“割安・バリュー銘柄〜ヘルスケア・ワクチンとバフェット”
- 新型コロナウイルスの新規感染者数が増加に転じてきている。米国の日次新規感染者数(7日移動平均)は、6/20の9万4879人をボトムにして7/2に2割以上増加。新規感染の半分以上が感染力の高いとされる「BA.4」や「BA.5」などのオミクロン派生型に置き換わっている。米食品医薬品局(FDA)の諮問委員会は6/28、米国内で現在使っているコロナワクチンを見直すように推奨。これを受けてFDAは7/1までに、今年秋の新型コロナワクチン追加接種に向け、オミクロン派生型に対応したワクチンを開発するようメーカーに勧告した。
- 共同開発の製薬大手ファイザー(PFE)と独ビオンテック(BNTX)は6/25、派生型を含むオミクロン型に対して治験で一定の結果を確認できたと発表。ただし、元のオミクロン「BA.1」に対する効果と比べると約3分の1にとどまっている。モデルナ(MRNA)も6/22、開発中の新たな新型コロナワクチンについて治験でオミクロン派生型に対しても一定の効果が確認できたと公表したものの、同様に「BA.1」に対する効果は約3分の1にとどまった。3社とも今後数週間にわたりオミクロン派生型に対する研究結果を収集するとしている。
- 今秋以降、オミクロン派生型の流行に備えて4回目の追加(ブースター)接種が必要となる可能性が高くなってきている。そのようななか、7/1終値での2022年度の市場予想PER(株価収益率)は、ファイザーが7.7倍、モデルナが5.5倍、ビオンテックが4.3倍と割安水準だ。また、「組み換えタンパクワクチン」という種類の新型コロナワクチンで日本でも承認済みのノババックス(NVAX)は、PER2.4倍の低水準だ。当ウィークリーの先週号で述べたように、中央銀行FRBがインフレ抑制に強くコミットすることに伴って景気後退リスクが意識される相場環境においては、景気に左右されにくいヘルスケア銘柄が物色されやすい。これらの低PER水準は良い投資機会として注目されよう。
- 実際の価値よりも割安に放置されている株を購入する「バリュー投資」で知られる投資家ウォーレン・バフェット氏が米国株相場下落の只中で、米国株を「落ちるナイフ」を掴むかのように買いに向かっている。同氏率いるバークシャー・ハサウェイ(BRKB)は今年1-3月で計510億ドルを投じ、シェブロン(CVX)やオキシデンタル・ペトロリアム(OXY)など石油・エネルギー関連株を中心に、パソコンメーカーのHP(HPQ)、映画・メディア企業のパラマウント・グローバル(PARA)、商業銀行のシティグループ(C)、総合化学品のセラニーズ(CE)、医薬品卸売業者のマッケソン(MCK)、メディア関連のリバティ・メディア-リバティ・フォーミュラ・ワン(FWONA)、自動車関連金融のアライ・フィナンシャル(ALLY)などを新規買付または買い増しを行っている。参考となろう。(笹木)
- 7/5号では、アップル(AAPL)、バイオエヌテック(BNTX)、シェブロン(CVX)、ゼネラル・モーターズ(GM)、モデルナ(MRNA)、オキシデンタル・ペトロリアム(OXY)を取り上げた。
ウィークリーストラテジー
S&P500業種別およびダウ平均構成銘柄の騰落率(7/1現在)
主要企業の決算発表予定
7月7日(木) | リーバイ・ストラウス |
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主要イベントの予定
7月5日(火) |
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7月6日(水) |
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7月7日(木) |
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7月8日(金) |
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- ※Bloombergをもとにフィリップ証券作成
銘柄ピックアップ
アップル(AAPL)市場:NASDAQ・・・2022/7/28に2022/9期3Q(4-6月)の決算発表を予定
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バイオエヌテック(BNTX)市場:NASDAQ/ADR・・・2022/8/8に2022/12期2Q(4-6月)の決算発表を予定
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シェブロン(CVX)市場:NYSE・・・2022/7/29に2022/12期2Q(4-6月)の決算発表を予定
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ゼネラル・モーターズ(GM)市場:NYSE・・・2022/7/26に2022/12期2Q(4-6月)の決算発表を予定
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モデルナ(MRNA)市場:NASDAQ・・・2022/7/28に2022/12期2Q(4-6月)の決算発表を予定
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オキシデンタル・ペトロリアム(OXY)市場:NYSE・・・2022/8/3に2022/12期2Q(4-6月)の決算発表を予定
(注)日足の始値と終値をローソク足で表示。「始値>終値(陰線)」なら緑、「始値<終値(陽線)」なら赤。 |
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- (※)決算発表の予定は7/1現在であり、変更される可能性があります。