

  • 1930年設立の半導体の設計・製造企業。アナログのIC(集積回路)にフォーカスするほか、低価格のワイヤレス・マイコンを使用して多様な製品に導入する「組み込みプロセッシング」を手掛ける。
  • 4/23発表の2024/12期1Q(1-3月)は、売上高が前年同期比16.4%減の36.61億USD(会社予想34.5-37.5億USD)、EPSが同35.1%減の1.20USD(同0.96-1.16USD)。営業利益率も同9.1ポイント悪化。前四半期比では、減収・減益が続く中でも主力のアナログ半導体の営業利益率が1.2ポイント改善。
  • 2024/12期2Q(4-6月)会社計画は、売上高が前年同期比13-19%減の36.5-39.5億USD、EPSが同33-44%減の1.05-1.25USD。顧客による部品在庫消化後に産業用および自動車用部品の需要低迷が緩和される可能性を示した。5/28、アクティビストのエリオットが25億USD株式取得と報道された。26年までにフリーキャッシュフローを1株9USD以上改善させる戦略の導入を働きかけるとしている。

バーテックス・ファーマシューティカルズ(VRTX)市場:NASDAQ・・・2024/8/1に2024/12期2Q(4-6月)の決算発表を予定 

  • 1989年設立のバイオ技術会社。嚢胞性線維症(CF症、肺や膵臓に粘液が蓄積する遺伝性疾患)を対象とした治療薬の開発製造に取り組む。「TRIKAFTA/KAFTRIO」を中心とした主力4製品が有名。
  • 5/6発表の2024/12期1Q(1-3月)は、製品売上高が前年同期比13.3%増の26.90億USD、非GAAPの調整後EPSが同56.1%増の4.08USD。売上構成比約92%の「TRIKAFTA/KAFTRIO」が同18.5%増収。総費用が同2.8%減と落ち着いたことに加え、純金融収益も同54%増(1.70億USD )と業績に貢献。
  • 通期会社計画は、製品売上高が前期比7-9%増の105.5-107.5億USD。従来計画を据え置き。重篤な慢性腎臓病(IgAN)患者向け自己免疫疾患治療薬(下半期に同治療薬のヒト臨床第3相試験の予定)を開発中のアルパイン社買収(49億USD)は下半期に完了見通し。昨年12月に鎌状赤血球症の遺伝子編集治療薬の承認取得のほか1型糖尿病(インシュリン欠乏が原因)治療薬も開発進捗中。

ウィックス・ドットコム(WIX)市場:NASDAQ・・・2024/8/2に2024/12期2Q(4-6月)の決算発表を予定 

(注)日足の始値と終値をローソク足で表示。「始値>終値(陰線)」なら、「始値<終値(陽線)」なら

  • 2006年にイスラエルで設立のウェブサイト開発プラットフォーム・プロバイダー。専門技術や知識なしでクラウド上でウェブサイトを作成できるサービスを世界で約1億8千万人のユーザーに提供する。
  • 5/20発表の2024/12期1Q(1-3月)は、売上高が前年同期比12.2%増の4.19億USD、非GAAPの調整後EPSが同41.8%増の1.29USD。受注高が同10.2%増、調整後粗利益率が同1.6ポイント改善、フリーキャッシュフローも同4.2倍の1.05億USD。継続課金に係る年間経常収益(ARR)が同9.6%増の12.44億USD。
  • 通期会社計画を上方修正。受注高を前期比12-14%増の17.96-18.26億USD(従来計画17.84-18.13億USD)、フリーキャッシュフローを同81-85%増の4.45-4.55億USD(同:3.70-4.00億USD)とした。主な顧客である中小企業の経済環境悪化にもかかわらず、AI(人工知能)活用でサービス予約や商品購入が手軽に行えるサイトを作成できる「AIサイトビルダー」需要堅調。受注増に加え値上げも貢献。
  • (※)決算発表の予定は5/31現在であり、変更される可能性があります。

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