“「1月効果」と長期金利上昇に要注意”
- 先週の米国ウィークリー2021年1月5日号では、「波乱含みの5・6日〜押し目チャンスとなるか?」と題し、5日のジョージア州上院選決選投票と6日の上下両院合同会議の状況によっては相場が荒れる可能性に言及し、20日の次期大統領就任日までに押し目買いのチャンス到来を期待したなか、先ず、民主党の上院2議席獲得によるホワイトハウス、上下両院を民主党が制する「ブルーウェーブ」が実現することとなり、大規模なインフラ支出および追加景気対策への期待が高まった。次に、バイデン次期大統領を正式に選出する連邦議会の上下両院合同会議では、トランプ氏の支持者が議事堂内に乱入して建物を占拠し、会議が中断する波乱があったものの、次期大統領選出プロセスが迅速に終了したことから株式相場への波乱要因となることは無く、株式市場は強気の「ブルーウェーブ相場」の様相を継続。残念ながら押し目買いの機会とならなかった。
- また、次期バイデン政権の公約である増税(所得税や法人税の増税、およびキャピタルゲイン課税の税率引上げ)、反トラスト法の規制強化、および健康保険制度の拡充など株価への悪影響が大きいとみられる政策への懸念は未だ次期尚早として、金融市場で材料とは見なされなかった。これらは、次期政権発足後、一般教書演説や予算教書、および大統領経済報告といった「三大教書」の演説などを経て具体的な懸念として意識されるものであり、大統領就任式を控えた現時点では「いいとこどり」の相場展開が優先されやすいと言えよう。
- 株式相場では、1月の収益率が他の月よりも高くなりやすい現象として「1月効果」という季節性のアノマリー(経験則)の存在が広く知られている。年末に税金対策としての売りが出る一方で、年明けには新規の投資資金が流入しやすいことがその要因と言われている。最近のNYダウ平均株価の推移では、2016年11月の大統領選の上昇相場が2018年1月下旬まで継続した後で数ヵ月間の株価下落局面に転換したこと、および昨年3月の新型コロナウイルス感染拡大に伴う下落相場の前に最高値を付けたのが同年2月上旬だったことが想起される。
- 今月11日の米国債利回りは、バイデン次期政権下で政府支出が拡大するとの観測から10年物が1.15%近辺、30年物が1.88%近辺まで上昇。ブルームバーグによれば、NYダウ平均株価の2021年度市場予想年配当利回りが1.99%であることから、米国債30年物利回りが昨年2月以来の2.0%超えの水準まで上昇すれば、株価の上値を重くする可能性があろう。(笹木)
- 1/13号では、アリスタネットワークス(ANET)、ビリビリ(BILI)、ライブ・ネーション・エンタテインメント(LYV)、メルク(MRK)、サーモフィッシャーサイエンティフィック(TMO)、ザ・トレードデスク(TTD)を取り上げた。
ウィークリーストラテジー
S&P500業種別およびNYダウ構成銘柄の騰落率(1/8現在)
主要企業の決算発表予定
1月13日(水) | IHSマークイット |
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1月14日(木) | ブラックロック、ファースト・リパブリック・バンク、デルタ航空 |
1月15日(金) | シティグループ、ウェルズ・ファーゴ、JPモルガン・チェース・アンド・カンパニー、PNCファイナンシャル・サービシズ・グループ |
主要イベントの予定
1月12日(火) |
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1月13日(水) |
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1月14日(木) |
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1月15日(金) |
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- ※Bloombergをもとにフィリップ証券作成
銘柄ピックアップ
アリスタネットワークス(ANET)市場:NYSE・・・2021/2/12に2020/12期4Q(10-12月)の決算発表を予定
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ビリビリ(BILI)市場:NASDAQ(ADR)・・・2021/3/17に2020/12期4Q(10-12月)の決算発表を予定
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ライブ・ネーション・エンタテインメント(LYV)市場:NYSE・・・2021/2/26に2020/12期4Q(10-12月)の決算発表を予定
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メルク(MRK)市場:NYSE・・・2021/2/4に2020/12期4Q(10-12月)の決算発表を予定
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サーモフィッシャーサイエンティフィック(TMO)市場:NYSE・・・2021/1/21に2020/12期4Q(10-12月)の決算発表を予定
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ザ・トレードデスク(TTD)市場:NASDAQ・・・2021/2/26に2020/12期4Q(10-12月)の決算発表を予定
(注)日足の始値と終値をローソク足で表示。「始値>終値(陰線)」なら緑、「始値<終値(陽線)」なら赤。 |
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- (※)決算発表の予定は1/11現在であり、変更される可能性があります。