“想像してみよう、関税で分断された世界を”
- 米商務省は5/15に、中国のファーウェイとその関連企業を「エンティティ・リスト」に追加すると発表。対象法人は米政府の許可なく米企業から部品・技術などを購入できなくなるが、5/13発表の中国への追加制裁関税「第4弾」(約3,000億ドル分の同国製品に最大25%の関税)と併せ、トランプ政権の対中国制裁が強化された。株式市場は5/13にNYダウで25,222ドルの安値を付けたが、利下げ期待再燃による長期金利低下、および関税引上げ発表後の影響も含む景気指標である5月ニューヨーク連銀製造業景気指数などが良好だったこともあり、底入れ期待が優勢となって5/17終値25,764ドルで引けた。
- 折しも、6/4に天安門事件から30周年を迎え、中国当局が全言語で「ウィキペディア」へのアクセスを禁じる措置に出ているとの観測も見られるように、共産党一党独裁の権力基盤を脅かす動きに敏感になりやすい時期である。この時期にトランプ政権が中国に強硬措置に出る背景には「客家(はっか)」と呼ばれる集団(漢民族の中で客家語を使用し、歴史的に共通の血縁・地縁をもって共同の生活様式・風俗習慣などで結ばれている人々)の存在も無視できない。客家人は、広東省、福建省、江西省、台湾、香港などに居住し、華僑(在外華人)人口の約3分の1を占め、その人脈はアジアの政財界に隠然たる勢力を誇っている。習主席は広東省の客家人からの強力な支持を得ていたことが今の地位を築く大きな要因にもなったが、昨年の憲法改正によって国家主席の任期制限が撤廃されたことに対して、客家人から快く思われていないという面もあろう。中国の権力基盤が必ずしも一枚岩では無いことは、今後とも要注意である。
- 5/16に発表されたウォルマート(WMT)の2-4月期決算は市場予想を上回る好決算だったが、米中の追加関税応酬に対して値上げで対応する強気の方針を示した。関税コストが物価上昇に反映されるかどうかについては、中国からの輸入製品に対する代替製品の調達に時間がかかるとしても、一時的には物価上昇が加速する可能性が懸念される。企業収益の観点では、価格転嫁が先行しコスト上昇が遅行すればプラスに作用しよう。一方で、金利上昇圧力やインフレ懸念が強くなり、株式市場にとってのマイナス要因にもなり得る。当初は前者要因が目立ち、やがて後者要因に押されることも想定される。現在の株式市場はFRBの利下げ期待から落ち着きを取り戻しつつあるが、関税コストが意識されやすくなる来月以降、新たな展開に直面する可能性も念頭に置きたい。(笹木)
- 5/21号では、CMEグループ(CME)、シスコシステムズ(CSCO)、ヒューレット・パッカード・エンタープライズ(HPE)、エヌビディア(NVDA)、ウエイスト・マネジメント(WM)、ウォルマート(WMT)を取り上げた。
ウィークリーストラテジー
S&P500業種別およびNYダウ構成銘柄の騰落率(5/17現在)
主要企業の決算発表予定
5月21日(火) | ホーム・デポ、コールズ、TJX、オートゾーン、ノードストローム |
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5月22日(水) | ロウズ、VF、ターゲット、アドバンス・オート・パーツ、アナログ・デバイセズ、Lブランズ、シノプシス、ネットアップ |
5月23日(木) | メドトロニック、ホーメルフーズ、DXCテクノロジー、インテュイット、ロス・ストアーズ、HP |
5月24日(金) | フットロッカー |
主要イベントの予定
5月21日(火) |
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5月22日(水) |
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5月23日(木) |
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5月24日(金) |
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5月25日(土) |
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5月27日(月) |
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- ※Bloombergをもとにフィリップ証券作成
銘柄ピックアップ
CMEグループ(CME)市場:NASDAQ ・・・2019/7/25に2019/12期2Q(4-6月)の決算発表を予定
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シスコシステムズ(CSCO)市場:NASDAQ ・・・2019/8/14に2019/7期4Q(5-7月)の決算発表を予定
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ヒューレット・パッカード・エンタープライズ(HPE)市場:NYSE ・・・2019/5/23に2019/10期2Q(2-4月)の決算発表を予定
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エヌビディア(NVDA)市場:NASDAQ ・・・2019/8/15に2020/1期2Q(5-7月)の決算発表を予定
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ウエイスト・マネジメント(WM)市場:NYSE ・・・2019/7/25に2019/12期2Q(4-6月)の決算発表を予定
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ウォルマート(WMT)市場:NYSE ・・・2019/8/15に2020/1期2Q(5-7月)の決算発表を予定
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